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よくある質問
Q.木が伐採から、建築の部材として使われるまでの流通経路及保管について教えて下さい。
A.
山に生えている木が、建築部材に利用されるまでにはかなりの日数がかけられています。
「昨日までカラスが止まっていた木が、すぐ建築材に利用される」ことは、今の時代絶対
にありません。何か特別な都合で臨時に使う場合は別として、われわれの住まう家にはす
くなくとも最短日数でも3カ月程かかっていると判断していいでしょう。
現在、70年生から80年生のヒノキが伐採されたと仮定します。伐採現場からいったん山
元の集積場に蓄えられ、ある程度の量が溜まるまで約半月くらいの時間を要します。
その集積場から直接製材工場へ運び込まれる木材はほんのわずかです。大半は国産材の
集散基地となる木材市場でセリにかけられ、買った人の製材工場へ分散後、早いもので一
週間、普通は半月か1カ月で製材されます。
ヒノキの場合、柱や鴨居に利用する時、木材の鮮度が付加価値となるケースがあるほか、
粗挽き(最初の製材)されたあと、じっくりと天然乾燥か人工乾燥をかけ、建築製材品と
して最終仕上げとなるため、1カ月程の日数が経過します。
次に、製材工場から各地の木材市場や流通センターに出荷されたのち、木材小売店から
大工・工務店さんの元へ運び込まれ、山に生えていたヒノキが建築現場で利用されるのは
最短で2カ月近くを要します。
また、スギの場合は建築材に利用する場合、ヒノキとやや違った課程を経ます。ヒノキ
は比較的人工乾燥が簡単にできます。ところがスギは乾燥が非常に難しい木材です。
国産材はヒノキと同様に付加価値を上げるには乾燥が重要な決め手になるわけです。人
工乾燥が難しいスギは、伐採した後、人工乾燥に先立ち、あらかじめ先端の穂先部分の枝
を残して大半を枝払いする穂付き天然乾燥が最も有効な手段だと言われています。
スギの持つ特有の色や香りを住宅の内装で演出するには、約2カ月近く伐採したまま穂
付きの状態で放置する処理が昔から行われています。
日本の山林面積の多くを管理する国有林でも、スギの生産量の多い地域では、穂付き乾
燥をさせた「ドライログ」というネーミングで良質なスギ丸太の供給をしています。
従って、スギの場合はヒノキ以上に建築現場へ届く時間はかかるわけです。
こうした良質な建築材として処理された製材品は、木材問屋や小売店の倉庫で大切に保
管されています。もちろん、狂いが出ないように風通しのよい場所を選んでいつでも使え
るよう保管するのも木材業者の重要な役割分担といえます。もっともこの頃では製材工場
で出荷の時点で、一定の品質を保持できるようにビニールパックで包装しますから、国産
材の製材品は品質劣化の心配が要りません。
余談になりますが、国産材の製材工場では、安い輸入材や無機質の代替素材に負けない
ように必死に良質な建築資材供給を目指して頑張っています。
特に住まいの建築保持の面からも、軟らかい肌ざわりのムクの材料が最適なことは種々
の試験データで明らかにされています。読者の皆さんも国産材の積極的な利用へ関心を示
して下さるよう切望します。
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