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この木なんの木
ニレ(楡)
歌にも詠まれた落葉の高木 明瞭な年輪と強靭さが生きる材
科 ニレ科(ulmaceae)
ハルニレ、アカダモ、楡(ulmus japonica)
属 ニレ属
・アキニレ(ulmus parvifolia)ulmusは、この木に対するケルト語のelm(エルム)による
parvifolia:小型の葉の、cf.parvus小さい、folia葉
・ハルニレ(Ulmus Davidiana var.japonica) Davidiana:支那植物採集家の宣教師、A.ヴィッドの
・オヒョウ(Ulmus laciniata) laciniata:細かく分裂した
●北海道を主産地に広く分布
♪あかい夕陽が校舎を染めて
ニレの木陰に沈むころ
ああ~
今年満56歳の方が高校3年の時に大ヒットしたご存知、舟木一夫の「高校三年
生」の歌い出しで、その前後の世代にとってはなつかし歌である。
ついでに、もう
少し古くは「…エルムの並木涙して、君と見たハイネの詩集…」岡本敦郎の「丘に
真白の鐘が鳴る」の一節。
(古すぎるかな)
歌に折り込まれ、その木は知らなくてもなつかしさを呼ぶ木があるが、ニレ(エ
ルム)もまたそのひとつであろう。
高校3年生の頃はおろか、今もニレの木そのものを知らない人も多いかもしれな
いが、木材として賞用されるのは、ニレ科ニレ属の中のハルニレで、日本での主産
地は北海道である。
かつては道内のいたるところに自生していた、特に上川地方と
網走、十勝、釧路地方に多かった。
北海道産広葉樹の中の主要樹種のひとつであり、今回も立木のニレの写真は、北
海道函館渡島支庁の函館地区林業指導事務所さんから提供して頂いた。
ハルニレの分布は本州、四国、九州の日本全土から、樺太、朝鮮半島、東シベリ
アの温帯、中国へと広がっている。
近年は、ニレの巨木を見ることも少なくなっているが、堂々と枝を広げ、高さ30
m、胸高直径1mにもなる落葉の高木である。
3~4月頃に帯紫淡緑色の花を咲かせるのでハルニレという。
これに対し、本州では秋に花が咲くものをアキニレという。
同じニレ属の中には
良く似た材で、ややくすんだ白色系のオヒョウニレがある。
一般にニレ、エルムと
いう場合はハルニレを指している。
木理は直通で肌目は粗く、強靭な材で割れ難く、切削などの加工はやや困難であ
る。
気乾比重は0.42~0.63(平均)~0.71でやや重硬な木材で、保存性は低と言え
る。
ニレの材は、心材と辺材の境目は明らかであり、心材はくすんだ褐色で、淡黄緑
色を織りなすものもある。
環孔材で、大きな道管が並ぶための年輪ははっきりして
いる。
材面はざらつき、仕上げ材面の光沢は少なくないが割れにくく、粘りのあるのも
特長。
湧別町
●表面化粧材としても高い評価
ケヤキの代用として使われることでニレケヤキと呼ばれることもあれば、特に板
目の登り杢がケヤキ杢とよく似ていることから、ケヤキとして通されることもある
。
木目がはっきりして杢が綺麗なことで、化粧的な価値が高く、ツキ板として家具
や内装に良く使われる。
時には、小枝にコルク層が異常に発達して、ごつごつした
ものもあり、コブニレと言われ、化粧的価値の高いものとされている。
ニレの用途は、杢を生かして、造作用の板に使われることが多い。
また家具用材
としての評価が高い。
他に独楽、器具、車輌、椀、盆、柄類、さらには薪炭の用途も
ある。
銘木市(旭川)ハルニレコブ
杢のある良材は、杢目を生かして製材し、塗装仕上げをして床柱や床材に使用され
たり、階段部材にも使われる。
内地でのニレ材の減少から、中国、ロシアから輸入される材もかなりあり、北陸
地方での盆作りに供されたりし、加工品がアメリカなどへも輸出されている。
輸入
材はやや軽いが、ほぼ同等に扱われている。
なお、北海道ではアカダモと言うこともある。
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