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二極化するか日本の住まい

日本の家づくりは本当に2極化するのか 

●木の家づくりを広げるために 先に、木の家づくりに対する阻害要因をあげました。それにもかかわらず、木の家づくりを本流 とするための底流の変化、メーカー住宅・洋風住宅の矛盾も知られつつあります。
このことは、阻害要因を乗り越える動きを強めるならば、急速に木の家づくりが広がる確かな可 能性を示していると言えます。
そこで、今、何が必要なのか、どうすればよいのかを考えてみます。
木造住宅への不安に対しては、木の家の素晴らしさを大胆にアピールすることです。 ・自然と共生した木の家こそ日本にふさわしく、健康も育てられる。
・住みがいのある木の家でこそ一緒に成長し、家族の和を育てられる。
・ きちんとつくった木の家は、決して高くない上に、安全・安心・やすらぎの百年住宅で、 ランニングコストはメーカー住宅の3分の1。(メーカー住宅は百年間に3回以上の建て替えが 必要です)
・ 国産材を使った家が増えれば、もっと価格は安くなり、日本の森林と地場産業を育てることに なる。などを木の家づくりの関係者が大きく広く語ることが何よりも大切です。
何億円の宣伝費より、何千何万人の語り部の口コミが必ず威力を発揮します。
語ると同時に見てもらうことはもっと説得力を発揮します。良い木の家をたくさんつくり、 その 都度広く呼びかけて見てもらうことです。完成見学会は当然大切ですが、工事中の見学会も大 きな意味を持ちます。本誌第18号で紹介した神戸市での「まちなかの家」づくりのトコトン会の活 動は素晴らしいもので、大いに学びたい実践例です。
木の家に住んでよかったという。住み人の感想を広く紹介することも、家づくりを考えている人 に役に立つ情報となります。(本誌でも次号から、住み人の声を掲載する予定です) 次に強調したいことは、木の家づくりを自負する建築関係者は、もっと名乗りを上げることです。 ○○建築事務所や△△工務店の看板だけではなく、「こんな木の家をつくる」ということを人びと にわかるようにすることです。(但し、羊頭狗肉は絶対にダメです) 大工・工務店を育てることも大切です。本号の「木の家をつくる建築家のこころ」に紹介した若 い建築家の姿から、何かを学んでほしいと思います。
次によびかけたいことは、もっと勉強してほしいということです。木材について、木の家の思想と 理念について、木の家づくりそのものについて、木構造について、そして21世紀についてなど です。

まともに学んでいない人が多いのは仕方がないのですが、生半可で済ませるのではなく、真っ 正面から向き合って学ぶ姿勢を広げてほしいものです。
もうひとつよびかけたいのは木材業界へです。町場の家づくりに目を向け、材料を供給する体 制・仕組みをつくることがいよいよ大切になっています。「売ってやる」の姿勢は前時代のもので 「喜んで使ってもらえる本物を提供する」という姿勢で、受注対応を考えることです。 そのために、企業形態の改革も必要かもしれませんし、協業化やグループづくりも必要かもしれ ません。
「自分達が日本の林業・木材業を守り、木の家づくりの担い手になる」という誇りと意欲を持ってほ しいと思います。
これらの実践がすすめば状況は大きく変わります。奇想天外な難題ではなく、その気になればで きるのが木の家づくりの広がりです。

●木の家づくりへすすむ過程での2極化 家づくりは、木を中心とする自然の素材を使い、季節の移り変わりの中で、時間をかけ、技を 生かしてつくられるべきものです。そして、自然とともに暮らすのが日本の家の在り方です。 短期日でフレーマー(枠組みをつくる人)によって組み立てられるのは箱であり、家ではない のです。 漢字で見れば、住宅は、人が主として身を安めさせるところですし、家は、もともとは豚など の神に捧げるものを置く聖なる建物の意味を持っています。東洋には、家を箱や器とするよう な思想はなかったのです。  このように見てくれば、洋風住宅を日本の家づくりの主流のようにしておくことはできませんし 20世紀の矛盾の解決は、日本らしさによってしかできないということも知られてきていることか ら見ても、いつまでも洋風住宅を讃美することはないと確信しています。 ですから、21世紀は、木の家づくりが本流となるべきですし、そうなる必然性があると言い続 けているのです。 木の家づくりが広がり出してきていますし、徐々に本流になる流れをつくり出しています。 しかし、そこに至るまでには、なおいくらかの時間が必要です。人々の意識が大転換するた めの時間ですし、その間のハウスメーカーや行政の抵抗があります。 このように見れば、住宅の2極化が必然の姿ではなく、木の家づくりが本流へとすすむ過程 での過渡期の姿としての2極化です。固定化された2極化ではなく、木の家づくりへと主座が 移行しつつある段階での、変化しつつある2極化という性格を持つと思っています。 2極化を固定的で必然的なものとせず、変化の過程として考えて、誇りと確信を持って木の 家づくりをすすめてほしいと願っています。      

●広がるメーカー住宅への不満 もうひとつ木の家づくりが本流とならざるを得ない必然性があります。それは、戦後のプレハブ 住宅の多くが建て替えるべき時に近づいていることと、マンションの老朽化問題が表面化しつつ あることです。
初期のプレハブ住宅はすでに姿を少なくしていますが、平均寿命25年前後と言われる高度経 済成長期以降のプレハブを主とする家が、建て替えざるを得ないところへ来ています。リフォー ム需要が急増しており、統計で示されないくらいになっているのは、そのひとつの現われです。 リフォームの場合でも、従来のプレハブ以上の良質な材料と造りが求められていますし、リフォ ームや解体の時に、大壁の中の材料の腐敗・損傷・手抜き工事の数々が明るみに出されていま す。
このような人たちからは、同じメーカーには頼まない、プレハブ住宅はもうやめた、ハウスメー カーの住宅は信用できないという声が予想以上に強く出されています。 このような声が徐々に広まってきているのは、メーカー住宅や建売り住宅が持つ矛盾に人び とが気付き始めたことを示しています。
メーカー住宅や建売り住宅の持つ矛盾は、本誌第18号の「住みがい」論との関係その他で部 分的に触れていますが、まとめて整理しておきます。
それはなによりも、間接費の占める割合の大きさによるものです。一般の家づくりにおける間接 費は10~20%が平均値とされていますが、メーカー住宅では3分の1が平均値とされています これは、一般の住宅に比べてその他の経費が20%前後圧縮されることを意味します。 メーカー住宅で使用される木材費の割合が、経費全体の5%程度と言われていることと比較 すれば、いかに間接費の割合が大きいかがわかります。
完成した住宅を20%も安いものに見せるわけにはいきませんから、材料費、人件費、工程の 簡略化にしわ寄せされることになりいます。材料の低質化、隠す部分を多く(大壁や床下、天井 裏など)して粗悪材の使用、低コストの工業製品の多用、工法の簡素化(一部の手抜き工事も) 住宅の規格化・パネル化などがその主なものです。
これを見れば、購入価格に見合った良質な住宅とならないことは余りにも明かです。 それを良いように見せて売るために、デザインや色彩で良く見せ、コマーシャルで煽り立て、 営業マン教育をし、展示場を飾っているのです。
この延長線に並ぶ問題が、こうしてつくられて売られる住宅を、住むための家というよりも商品 にしてしまったことです。
第18号でも書いたように、家はつくるものではなく、住宅という名の商品として買うものにされ たのです。メーカーの出現が建売り住宅、住宅団地の時代をつくり、林業・木材や大工・工務店 から家づくりを取り上げ、農山村の疲弊・没落、サラリーマン化の一翼を担ってきたのです。

商品としての住宅は、経験や技術を伴うものを排除しますから、最大限まで合理化した器づ くりとなっていきます。商品である器は、年月とともに劣化するのが当たり前で、住む人の成長と 反比例することになりますから、思い出も文化も生むことがなくなり、住む人の心を育てることが できないのです。
このような住宅は、いかに洋風思想による性能・機能をつけようとも、心の豊かさを育てるもの とはなりません。情緒を生まない物足りなさや味気なさ、年ごとの劣化がすすむ住宅。 これが 平均寿命約25年と言われる住宅の内実として見ることができるのです。

●木の家づくりを広げるために 先に、木の家づくりに対する阻害要因をあげました。それにもかかわらず、木の家づくりを本流 とするための底流の変化、メーカー住宅・洋風住宅の矛盾も知られつつあります。
このことは、阻害要因を乗り越える動きを強めるならば、急速に木の家づくりが広がる確かな可 能性を示していると言えます。
そこで、今、何が必要なのか、どうすればよいのかを考えてみます。
木造住宅への不安に対しては、木の家の素晴らしさを大胆にアピールすることです。 ・自然と共生した木の家こそ日本にふさわしく、健康も育てられる。
・住みがいのある木の家でこそ一緒に成長し、家族の和を育てられる。
・ きちんとつくった木の家は、決して高くない上に、安全・安心・やすらぎの百年住宅で、 ランニングコストはメーカー住宅の3分の1。(メーカー住宅は百年間に3回以上の建て替えが 必要です)
・ 国産材を使った家が増えれば、もっと価格は安くなり、日本の森林と地場産業を育てることに なる。などを木の家づくりの関係者が大きく広く語ることが何よりも大切です。
何億円の宣伝費より、何千何万人の語り部の口コミが必ず威力を発揮します。
語ると同時に見てもらうことはもっと説得力を発揮します。良い木の家をたくさんつくり、 その 都度広く呼びかけて見てもらうことです。完成見学会は当然大切ですが、工事中の見学会も大 きな意味を持ちます。本誌第18号で紹介した神戸市での「まちなかの家」づくりのトコトン会の活 動は素晴らしいもので、大いに学びたい実践例です。
木の家に住んでよかったという。住み人の感想を広く紹介することも、家づくりを考えている人 に役に立つ情報となります。(本誌でも次号から、住み人の声を掲載する予定です) 次に強調したいことは、木の家づくりを自負する建築関係者は、もっと名乗りを上げることです。 ○○建築事務所や△△工務店の看板だけではなく、「こんな木の家をつくる」ということを人びと にわかるようにすることです。(但し、羊頭狗肉は絶対にダメです) 大工・工務店を育てることも大切です。本号の「木の家をつくる建築家のこころ」に紹介した若 い建築家の姿から、何かを学んでほしいと思います。
次によびかけたいことは、もっと勉強してほしいということです。木材について、木の家の思想と 理念について、木の家づくりそのものについて、木構造について、そして21世紀についてなど です。

まともに学んでいない人が多いのは仕方がないのですが、生半可で済ませるのではなく、真っ 正面から向き合って学ぶ姿勢を広げてほしいものです。
もうひとつよびかけたいのは木材業界へです。町場の家づくりに目を向け、材料を供給する体 制・仕組みをつくることがいよいよ大切になっています。「売ってやる」の姿勢は前時代のもので 「喜んで使ってもらえる本物を提供する」という姿勢で、受注対応を考えることです。 そのために、企業形態の改革も必要かもしれませんし、協業化やグループづくりも必要かもしれ ません。
「自分達が日本の林業・木材業を守り、木の家づくりの担い手になる」という誇りと意欲を持ってほ しいと思います。
これらの実践がすすめば状況は大きく変わります。奇想天外な難題ではなく、その気になればで きるのが木の家づくりの広がりです。

●木の家づくりへすすむ過程での2極化 家づくりは、木を中心とする自然の素材を使い、季節の移り変わりの中で、時間をかけ、技を 生かしてつくられるべきものです。そして、自然とともに暮らすのが日本の家の在り方です。 短期日でフレーマー(枠組みをつくる人)によって組み立てられるのは箱であり、家ではない のです。 漢字で見れば、住宅は、人が主として身を安めさせるところですし、家は、もともとは豚など の神に捧げるものを置く聖なる建物の意味を持っています。東洋には、家を箱や器とするよう な思想はなかったのです。  このように見てくれば、洋風住宅を日本の家づくりの主流のようにしておくことはできませんし 20世紀の矛盾の解決は、日本らしさによってしかできないということも知られてきていることか ら見ても、いつまでも洋風住宅を讃美することはないと確信しています。 ですから、21世紀は、木の家づくりが本流となるべきですし、そうなる必然性があると言い続 けているのです。 木の家づくりが広がり出してきていますし、徐々に本流になる流れをつくり出しています。 しかし、そこに至るまでには、なおいくらかの時間が必要です。人々の意識が大転換するた めの時間ですし、その間のハウスメーカーや行政の抵抗があります。 このように見れば、住宅の2極化が必然の姿ではなく、木の家づくりが本流へとすすむ過程 での過渡期の姿としての2極化です。固定化された2極化ではなく、木の家づくりへと主座が 移行しつつある段階での、変化しつつある2極化という性格を持つと思っています。 2極化を固定的で必然的なものとせず、変化の過程として考えて、誇りと確信を持って木の 家づくりをすすめてほしいと願っています。      

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