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時代が動き出したときに求められるもの
時代が大きく動き出し、変
わり始めていることを実感さ
せられることがいよいよ多く
なってきたようです。
バブルを誇っていたアメリ
カの株価が、高水準を維持で
きないところへ来ているよう
ですし、ハイテク企業・情報
関連企業の株価が日本を含め
て世界的に暴落し、米国店頭
株式市場ナスダック(全米証
券業協会が開発したコンピュ
ーターを使った店頭銘柄自動
通報システム)はもう終りの
ようです。
ベンチャービジネ
スも激しい変化に対応し切れ
ず節目を迎えていることが次
々と報道されています。
ドル
とともにユーロも暴落し、ヨ
ーロッパも激しい変化に右往
左往しています。
日本の政治もまったく不安
定で、21世紀への指針を見
せることは不可能なようです
し、景気も、政府筋の調子の
よい発言とは逆に市場は一段
と低迷しており、企業倒産は
限りなく続く気配で、消費動
向も上昇の気配を見せません。
不気味さが一段と進行して
いる下で、支配体制そのもの
がぐらつき出しているという
感じで、予断が許されないと
きに来ているのではないでし
ょうか。
そんな中で小渕前首相が亡
くなりました。
周辺でも死亡
者が増えています。
私のまわ
りでも連休を挟んで、よもや
と思う人が相次いで亡くなり、
お手伝いをしていたら、今度
は母を送ることになってしま
いました。
知り合いの人たち
の間でも亡くなる人が多いと
聞きます。
一人々々は年令も亡くなり
方も違っても、それぞれこの
世での役割を終え、迎えが来
たという感じを持っているの
ですが、企業倒産も人の死も、
何か時代の転換期を感じさせ
るものがあります。
時間の
流れの中での時代(世紀)の
転換というだけでなく、大自
然が新しい時代に向けて変化
していることを感じさせるも
ののひとつが地球の変化です。
地球の公転速度が速くなり、
毎時10万㎞であったのが毎
時11万㎞に近づいていると
専門家は言っていますし、地
球の振動数が大きく増えてい
るという報告もあり、時代の
変化を早めていることとも関
連しているように思えます。
自然界も時流も人々の意識
も大きく変化するこの時代に
こそ必要となるのが、足許の
変化と変化の先をしっかり見
据えて、高い理想を持って変
化をチャンスととらえ、自己
を磨き、無理や背伸びをせず、
自然に生きることではないで
しょうか。
本号は「住まいに生きる木
材のいのち」を主テーマに、
特集Ⅰの「木材は生きている
から素晴らしい」の中で、地
球と森林と人間の関係、生命
誕生の神秘と人間について考
えてみました。
「人間らしく生きる」とい
うことがよく言われますし、
これから本当に大切になって
くることだと思いますが、「
人間らしく」とは何を言うの
かを考えなければなりません。
その答えとなるのが40数億
年の地球の気の遠くなるよう
な歩みと成長を経て、約550
万年前に、私たちの祖先であ
るヒト科のヒトが誕生したこ
とから始まっているのです。
人間は、地球上に誕生した
最後の、そして究極の生命体
であり、他の動植物とは決定
的な違いを持っているのです
から、人間の役割、「人間ら
しさ」というのは、そこから
考える必要があろうと思って
稿を起こしました。
特集Ⅱでは、再び日本の林
業と木材を考え、山村・林業
の復興が21世紀を拓くカギ
であることを論じています。
この混沌と大変化の時にこ
そ、原点に立ち返ることの大
切さを2つの特集を通しても
考えたいとの想いからの編集
です。
丁度そんな折、家づくりの
新しい工法が二例、編集室に
寄せられました。
「木を生か
す木を育てる」のコーナーの
「プリミティブの家」と「木
の家づくり・工務店ここにあ
り」のコーナーの「プレロー
グ工法」です。
構法は違いま
すが、ともに柱角材1000~
1500本も使った家づくりで、
山村と林業の振興を視野に入
れたものです。
これまでも紹介してきた事
例とともに、日本の木の文化
を育てる前提として、林業を
興し、木の家づくりを広げる
輪をもっともっと大きくしな
がら、21世紀を準備したい
と思っています。
酒井 哲夫
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