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住宅の洋風化はどうしてすすんだか
日本の文化破壊と住宅の洋風化
(2)
住宅の洋風化は政策的リードだった
戦後の日本の特に安保条約締結以降の住宅政
策、林業・木材政策を見れば、凄まじいばかり
の住宅の洋風化と外材依存、資材の工業製品化
があります。
その背景と理由は、第一に、戦後復興を効率
的にすすめるために、大企業化と規格製品化に
よる大量生産が必要と言われたことです。
第二は、石油メジャーの支配下で、エネルギ
ー転換政策がとられ石油以外の石油原料を製品
化して、大量に低価格で生産することで、内装
等の資材転換がすすめられたことです。
第三は、日本の文化を変えるために、和の文
化の柱のひとつである木の文化、住まいの文化
を破壊する必要があったことです。
第四に、民族支配の重要なカギのひとつに位
置づけられれている私有財産者の没落のため、
地場企業の没落化の促進というねらいがあった
ことです。
日本の支配層がこの下で、住宅の洋風化のた
めの政治的誘導と政策的推進の先頭に立ってき
たことは洋風化への流れを具体的に見ると一層
はっきりしてきます
まず、戦後の住まい造りの主役の座についた
のがプレハブをはじめとする大企業による新興
住宅メーカーでした。
アメリカ讃美の風潮に乗
り、豊富な資金と美辞麗句で洋風住宅を大宣伝
し、一躍住まいの花形にしてしまいました。
かっては、大工・工務店とも手を結び、とも
に住まいづくりの主役に居たはずの木材業界の
再編もすすみました。
安い石油原料等で大量生
産される工業化資材と対抗させられ、ハウスメ
ーカーへの部材提供業にされたのがその最も顕
著な現れです。
系列化、下請化、グループ化も
すすみました。
そして、合理化、大量生産化に
よるコストの削減に必死になり、原材料の原木
の仕入れもなるべく安くて効率の良い材を求め
るようになると、外材時代の道が拓かれました。
林業も破壊されました。
復興資材の必要性の
名目で人工林化の笛が吹かれたのです。
国土の
七〇%も占める山林の四〇%が丸坊主にされ、
杉・桧と松が植林され、雑木の里山や雑木と針
葉樹の混合林、広葉樹の森が幼い針葉樹の山に
変えられました。
多くの美林が失われ、その結
果、保水・水源涵養能力の極端な低下、広葉樹
の葉に生きる微生物を得られなくなった土壌の
栄養失調化、水質の低下がすすみ、流域の農業
や住民生活に影響を及ぼし、ますます化学肥料
や農薬をまき散らすことになりました。
さらには鉄砲水、山崩れを呼び、ムダな河川の修復や
コンクリート化、ダム建設で自然を破壊し、川
を死なせ、ふるさとの四季が薄れて、土建立国
化がすすみました。
その人工林も、外材化への政策リードで十分育成されず、荒廃が進んでいます。
人手不足に加え、安い外材(今は少し様子が変わっていま
すが)に太刀打ちできず、不採算化で、日本林業の衰退、国産材の不振が続いたのです。
さらに、建築基準法に手が加えられる度に中
小工務店や大工さんでは対応しきれない難問が増やされました。
ハウスメーカーに工期や価格で対応できなかったり、後継者を育成し切れなかったり、資金不足等で方向転換や廃業が増えています。
建築学科からは、木造建築や木材のカリキュラムが削除され、小中学校や高校の教科からも木材や木の文化が語られることも減り、いつの間にか木工の時間も少なくなりました。
木に触れ合い、木を語り、学ぶ場所や時間が
いたるところから消されてきたのです。
これだけを見ても、いかに住宅の洋風化が政
治的政策的リードによるものかを知ることがで
きます。
日本と西洋の価値観の違い
では、その住宅の洋風化がどんな問題を持ち、
どんな弊害をもたらしているかを考えてみます。
文化とは「人間が自然に手を加えて形成して
きた物心両面の成果。
衣食住をはじめ技術、学
問、芸術、道徳、宗教、政治などの生活形成の
様式と内容を含む」(広辞苑)ですから、その
民族の文明、宗教とも深く結びつき、その民族
を特色づけるものです。
西洋文明の主柱となっている文明観からすれ
ば、神の名によって人間が行うことは正当化さ
れています。
自然破壊も、生物種の殺害も、異
民族への虐待も許されます。
これに荒野や砂漠の多い自然環境、寒暖の差
の激しさ、自然の恵みの少なさ等という風土や
生活条件にあって、自ずと異民族や自然と敵対
し、対峙せざるを得ないことになります。
ですから、住まいの条件は、自然との対決、
自然の遮断になります。
外敵や自然と身構えた
造りと土足での生活が前提とならざるを得ませ
ん。
一分の隙もない石の住まいや鉄の扉、鉄棒
で囲ってピッタリ閉ざせる窓等が必要となって
きます。
洋風住宅が高気密、高断熱を当り前とするの
は、このような文化からすれば当然のことにな
ります。
一民族国家で外敵を心配することなく、
北海道等を除けば四季や昼夜の温度差には、耐
えられないことはない、日本の風土観からは生
まれない文化と言えます。
しかし、これを日本に持ち込み、日本の住ま
いの姿にしようとしたところに問題があるので
す。
日本民族は、元々が森の民であり、森羅万象
の全てに神仏が宿ると信じ、自然とともに在り、
自然の恵みに感謝して生きる多仏神信仰の民族
ですから、住まいや住まい方も自然と共にあり
ました。
自然から衣食住の材料を分けてもらい自然に
寄り添うように共生し、可能な限りの自然への
お返しを心がけてきた民族です。
自然との調和
と共生なくしては日本の文化はなかったはずで
す。
<
高度成長のひずみをさらにミスリード
それでも住宅の洋風化への宣伝は効を奏しま
したし、ハウスメーカーも大きく成長しました。
ところが住宅需要がある程度一巡した頃になる
と、それまでのプレハブ等の洋風住宅の難点が
いろいろ見えてきます。
塩ビシートやクロス等の化石燃料資材の汚れ
や傷は汚く醜くなっていくし、色や柄は褪せて
変色していて張り替えが必要になってきます。
大壁工法で隠された所での腐敗や結露、水まわ
りの腐朽が激しいとか、土台が傾いて戸の閉ま
りが悪い等といった欠点や欠陥が露呈し、補修
や補強、さらにはリフォームから立て替えの要
求が高まってきます。
80年代に入ると住宅だけでなく、衣食住をは
じめ社会のいたるところでこういう問題が発生
しています。
戦後の急成長の隠のひずみが表面
化してきたと言える現象です。
すでに量的には
ある程度満たされ、問題がいろいろ表面化する
と誰もがもう少し質の良いものを求めるように
なります。
盛んに量から質の時代と言われ、質
的充足が求められ、余暇も拡大され、3Y(ゆ
とり、やすらぎ、豊かさ)が言われた頃です。
ここでも人々の豊かさや質的向上の要求を逆
手に取ってミスリードが様々な分野で行われま
す。
ブランド化とかグルメとか、乗用車のモデ
ルチェンジ、家中に電化製品が溢れている上に、
1室に1台のテレビ等々です。
この種の宣伝文
句は高級化、高機能化、高付加価値で、必ずし
も高品質化ではありませんでした。
この時、住まいの高級化、高機能化として大
々的に宣伝されたのが高気密・高断熱化で、そ
れが住宅に付加される性能であるにもかかわら
ず、住宅本来の機能であるかのように宣伝され、
そう思い込まされました。
住まいづくりに携わる人々の多くがこれを受
け入れ、我も我もと高気密・高断熱化を競うよ
うになりました。
多くの学者達も口を揃えてこ
れを説き、「私が日本で最初に高気密・高断熱
住宅を提唱した」という人が何人も生まれまし
た。
この時、同時に持ち込まれたのが、高付加価
値化で、なくても生活に支障のないものが付加
された商品、住器、住宅が売られ、メーカーが
利益の急増を得たのです。
そのままバブルに突入し、生活者がバブル景
気を感じた頃にバブルの崩壊です。
その後は一気に住宅の低品質化、粗悪化、下
請けいじめから下請け殺しへとすすみ、シック
ハウス症候群等を伴いながら、今日の「健康住
宅論」等へと続いています。
この間、三世帯住宅や三階建住宅、輸入住宅、
そして様々な工法の展開、プレカット化等もあ
りました。
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