セイロンテツボク属の樹木
16.Mesua beccariana KOSTERMANS
Mesua beccariana KOSTERMANS(異名
Kayea beccariana BAILLON、Kayea laevis KOSTERMANS)はスマトラ、ボルネオ産である。
高さ30m、直径70cmまでになる高木で、葉は楕円形から長楕円形、長さ7~23cm、幅3~10cm、やや短い尾状鋭尖頭、基部は円形から楔形を呈し僅かに葉柄へ流下する。側脉は11~17対あり、3次脉は下面で不顕著である。無毛。葉柄の長さは1.2
~2cmである。葉柄上葉があるが早く脱落する。円錐花序は頂生し長さ10cmまでで、約3花ずつを分枝につける。果実はほぼ球形で径は3cmまで、がく片は早落性である。
材は
penaga tikusとして利用されると推定される。
17..Mesua daphnifolia KOSTERMANS
Mesua daphnifolia KOSTERMANS(異名
Kayea daphnifolia
RIDLEY)はマレー半島産である。高さ12m、直径20cmまでの高木で、葉は狭い長楕円形、長さ19~24cm、幅4~5cm、先端、基部ともに狭くなり、縁は僅かに反捲する。革質で、側脉の間隔は約1cm、葉柄は長さ1.2cmで太い。果実は球形で径は約2cm、宿存す
る2個の大きい革質のがく片に包まれる。
18.Mesua elegans KOSTERMANS
Mesua elegans KOSTERMANS(異名
Mesua caudata KOSTERMANS、Kayea elegans KING、Kayea caudata KING)はマレー半島、シンガポール産である。
高さ13~20mの高木で、小枝は垂下し細い。葉は皮針形などで長さ6~7cm、幅1.5~3cm、先端はかなり急に長さ1.5cmの尾状部に狭まり短い針状の突起に終わる。基部は楔形である。葉柄の長さは0.6~0.9cmである。
花は腋生および頂生で単出し、きわめて短い花梗がある。径は約10mmで白色を呈する。がく片4個はほぼ同長、花片4個は長楕円形、鋭頭でがく片より小さい。果実は楕円形などで長さ4cmまで、先端は長さ2cmほどの太い嘴状となる。外面に微細な黄土色
の鱗片を布き、宿存するがく片の上にのる。
材の気乾比重に0.88の記載がある。
19.Mesua elmeri KOSTERMANS
Mesua elmeri KOSTERMANS(異名
Kayea elmeri
MERRILL)はボルネオ産である。高さ30m、直径50cmまでになる高木で、葉は楕円形、長さ2~13cm、幅1~5.5cm、基部は楔形で葉柄に短く流下する。側脉は13~14対あり、三次脉は側脉とともに下面で顕著である。無毛。葉柄上葉があるが早落性である。
花は長さ2cmまでの円錐花序につく。果実は径約0.6cmで、がく片は早く脱落する。
20.Mesua grandis KOSTERMANS
Mesua grandis KOSTERMANS(異名
Kayea grandis KING)はマレー半島、ボルネオ産で、マレーで
chindarahan gajah、bunnai、penaga bayan、penaga sabutという。
高さ33m、直径55cmまでになる高木で、ときに高さ1.8mまでの険しくて厚い板根をもつ。樹皮は平滑のものから割れ目があるものまであり、また裂片化する。内樹皮から透明で黄色の樹液を少し分泌する。葉は長楕円状皮針形で大きく、長さ13~65cm、
幅4.5~15cm、先瑞へ狭くなり、基部は通常小さい心形、ときに円形または葉柄に流下する。革質で、側脉は25~60対あり、平行して走り縁近くでループになってかすかに連結する。これらは上面で凹み、葉身が膨れたような外観を呈する。葉柄は長さ0.8
~2.6cmで太く、葉柄上乗は通常残存性で心形を呈し長さ1cmまである。
花は3個ずつが集散状にかたまり、花序軸は1.2cm、花梗5mmのものが頂生または腋生して束出する。花の径は約20mmである。果実は径5cmまでで、宿存する革質または木質で薄い4個のがく片で完全に包まれる。
材の気乾比重に0.71~0.80の記載があり、材はpenaga tikusとして利用される。
21.Mesua kochummeniana WHITMORE
Mesua kochummeniana WHITMOREはマレー半島産で、現地名は
penaga bayan、penaga sabutという。
高さ36m、直径95cmまでになる中高木からやや大高木で、樹皮は暗灰色を呈し鱗片化する。内樹皮から透明な黄色の液滴を分泌する。葉は卵状長楕円形で長さ約22cm、幅約7cm、短凸頭をなす。革質で、側脉は間隔が約5mmあり、下面で三次脉とともに
顕著である。葉柄は長さが約1.2cmで太い。
花は3~6個ずつが長さ4~7cmの花序に総状につき、それが頂生して束出する。果実は径が少くとも3cmあり、宿存して木質となった2個の大きいがく片に包まれている。
材は
penagaまたは
penaga tikusとして利用される。
22.Mesua kunstleri KOSTERMANS
Mesua kunstleri KOSTERMANS(異名
Kayea kunstleri KING var.rosea RIDLEY、 Kayea rivulosum RIDLEY)はマレー半島産で、現地名を
serendahという。
高さ12mまでの大低木ないし小高木である。葉は楕円形で長さ15cm、幅5cmまで、先端はしばしば長い尖頭となる。薄い革質で、網脉は不顕著である。葉柄はふつう褐色の鱗片で被われ、ときに長さ1cmの葉柄上葉をもっている。
花は腋生または頂生で単出する。果実は楕円形で長さ3cm、まれに4.5cmまであり、太く長い嘴状部がある。外面はコルク質で淡黄褐色の微細な鱗片で被われる。宿存する肥大しないがく片にのっている。
次の変種がある。
Mesua kunstleri KOSTERMANS var.curtisii WHITMORE(異名
Mesua curtisii KOSTERMANS、Kayea curtisii KING)はマレー半島産で、葉は小さく長さ6~11cm、幅1.5~3cmである。
23.Mesua lepidota T.ANDERSON
Mesua lepidota T.ANDERSON(異名
Kayea lepidota PIERRE)はインドシナ、マレー半島、スマトラ、フィリピン産で、マレーで
penaga bayan、penaga tikus、jambu dulek、kelat putihという。
高さ21m、直径40cmまでになる高木で、樹幹基部に溝が入る。樹皮は鱗片化してひっかかった状態となる。内樹皮から透明で黄色のワニス様の樹液を分泌する。葉は長楕円形などで長さ8~15cm、幅3~5cm、先端はやや広い尖頭、基部は広い楔形を呈する
。薄い革質で、側脉は両面ともに不分明、無毛である。葉柄は長さ約0.4cmで、長さ0.5cmまでの小さい葉柄上葉と、線形~皮針形でやや残存性の托葉とをもつ。
1~3花を総状につけた分枝を散形に配した花序を腋生および頂生する。花の径は11mm、がく片は円形で幅が5mm、花弁は径8mmの円形で基部に向って著しく狭くなり開出しない。果実は通常単生し、球形で径は2.5cmあり僅かに角ばっている。厚い木質で
、表面に微細な瘤状物がある。通常宿存した反捲する厚い木質のがく片の上にのっており、その上部で基部のくびれがある。果実は最終的に2~3弁に裂開する。材の気乾比重に0.70、0.82の記載がある。
次の変種がある。
Mesua lepidota T.ANDERSON var.parviflora WHITMORE(異名
Kayea parviflora
RIDLEY)はマレー半島産で、小枝がより細く、葉は小さく長さ4~8cm、幅1~2cmで、しばしば先端が小さい針状の尖頭となる。花も小さく径が3~8mmである。
24.Mesua nivenii WHITMORE
Mesua nivenii
WHITMOREはマレー半島産の高さ5mまでの小高木である。葉は卵状長楕円形で長さ約9cm、幅約4cm、基部は通常円形を呈する。厚い革質で、側脉は下面でほとんど認められない。少数の花をつける長さ4~5cmの花序が散形状につき、径約8cmでの頭状になっ
て頂生する。花は無柄で、がく片の幅は6mmである。果実は球形またはこま形で、宿存の肥大した木質~革質のがく片に完全に包まれる。
25.Mesua nuda KOSTERMANS ex WHITMORE
Mesua nuda KOSTERMANS ex WHITMOREはマレー半島産で、現地名を
penaga lilin、penaga tikusという。
高さ29m、直径65cmまでになる高木で、ときに樹幹基部に険くて厚い板根または溝がある。樹皮は褐色で、初め平滑であるが、後にひっかかるような裂片化をする。内樹皮から少量の透明な滲出物を出す。葉は楕円形で、長さ5~8cm、幅1.5~3cm、尾状
鋭尖頭、基部は楔形を示す。薄い革質で、側脉は多数あって両面で不顕著である。葉柄は長さ0.3cmで、微細な鱗片を被むる。
花は腋生して束出する。果実は長楕円状卵形で長さは4cmまで、先端はやや嘴状となり、黄土色で微細なコルク質の鱗片で被われる。がく片は脱落性である。種子1個を含む。
材は黄色を帯びる。材はpenaga tikusとして利用されると推定される。
26.Mesua paniculata KOSTERMANSの概要
Mesua paniculata KOSTERMANS(異名
Plinia paniculata BLANCO、Kayea paniculata MERRILL)はボルネオ(サバ、ブルネイ)、セレベス、フィリピン、オーストラリアのクィーンズランドに分布し、フィリピンでふつうに見られる。フィリピンで
kaliuas、agulasing、malimbatu、tabon tabon、bagatalという。
高さ30m、直径65cmまでになる高木である。葉は長楕円形、皮針形などで長さ10~14cm、幅2.5~3.2cm、基部は楔形になって葉柄に流下する。側脉は約30対あって明瞭である。葉柄は長さ0.8~1cmで無毛である。
花は1~3個が腋生で束出し、また頂生で長さ5~7cmの円錐花序または総状花序につく。果実は卵形から球形を呈し、径は約1cm、先端に短い嘴状部があり、宿存のがく片の上にのる。
27..Mesua paniculata KOSTERMANSの材の組織、性質と利用
散孔材。辺・心材の境界は不明瞭で、心材は淡紅褐色などを呈する。生長輪は不明瞭である。木理は通直、肌目は精で光沢がある。特別な匂いや味はない。
道管はほぼ一様に散在し、
セイロンテツボクMesua ferrea
LINNAEUSのように、グループをなして放射方向の線に配列するなどのことはない。単独、ごくまれに2個が接続し、分布数は21~26/mm2、断面形は広楕円形など、径は0.06~0.16mmである。せん孔板は少し傾斜し、単せん孔をもつ。チロースは見られない
。まわりに周囲仮道管があるがきわめて少い。
材の基礎組織を形成するのは有縁壁孔をもつ繊維状仮道管で、長さは1.1~1.7mm、径は0.01~0.02mm、壁厚は0.003~0.005mmである。
軸方向柔組織では、帯状柔組織が明瞭で、放射方向に2~6細胞層あり、接線方向に比較的長く連なる。輪郭にはやや凹凸がある。柔細胞の径は0.015~0.03mm、壁厚は0.001~0.002mmである。細胞内に樹脂様物質を含む。標本では多室結晶細胞は認められ
なかった。
放射組織は1~2、ときに3細胞幅、2~35細胞高である。その構成は異性で、軸方向の両端、ときに中間にも、丈が低い直立細胞または方形細胞の層があり、他は通常の小形の平伏細胞の層であるが、また軸方向の高さが大きく放射方向の長さが短い大形
の平伏細胞の層が混在している。細胞内に樹脂様物質の含有が多い。シリカを含むものがある。
材の気乾比重に0.75~0.80の記載がある。板材の乾燥はあまり困難がなく、製材、切削加工はおおよそ容易で仕上げ面は良好である。心材は屋内使用では耐朽性があるが、露出条件では耐朽性は低い。
材はpenaga tikusとして扱われ、建築構造材・内装造作材、家具、キャビネット、器具材その他に利用されるが、供給量は多くない。
28.Mesua pursaglovei WHITMORE
Mesua pursaglovei
WHITMOREはマレー半島に稀に産する高木である。葉は皮針形で長さ13cm、幅4cm、先端は長くテーパーし、基部は円形である。厚い革質で、側脉と中間脉は下面で鋭く隆起して顕著である。花は1~2個ずつが腋生の花序に総状につく。花梗は20~40mm、小
花柄は10mmである。果実は扁球形で径は3.8cmまであり、4個の薄い革質でふけ様物質を布くがく片で包まれる。
29.Mesua racemosa KOSTERMANS
Mesua racemosa KOSTERMANS(異名
Kayea racemosa PLANCHON ex TRIANA et PLANCHON)はマレー半島、ボルネオに生ずる。
高さ24m、直径50cmまでになる高木で、ときに板根が出る。樹皮は平滑に近いが、細かい割れ目で皺状となる。内樹皮から少量の透明で黄色の液滴を分泌する。葉は卵状長楕円形で長さ13~21cm、幅4.5~8cm、短い鋭尖頭、基部は楔形を呈する。革質で
、側脉は18~25対あって両面に隆起する。葉柄の長さは約2cmで、葉柄上葉は出ない。花は3個ずつが総状になって短い花序につき腋生および頂生する。花の径は13mmで、がく片は4個、花弁は4個で薄くがく片より長い。雄ずいは多数で短い。果実は径が5c
mまでで、宿存するがく片に包まれている。
材の気乾比重は0.725~0.74で、
penaga tikusとして利用される。
30.Mesua rosea KOSTERMANS
Mesua rosea KOSTERMANS(異名
Kayea rosea RIDLEY)はマレー半島南部に稀に生ずる高木である。葉は楕円形などで長さ12~25cm、幅2.5~6cm、先端は長くテーパーし、基部は鈍形である。革質で、無毛、側脉は20~25対あり下面で強く隆起する。中間脉が顕著である。
頂生で単出または束出する長さ7~12cmで幅が狭い円錐花序に多数の花をつける。花梗の長さは13mmで、花は淡紅白色を呈する。がく片は4個で円形、長さ6mm、花弁は4個で卵形、がく片より長く、雄ずいは短い。果実は球形で径は4cm、宿存する2個
の革質ないし木質のがく片に包まれる。
31.Mesua wrayi KOSTERMANS
Mesua wrayi KOSTERMANS(異名
Kayea wrayi
KING)はマレー半島産である。高さ7.5mまでの低木または小高木。葉は卵形、広楕円形で長さ6~11cm、幅3~6cm、鈍頭から短い鋭尖頭を呈する。厚い革質で、無毛、側脉は15対あって下面に顕著である。通常上面が著しい凸面を呈する。葉柄の長さは1cm
で太い。
少数の花をつける長さ4~5cmの花序が散形状につき、径が約8cmまでの頭状になって頂生する。小花柄の長さは8mmである。がく片の幅は7mmでやや微細な皺があり、花弁はずっと小さい。果実は球形またはこま形で径は4.5cmまで、宿存して肥大し皺
がある木質~革質のがく片に完全に包まれている。