広葉樹というのは、葉の形が偏平な双子葉植物
に属する樹木の総称です。
針のような細長い先の
尖った葉や針を開いた形の披針形の葉、線形や鱗
片形の葉の針葉樹と区別されています。
広葉樹でも葉の種類は多く、卵形や長楕円形、
鋸歯形、円形、ヘラ形からモミジやクワやイチョ
ウ等の葉など様々ですが、立木で広葉樹を見分け
るには葉を見るのが一番です、葉の縁や茎のよう
な付け根、それに葉先などにも特徴があります。
広葉樹の具体的特徴は後で見ることにしますが、
広葉樹は大きくわけて二つに分類することができ
ます。
ひとつは、毎年、春に芽吹き、夏に萌え、秋に
紅葉し、冬に枯れる落葉広葉樹で、日本の四季を
表現する代表的な植物のひとつ、サクラ、ケヤキ、
ナラ、タモ、クヌギ、キリ、セン、ニレ、カシワ、
クリ、トチ、イチョウ、ブナをはじめ、用材とし
て使われるものが主にこの部類です。
もうひとつは、ツバキ、シイノキ、カシ、タブ、
モチノキ、サザンカ、ウバメガシ、クスノキ等の
常緑性の広葉樹で、陽のひかりで葉が照ることか
ら照葉樹と呼ばれるものです。
照葉樹林は緑濃く
繁った林相を持ち、日本列島を横断する断層、西
南日本中央構造線を中心に育っているようです。
広葉樹の森や林、木は戦時中もさることながら、
特に戦後になって人工林化や用材のために大幅に減少してしまい、雑木林の里山は以前の数%にな
っていますが、いま改めて広葉樹(林)の有用性
が評価され直しています。
広葉樹(林)の公益的機能を見ても針葉樹(林)
と比較すると、光合成による酸素排出力以外は、
格段の優れた機能を持っています。
まず、広葉樹は、毎年葉を落としますが、この
落葉が堆積して腐葉土をつくります。
そして特に
照葉樹に多いという葉に暮らす無数の微生物が、
土壌に質の豊かさをもたらします。
この土と微生
物が流れて川や川下の田畑、海を豊かにし、農作
物や魚を育てます。
広葉樹の落葉(微生物)こそ
が、土と水を上質にし、豊かな国を作るのです。
次に水源涵養、保水能力のすごさです。
広葉樹
は針葉樹と違って広く複雑に根を張り、落葉で出
来た柔らかく粗い土を支え、高い保水力を持ちま
す。
さらに根株の跡や穴の中にも水を大量に溜め、
その水を地中深く沈ませて自然浄化と微生物で良
質の水を貯えます。
ですから、地下水と呼ばれる
清水は、およそ百年前の水と言われていますが、
最近の針葉樹林の下や広葉樹の少ない山の出す水
は、充分浄化もされていませんし、最近の雨だと
いうことが知られています。
広葉樹(林)を失うことは、幸を失い、国が痩
せることにもつながる大きな問題なのです。