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吉野杉でつくる無垢の木造り
木陽倶楽部の家
「環境共生」「健康」が時代の要請と
なりつつある今日、建築家もその存在
価値が問われる時代になってきている。
そんな中、「K(環境と健康を考えた)
J(住宅を創る)W(仕事)」を企業理念
に本物の木造住宅を提供しているのが
㈱KJ・WORKS。
その代表者の福井綱吉氏が中心となっ
て、各土地の風土にあった木造住宅を
提供する地場の職人(マイスター)達の
ネットワークによる家づくりの組織と
して、約2年間の準備期間を経てこの
ほど企業組合木陽倶楽部を設立。
設計事務所、工務店ら四社が有機的に
結びつき、五感に響く風景・環境・文化
づくりに寄与する国産材による本物の
住まいづくりを開始した。
自然を採り込み、
陽や風をデザインする
企業組合木陽倶楽部
㈱KJ・WORKS
生活者の顔が見える仕事へ
大阪府吹田市の街中に、唐松の板貼り外装が一見奇異とも見える建物が佇んでいる。
木造りの家にこだわり続け、営業活動をせず街の喫茶的建築事務所を提唱している
㈱KJ・WORKSの社屋だ。
木にこだわる設計事務所は多々あるが、内装はもちろん外装まで木で造った事務所は
余り見られない。
「外装にも木を積極的に使うことで、内装にも木を使った空間が在
るであろうことを街行く人にも想像させる」事が目的だ。
前身は家具製造を営んでいた㈱KJ・WORKSだが、所長の福井氏も家具屋、建材
商社などの職を経て、最終使用者=生活者の顔や気持ちが解る仕事をしたいとの強い
想いから設計・建築分野を手掛けはじめ、木と太陽熱を有効利用した自然派住宅を提
供するOMソーラーグループに加入。
自然素材である木を使った健康住宅に興味を持
ち始めたという。
一年前から、奈良県の銘木販売業者と工務店を仲間に取り入れ、一般生活者に吉野の
山を見せる「自然とのふれあいバスツアー」を開催。
バス四台、二百名を超える参加
者があり予想を大きく上回る反響があった。
その中から出た国産材を正しく使った健
康住宅を強く求める生活者の生の声に呼応して、本物の木造住宅を提供するグループ
「木陽倶楽部」を98年2月に発足した。
「グループ方式で国産材や地域材を提供する会は全国でも多く拡がりを見せているが、
実際問題としてうまく機能している会は僅少だと思う。
グループ方式の問題点として、
いざと言う時の責任の所在が不明瞭な事。
トラブルを抱えた施主が泣き寝入りせざる
を得ない実例も出始めている。
設計事務所、材料提供者、工務店の責任比率は様々だ
ろうが、施主から見れば数千万円もする高額の買い物。
その全額の責任は普通のグル
ープ方式では負いきれない場合もある」。
明瞭な社会的責任を取れる体制を整えるため、「木陽倶楽部」を企業組合化する取り
組みに着手し、98年12月に認可を受けて、設計事務所二社、工務店二社の計四社
で正式に設立した。
木の家を強固にする「伝統維新」の技術と工夫
企業組合木陽倶楽部が提供する家は、日本の銘柄材・吉野杉
でつくる無垢の木づくりが基本となっている。
古来より、日本人が一番たくさん使ってきた建築材料であり、
最も多く国内で育っている「杉」にこだわり、自然のエネルギ
ーをフルに活用した自然派住宅を提供する。
国産材利用の最大のネックとも言える木材価格の面では、奈
良県川上村を中心とした吉野杉の生産業者と提携し、企業組合
としてのスケールメリットや責任体制を前提として、材料価格
を抑えた自然乾燥の杉材を安定供給してもらえる体制を整えた。
木陽倶楽部の家は、材料の持つ素材感を引き出し、柱や梁が
見える真壁づくりの家を基本としているが、構造設計の主軸と
なるのが、太陽エネルギーを床暖房や給湯、換気に利用するソ
ーラーシステムである。
同システムは、自然の力を使って四季に合わせた空調を行う
もので、気象衛星のデータをもとに施工地域の気候をシュミレ
ーションし、そこから割り出される窓の数や向き、開戸の方向
などを決めて、冬季には屋根で蓄熱した空気を床下から住宅内
を天井へと通し家全体を暖める。
夏は放射冷却によって冷やされた外気を室内に通し、温度差か
ら生じる結露を排出することで空気中の除湿などを行うもの。
屋根裏から床下を通して室内へと空気を循環させるソーラー
システムの仕組みを考慮して、野地板・床下地にはホルムアル
デヒドの少ないF1合板を使用
し、身体に優しく環境にも負担の少ない素材だけを選んでいる。
構造用柱材には120mm角の含水率25%程度の二度挽き製
材品を使用し、80年生以上の杉材を梁に採用。
土台廻りには
桧の芯材を使用して、有害な防腐・防蟻剤などは一切使用して
いない。
二階床には、天井材も兼ねる独自開発した36mm厚積層杉パ
ネルを採用して、土台と通し柱、梁などにはダイカラット(国元
商会)や、Dボルト(ヨネザワ建築)など最近開発された新型の土
台保護スペーサー、緊結金物等を使用。
壁は土壁や和紙など多彩な自然素材を用い、塗装も柿渋や密
ろうワックスなどの天然物の塗料を使用している。
人も家も呼吸できる家づくり、自然の力を活かし、なるべく化
石燃料や機械に頼らず、自然に同調して四季を通じて快適な住
環境を提供する家だ。
ここにしかない生えているような家
自然素材での家づくりは、昔の家に戻ることではなく、なる
べく自然に同調し、人の身体の理に合った家づくりをするとい
うことでもある。
床材に独自開発の杉板材を使用したのも、靴やスリッパなどで
木床の上を歩くのではなく、素足で直に木に触れるのなら、や
わらかく暖かみを伝える針葉樹の方が心地よいと考えたからだ。
吉野杉の無垢材をふんだんに使いながらも、いわゆる伝統的
な「和風」のデザインではない。
和の理念を継承しつつ、現代の生活スタイルに合致した空間デ
ザインに留意している。
外装にも無機質なサイディング材をな
るべく避け、積極的に無垢材を使い、外から一目見ても内装ま
で木でおおわれていることを想像させるつくりにしている。
吹き抜けの大きい開放的な空間配置と無垢材による木質感あふ
れる内装は、見た目にも健康的で室内に入ると深呼吸したくな
る。
また生活者のコスト的な要望に応えて、ソーラーシステムを
使用しない、よりリーズナブルな国産材住宅も提供している。
気密性を無くし、開口部を多く取り、窓からの通気性が高い真
壁方式の国産材住宅も要望に合わせている。
単価的にはソーラーシステム付きで六十五万円/坪~、普及タ
イプの国産材住宅で六十万円~となっており、予算に合わせた
設計とシステムで要望に対応してゆく。
木を見せられ、木に魅せられ
国産材利用に着眼したのは、単に身近な自然素材として見た
のではなく、自然を育み、住む人の健康と安全を確保するため。
昔から日本の自然は里山とも呼ばれ、人々が利用し手を入れる
ことによって保たれてきた。
産地と家づくりを結ぶ事は、単に住まう人に健康を提供するだ
けではなく、森林を育て、命の源である水を涵養し、空気を浄
化することに繋がるからである。
住宅の最終使用者である生活者の方々に木が育っている現場
を実際に見てもらおうと企画した「奈良・吉野バスツアー」だが、
その中では福井氏自身も机上の知識では学べない様々な情報を
得たという。
本物の木造住宅は確かに良い。
しかし、木の家には木の家に
合った暮らし方も必要になる。
その想いから年6回のペースで「住まい方教室」も開催してお
り、木と木造住宅の情報発信にも力を入れている。
「吉野の山林を歩いて廻り、実際に製材された吉野材を見た
とき、吉野の厳しい自然が育んだ吉野杉の目の詰み方、深み
には、他の国産材には見られない優しさが感じられた。
仕事のことは全く抜きにして、この美しい木々たちが持つ素晴
らしさを最大限に引き出して、少しでも多くの人に使ってもら
いたいと素直に思った」と感慨深げに語る。
木陽倶楽部の名前の由来は、吉野の山林を散策している時、
木々の間から差し込んでいた木もれ陽から採ったという。
銘木吉野材を型にはめず、純粋にひとつの素材として再考し、
伝統の継承と創造を続けて行く。
木に魅せられた木陽倶楽部は、現存する豊かな国有林材と木の
こころを次世代に伝える活動を続けて行く。
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