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 cExpo 2025
平井信二樹木研究
カキバチシャノキ属の樹木
6.カキバチシャノキの概要
カキバチシャノキ、イヌジシャ、スズメイヌジシャ、リュウキュウチシャノキCordia dichotoma FORSTER FIL.(異名Cordia obliqua WILLDENOW、Cordia suaveolens BLUME、Cordia griffithii C.B.CLARKE、Varronia sinensis LOUREIRO、Ehretia ovalifolia WIGHT var.liukiuensis MATSUMURA)は、かつてCordia myxa LINNAEUSとされたことが多かったが、これとは別種とする扱いに従っておく。
 わが国では奄美大島以南の琉球に生じ、分布はインド北部、バングラデシュ、ビルマ、タイ、支那南部、チベット、台湾、インドシナ、マレーシア・インドネシア地域、フィリピン、パプア・ニューギニア、ニューブリテン、ソロモン諸島、ニューカレ ドニア、オーストラリア北部ときわめて広い。
 英名でcordia、cordia tree、sebestan plum、バングラデシュでbohal、kalahuza、ビルマでthanat、タイでphakmong、manmu、中国で破布木、台湾で破布子、樹子仔、破菓子、ラオスで'man、'man khok、マレーでnona burong、petekat、sekendal、sekendai sekundah、インドネシアでkedal、nunang、toledo、フィリピンでanonang、anonang bakir、guma、パプア・ニューギニアでcordiaなど多くの名称がある。
 ふつう高さ18m、直径60cmまで、ときに高さ25m、直径lmまでになる落葉または常緑の小~中高木で、ときに低木状を呈する。枝は端末で下垂する。樹皮は淡灰色から褐色を呈し、平滑ないし浅い割れ目が入り、繊維質である。若枝には脱落性の軟毛を布 く。葉は互生し、卵形、楕円形で長さ6~15cm、幅4~9cm、鋭頭または鈍頭で短凸端、基部は楔形から円形またはやや心形を示す。薄い革質で、全縁または不規則な波状微鋸歯があり、やや波うっている。側脉は3~5対あり、上面は鱗片でざらつき、両面 に軟毛を疎生するかまたは無毛である。葉柄の長さは2~5cmで細い。
 集散花序は葉に対生する側枝に頂生し、ふつう2叉状に分岐して散房状に配列し、その幅は5~8cmある。花には雄花と両性花の2型がある。がくは鐘形で長さは5~6mm、裂片5個は三角形で大きさは不同である。花冠の径は約7mmで、筒部はがくとほぼ 同長、裂片5個はこれより長い。白色ないし淡黄色を呈し平開する。雄花の花糸は長さ約3.5mmで、退化雄ずいは球形を呈する。両性花の花糸の長さは1~2mm、子房は卵形、花柱の下部単一部分の長さは1~1.5mm、第1次分岐の2分枝の長さは約lmm、第2次分 岐の2分枝の長さは2~3mm、柱頭はさじ形を呈する。石果はほぼ球形で径1~2cm、黄色ないし紅色を呈し後黒色に変わる。果肉(中果皮)は膠質でほとんど透明、甘い味があり、核(内果皮)は硬く皺があって、中に種子1個を含む。果実の下方は宿存のが くで包まれ、その辺縁には僅かに波状の牙歯がある。  
7..カキバチシャノキの材の組織
 散孔材であるが、とくに幼木で環孔材的な傾向を示すことがある。辺、心材の区別は一般に不明瞭で、辺材は淡灰褐色、心材は灰褐色、黄褐色、褐色などを呈する。生長輪はかなり認められるものがある。木理は通直ないし交走し、肌目は一般にやや粗 である。材面に光沢はなく、特別な匂いと味はない。大径木ではしばしば心腐れをもつものがある。
 道管は単独のものが多いが、また各方向に2個、団塊状に4個までが接続するものがあり、分布数は1~8/mm2である。単独道管の断面形は円形、楕円形な どでやや角ばり、道管の径は0.08~0.37mmを示す。せん孔板は水平またはやや傾斜し、単せん孔をもつ。接続道管の間の有縁壁孔は交互配列をし、蜂窩状でその径は0.005~0.008mmである。道管と放射組織の間の半縁壁孔対も上のものとほとんど同様で あるが、また長楕円形に伸長して長径が0.020mmまでのものがある。チロースが存在する。
 材の基礎組織を形成するのは通常繊維状仮道管で、長さ1.1~2.1mm、径は0.01~0.03mm、壁厚は0.003~0.004mmである。
 軸方向柔組織では、周囲柔組織はほぼ1細胞層であるが、また一部が欠けた不完全なもの、ときに2~3細胞層のものもある。帯状柔組織は量が多く顕著で、放射方向の幅は1~13細胞層あり、やや不規則である。また道管を包含して周囲柔組織と連なり、 あるいは分断、波状を呈するなどのものがある。放射方向の出現間隔は繊維の2~10細胞層である。また単独散在の柔細胞もみられる。柔細胞の径は0.01~0.05mm、壁厚は0.001~0.002mmである。柔細胞の中には形、大きさの異なる菱形の結晶が複数含まれ ていることがあり、また砂晶もある。
 放射組織は1~6、まれに12細胞幅までのものがあるが、4~6細胞幅のものが多く、高さは5~50、ときに80細胞高または以上となる。構成は異性である。鞘細胞が存在するが放射組織の外廓を完全に包囲していない。軸方向両端の単列部1~3層と鞘細胞 は丈が高く放射方向の長さが短い大型の平伏細胞の層であることが多く、また方形細胞、直立細胞の層のものもあり、他は通常の小型の平伏細胞の層であるが、まれに大型細胞の層が入りくんでいるものがある。細胞内には樹脂様物質を含み、また形、大 きさの異なる菱形の結晶または砂晶が含まれる。シリカはみられない。  
8.カキバチシャノキの材の性質と材その他の利用
 材の気乾比重は0.42~0.57、生材から含水率12%までの収縮率は接線方向3.8%、放射方向1.3%の記載がある。強度的性質では縦圧縮強さ423kg/cm2、曲げ強さ658kg/cm2、曲げヤング係数8.7×10(4)kg/cm2、せん断強さ61~66kg/cm2、ヤンカ硬さは放 射断面238kg、接線断面253kgの報告がある。
 製材、乾燥、切削加工は一般に容易である。材の耐朽性は低く、接地、外気条件では容易に腐朽する。ヒラタキクイムシ、海虫にも抵抗性はない。材の防腐剤注入は良い結果は得られていない。
 樹は一般に径が小さく、樹幹が短く、形質が良くないので、ふつうの市場材にはならない。多くは地方的に利用されている程度である。一時的な構造物、建築内装・造作材、工具柄その他の器具、小さいボート、木履などに用いられ、また燃材とされる 。合板製造には径が小さいのでふつう適当でない。現地民は材片をこすって火を起こすのに使うことがある。
 果実は生食する。台湾では果肉を煮て塩を加え団子にしたものを樹子円と称し食用にする。また若い果実を野菜やピクルスにする処がある。果肉が膠質なので糊、とりもち、ガムにし、薬用として解熱、去痰に用いる。種子から油をとる処もある。樹皮 の繊維はロープ、網、畳糸、刷毛、筆毛などに用いる。樹皮の煎汁を解熱、消化不良に、その乾燥粉末を口中潰場の薬用とする。葉は解熱の薬用、飼料にする。樹はラック虫の寄主に用いられ、庭園樹、行道樹に植栽される。  
9.Cordia cochinchinensis GAGNEPAIN
 Cordia cochinchinensis GAGNEPAINは支那・海南島、ベトナム、タイに生じ、中国で越南破布木という。
 高さ2~4mの小高木または蔓性の低木である。葉は卵形、倒卵形または楕円形で長さ3~8cm、幅2~3.5cm、鈍頭または微凹頭、基部は楔形ないし円形でまれに心形を示す。全縁で、側脉は5~7対あり、網脉は下面で明瞭である。上面はときに小斑点を 密布し、下面脉腋に細毛を束生する。葉柄は長1~2cmで細い。
 集散花序は有葉の側枝に頂生し、花が緊密について頭状を呈する。花は両性花で、がくは盃状、長さ7~8mm、4~5個の不斉な三角形の裂片があり、外面は有毛である。花冠は長さ14~16mm、筒部と裂片とはほぼ同長で、白色ないし淡黄色を呈する。
 花糸の長さは3.5~4.5mmで無毛または細毛を散生し、葯の長さは1.5mmである。花柱の下部は長さ約3mmの円柱状を呈し、第1次の2分枝の長さは約lmm、第2次の2分枝の長さは約3.5~5mmで、これらは細弱である。石果は球形に近く径は0.8~lcmあり、宿存す る盃状、革質のがくの上にのる。  
10.Cordia premifolia RIDLEY
 Cordia premifolia RIDLEYはマレー産の高木で、同地でsekundaiという。若枝、葉脉、葉柄に細軟毛を布く。葉は卵形で長さ約16cm、幅約10cm、鈍頭またはやや鋭頭、基部は円形から心形を示す。革質で、縁は波状を呈するかまたは鋸歯がある。
 集散花序は長さ2.5cmほどで3岐する。石果は卵状球形で長さ2cmほど、黄色を呈し、コップ形で有毛の裂片ある宿存がくが下方半分ほどを包む。内果皮(核)は長楕円形で鋭頭、6本の隆条があり3室からなる。  
11.Cordia furcans JOHNSTON
 Cordia furcans JOHNSTONはインド、ビルマ、タイ、支那雲南・広西省と海南島、ベトナムに生じ、中国名を二叉破布木という。
 高さ5~15mの高木で、樹皮は灰色を呈する。葉は広卵形、楕円形で長さ5~15cm、幅4~12cm、鈍頭、基部は円形まれに広楔形または心形を示す。通常全縁であるが、まれに不明瞭な鈍鋸歯があり、上面は硬毛でざらつき、下面は淡黄色の細綿毛を密布す るが、まれに無毛に近い。葉柄の長さは3~6cmで細い。
 集散花序を頂生または葉腋外に側生し、幅8~12cmで花を多くつける。花は雄花と両性花の2型があり、無梗または無梗に近く、4~5数性である。がくは鐘形で長さ約5mm、不規則に浅裂し、裂片の長さは1~1.5mmである。花冠の長さは6.5~8.5mmで、白色 を呈し、筒部の長さは2.5~3mm、長楕円形の裂片の長さは4~5.5mmで、開出して下向きに湾曲し、喉部に白色の長毛がある。雄花の花糸の長さは3.5mmで、退化雌ずいの花柱は発達しない。
 両性花の花糸の長さは0.5~lmm、子房は球形で、花柱の長さは約4mmあり、第1次分枝の長さ1.5~2mm、第2次分枝の長さ2~2.5mmで、柱頭はさじ形を呈する。石果は楕円形で径0.5~0.8cm、淡紅色、紅色を呈し、無毛またはやや有毛である。不規則に浅裂 した盃状の宿存がくの上にのる。  
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