現実の社会環境のすべては不健康を拡大し、健康を蝕む要素で溢れています。
この中で呼吸し、食事をし、生活している限り健康被害から逃れることはできないのです。
この下で健康であるにはどうすれば良いのかは、大変な難問のように見えます。
そこで考えなければならないのが、従来的な発想による防衛的な健康論、つまり、健康被害をなるべく少なくするとか、健康被害から守るという視点では、何等問題の解決にはならないということです。
もちろん、防衛はしないよりした方がいいのですが、それでは守りきれないほど多岐で膨大な健康被害の要素に対処することは不可能です。
また、そのために、場合によっては、相当の費用がかかることも考えられます。
応急処置としては、可能な範囲で健康被害を防衛するべきですが、根本対策には、内なる健康の力を育てることを考えることが何より大切になっています。
地球上の生物には、自然の中で生きることで、健康に生きるための力が備わっています。
それが免疫力、抵抗力であり、自然の中での治癒力である自己治癒力です。
現代社会では、この本来的な健康を守り、育てる力が著しく低下して、脆弱化してしまっているのです。
同じような環境下にあっても、元気な人と不健康な人がいます。
タバコが悪いと言っても、タバコを吸わない不健康な人と、タバコを吸っていても健康な人がいます。
スギ花粉を浴びていても、花粉症にかかる人とかからない人がいますし、症状も人によって差異があります。
この違いは、明らかに1人ひとりの免疫力、抵抗力、自己治癒力の差によるものと考えられるのです。
本特集は、住まいを通して健康を育てるという視点で、人間としての本来的な内なる力を育てることを考えたものです。
1日の内、一般的にはもっとも多くの時間を過ごし、生活の基点となる住まいが健康を破壊するのではなく、健康を育てられるものにすることを考えなければ、これからの家づくりの責任を果たすことはできないと言えるのではないでしょうか。