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スギを生かす、スギを使う
スギは「直くやか」な木、「真直ぐ」な木、「すぐれた」木という語源を持
つ日本を代表する木です。
スギ科の木は世界中に見ることができますが、スギ科のスギ属に分類されるのは日
本のスギだけです。
どこにでもあるスギながら、日本特有の木であることを知っている人は少ないかも
しれません。
でも、スギが、数千年の日本の歴史を通して、ヒノキとともに木の文化
を育む主役であったことは知られている通りです。
ところが今、数ある木の中で一番粗末にされ、除け者にされているのがスギなので
す。
誰がこれほどスギをみじめな存在にしたのかを、ちょっと考えて下さい。
スギの山が手入れもされずに荒れて、陽も射さない山が増えています。
スギの木を
切り出して売っても、安すぎて経費倒れで林業経営を維持することができずにいます
品確法などの法が出るたびに建築にスギが使いにくくなる傾向があります。
建築家が
スギを使いたいと思うと産地まで出向かないと必要な材料が手に入らないという不思
議があります。
このようなことがいくつも重なって、山にはいっぱいスギがあるのに使われない
(使えない)のです。
木の文化を支えてきたスギが使いにくくなったのは、ほんの最
近の
こと、たった30~40年のことです。
何千年も日本に親しまれてきたスギなのに、こんな現実を見て怒りが湧いてこなけ
ればおかしいのです。
そしてスギを使えるようにしなければならないのです。
犯人探しをしたら大変なことになってしまいそうです。
そこには、GHQからはじ
まるアメリカと多国籍企業、政府、行政機関、教育、マスコミ、建築界、木材界、林
業界、とみんな入っているのです。
では、主犯は誰だということになるのかもしれませんが、みんなが何らかの責任を
持っていることこそがこの現実をつくっているのです。
ですから、それぞれが自分たちの持ち場から、スギを生かす研究と努力をしなけれ
ばならないのです。
そうすれば、自ずと主犯は明らかになります。
「木のこころ」は、これまで一貫して、木を使おう、国産材を生かそうと訴え、実
践的歩みを呼びかけてきました。
時には怒りをこめ、時には憂いながら・・・。
そして本特集で改めてスギをテーマにしました。
山が育ち、日本らしい木の家が建ち広がり、木の文化がおおきく復興することを願
っています。
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