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この木どんな木
イチョウ
(銀杏、公孫樹、鴨脚)
針葉樹に属する落葉の高木・イチョウ昔からの植栽木で晩秋を彩る
属科 イチョウ科イチョウ属名前 イチョウ(Ginlcgo Biloba Linn)由来 Ginlcgoは銀杏の音読み(ギンチョウ)Ginkjoの誤植。
bilobe:二つに裂けた、biは2つの意で葉の形から、Linnは、この命名法を確立したスエーデンの植物学者リンネ(Linne)から
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中国から日本へ、そしてヨーロッパへ
イチョウは植栽木で、自生しているのは、いまでは中国の一部といわれているように、日本に入ってきたのも中国からで、観音像の渡来とともに僧侶によって運ばれたといわれている。
宋時代の中国名が鴨脚で、音読みでのイイチャオをヤーチャオと聞き、イーチャオになまり、イチョウという和名になったという。
ヨーロッパへ広まったのは元禄時代に日本から紹介したものだといわれている。
銀杏と書くのは、食用となる種子が〝ぎんなん〟と呼ばれるからで、銀杏と書いてギンナンともイチョウとも読んでいる。
公孫樹というのは、孫の代にならないと種子が実らないところからきたとされている。
知らずにいるとイチョウは葉が広いので広葉樹と思ってしまうことがある。
本誌でも第2号の広葉樹を論じた中にイチョウを入れてしまい、読者から指摘されるという愚もあったが、一応の区分としては針葉樹として扱われている。
色づきが遅い街路樹 大阪・御堂筋
色づきが遅い街路樹 大阪・なにわ筋 針葉樹は、葉が針のようにとがっていることから付けられた呼び方であるが、分類学部的には維管束を持つ高等植物が、シダ植物、裸子植物、被子植物に分けられている中の裸子植物に含まれる。
裸子植物は、種子が被われていない植物のことで、類別にはソテツ類、イチョウ類、針葉樹類、マオウ類に区分されるので厳密にはイチョウは針葉樹ではないが、一般的には針葉樹の仲間として差しつかえがないことにされている。
針葉樹の仲間の中には"ナギ"という葉の広いものもあり、イチョウのように道管をもたない材の特徴からも針葉樹に含めて考えても問題はない。
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長命の大木で、名木も多い
自生のイチョウはほんの一部にしかないが植栽木としては世界各地に広く生育していて、この季節は黄色く色づいた葉が風に舞い、街路樹のイチョウは歩道を楽しませてくれる。
春のサクラ、晩秋のイチョウはともに季節を語りかけてくれる。
イチョウで多くの人が思い浮かべる代表的な並木は、東京の明治神宮の周辺と大阪のなにわ筋と御堂筋ではないかと思われるが、東京都と大阪府の木(いわゆる県木)はイチョウである。
日本でのイチョウの植栽の歴史は古いと思われるが、記録されているのは室町時代からで、社寺や境内や公園、街路、それに一般の庭木としても広く植えられている。
街路樹以外は、人家の周辺に植えられるために単木で散在しており、用材として大量に供給されることの難しい樹種である。
イチョウは長命で大木になっているものが多く、天然記念物の指定を受けているものが20件余りあり、由緒ある名木も多い。
鳥取市の神宮寺のイチョウはその葉を持っていると子宝に恵まれると言われるように、不思議な力を持つものもある木である。
針葉樹の仲間でありながら秋に落葉するイチョウは、高さ30m、直径2~2.5mにもなり、大きなものでは目通りの幹廻り14m(直径約4.5m)のものもある。
木材としてのイチョウは、木理は通直で、心材と辺材の色の差はほとんどなく、早材と晩材(春材・秋材、夏目・冬目)の差も少ないので、年輪もあまりはっきりしていない。
従って材は均質で肌目は緻密。
硬さは中庸で気乾比重は0.45~0.55(平均)~0.67だが、材質はやや軟弱で、切削・加工がしやすく、仕上がりの良い材である。
材の保存性は高くはない。
鳥取県神宮寺の大イチョウ 日本人は古くから、イチョウの出材がまとまっては出ないことと、この材の長所をよく知って利用してきた。
主な用途は、そろばん珠、硯箱、盆などの器具材、鉛筆材、木魚や印判などの彫刻材、越前・若狭その他の地での漆器の木地などがあげられる。
そのほかによく知られているのがマナ板で料理屋などでの調理用のマナ板として今でもよく求められるのがイチョウとヤナギであろう。
このマナ板は厚さ6~9cm、幅45~60cm、長さ2mの無節であることが条件となるため、その稀少性から銘木の扱いを受けている。
板としては張板、裁縫板にも用いられてきた。
調理用に関連して言えば、中華料理用にも欠かせない木でマナ板に使われるが、その場合、大径の丸太を輪切りにしたものが使われる。
碁盤や将棋盤としても使われ、カヤより数段に安いが、カツラより高く評価されている。
残念なことに、供給が稀なことと、軽軟さから建築用材としての利用はあまりない。
用材としての活躍を書けなかったので最後に一首紹介
金色のちいさき鳥のかたちして 銀杏散るなり 夕日の岡に(与謝野晶子)
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