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よくある質問

>Q.環境保護運動や割箸問題について木材関係者は、どう考えているのですか。

A.  結論的には、二つの側面を持っていると思います。ひとつは、大切な自然を守ろう。 地球破壊をこれ以上許してはいけないという積極的な内容を持ったもので、もっともっと 国民的な意識づくりを広げ、政治や行政を押しつつむまでにすることが求められていると いう面です。 この面に関して木材関係者は、ややもすると加害者的性格を批判されることもあり、口を 開きにくい状態にありました。しかし、木材がなければ木の住まいどころか、日本の文化 も暮らしもなり立たないのが現実です。木を使わず、それに代るものを求めるとすれば、 鉱物系や石油系の資源を大量に使わなければなりません。それは、膨大な熱エネルギーで 製造・加工されて、有害ガスも大量に発生させることになり、一層地球の温暖化と大気汚 染をひろげることになります。材料としても熱伝導やプラスイオンをはじめとする問題を 引き起こし、廃棄時には更に害毒をまき散らしたり、土に還らず異物として残ったりします。 ですから木材を使わないようにという風潮に対し、木材を使用することこそが大切なのだ ということを語り、同時に、再生可能な範囲での木材の伐採、植樹や育林に努めているこ とを語るようになるべきだと考えています。 加えて、光合成によ酸素の排出は、若木ほど旺盛で、老木や銘木級では殆ど行われていな いことを知って下さい。 もうひとつの側面は、森林をはじめとする自然に手を触れること自体を自然破壊と言って 糾弾する集団の思い上りと独善的な、陶酔的環境論の誤りにあります。 創刊号でも一部手触れていますように、森林は手をかけずに放っておけば、破滅化へ向い ます。今は生き生きしている所でも、シダやツルが生い繁り、樹木の生長を阻むようにな りますし、虫喰いで枯れた木や、嵐で倒された木を放置しておけば、山の被害を大きくします。 このような生長を阻むような要因となるものを取り除いたり、樹木が生長しやすいように 間引きをしたり、手入れをすることで、森林の生命力を保つことができるのです。 日本の森林に死にかかっている所が多く見られますが、それは、このような手入れが、山 村人口の減少や、育林費用の不足で出来ていない所が殆どです。 古来から人には、このような関係で、この自然・森林から取り出したものを生活の材料と して使う共生関係にあったのです。 ですから知床半島をはじめとする自然林に人間が入ることさえ反対する運動は、環境保護 運動の過剰反応で、むしろ自然の崩壊をすすめることにさえなることを知ってほしいもの です。 これを良く似た問題が割箸反対論です。まず第一に木の割箸には、どんな木が使われてい るかですが、その70%は20~30年で成木になり、伐採して再植林をしながら地球環境の改 善に役立っている輸入材です。例えば、日本の緑化推進運動に加わる人々が、中国をはじ めとする砂漠地帯の緑化のために資金を集め、ボランティアを組織して緑の砂漠づくりを すすめています。そこで植林されたポプラは、緑々と繁り、第一次の緑化の役割を終えて 伐採され、次代に道をゆずります。これが日本に輸入されて割箸にされている代表例です。 国内の木材で生産される割箸も、極く一部上等なものを除けば、製材過程で出てくる端材 の有効利用が大部分です。 立派な成木を切って割箸が作られると思っている人が多いようですが、実際はその大部分 が再生の早い植林木や端材であることを知ってほしいと思います。ごはんは木の箸で食べ てこそ美味しいのです。つまり、割箸として使われることでこそ役目を果たしていると言 えるのです。 これを洗ってまで使うとか、集めてリサイクルするという論もありますが、これも木を見 て森を見ないの例えのようなもので、そんなことをすれば、また余分な水資源をいっぱい 使い、エネルギーを使うことになるのです。 使った割箸は、そのまま山に返して土に還すのが、一番良い使い方なのです。 併せてもうひとつ、みなさんで考えてみて下さい。みなさんは、毎日の暮らしの中で紙を 無駄にしていませんか。例えば、割箸一本分でティッシュペーパー2セット(1セットは 薄いペーパー2枚で組み合わされています)分です。鼻をかんだ紙を二回使う人はほとんど いませんし、トイレではもっと沢山使いますが、水に流してしまいます。FAX用紙や ノートも無雑作に扱っていませんか。 それは割箸以上に木材という資源の乱使用になるのです。 一本の木だけを見て騒ぐのではなく、森を見て、本当に自然を守るということは、どうい うことかを考えたいものです。 (編集室S)

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