コバノブラッシノキ属の樹木
17.Melaleuca dealbata S.T.BLAKE
Melaleuca dealbata S.T.BLAKE はオーストラリアの北部地方とクイーンズランド東北部、ニューギニア南部の沿海地域に生ずる。英名を
blueleaved paperbark,blue paperbark,soapy tea tree,cloudy tea tree という。
常緑の高さ15~20m、直径50cm~1mの通常中高木で、良い処では高さ25~28m、直径1~1.5mに達し、樹幹は通直で、枝下は高さの1/2または以上となる。悪い処では高さ6~8mの形質の悪い低木状である。小枝は下垂する。樹皮は褐色の斑点があって粗であ
る。葉は互生し、皮針形または倒皮針形でやや斜形を示し、多くは長さ7~12cm、幅1.5~2.5cm、鈍頭ないし鋭頭、基部は狭い楔形を呈する。革質で、5~7本の縦脉が走り、網脉も顕著である。初め細綿毛を密布するが、後次第に消失する。葉柄の
長さは0.6~1cmである。
いわゆる穂状花序が無葉の小枝に頂生および腋生して1~4個が束出し、長さ7~12cm、幅2cmほどで、ときにある花序が2倍の長さになることがあり、花は疎らにつく。花糸は淡黄白色を呈し、花はいやな匂いをもつ。さく(蒴
)果は円筒形で長さ0.3~0.4cm、幅0.3~0.5cm、基部で幅が最大となり、頂端の開口と弁片は内方に向って沈む。この果実はオーストラリア南部産の他の同属種にくらべて残存性が少なく、当年中に早く脱落することが多い。
樹は波しぶきを浴びるよう
な遊歩道や、排水が悪い処の植栽に用いられる。葉は抽出成分に植物の生長抑制作用があることが知られている。
18.Melaleuca depauperata TURESSON
Melaleuca depauperata TURESSON はオーストラリアに生ずる常緑木本である。
19.Melaleuca diosmifolia ANDREWS
Melaleuca diosmifolia ANDREWS はオーストラリアに生ずる常緑木本で、英名を
green honey myrtle という。
20.Melaleuca genistefolia J.E.SMITH
Melaleuca genistefolia J.E.SMITH はオーストラリア産で、英名
tea tree,ti-tree と呼ばれるものの代表的な種類である。また
ironwood の名もある。材は灰色を呈し、肌目は緻密で重硬、耐朽性がある。現住民は葉を茶として用いる。
21.Melaleuca glaberrima F.MUELLER
Melaleuca glaberrima F.MUELLER はオーストラリアに生ずる常緑木本である。
22. Melaleuca hamulosa TURCZANINOW
Melaleuca hamulosa TURCZANINOW はオーストラリアに生ずる常緑木本である。
23.Melaleuca laxiflora TURCZANINOW
Melaleuca laxiflora TURCZANINOW はオーストラリアに生ずる常緑木本である。
24.Melaleuca leiocarpa F.MUELLER
Melaleuca leiocarpa F.MUELLER はオーストラリアに生ずる常緑木本である。
25.Melaleuca macronychia TURCZANINOW
Melaleuca maronychia TURCZANINOW はオーストラリアに生ずる常緑木本である。
26.Melaleuca nervosa CHEEL
Melaleuca nervosa CHEEL はオーストラリアに生ずる常緑木本である。
Melaleuca dealbata S.T.BLAKE に近似するが、それより葉が小さく、いわゆる穂状花序は短くて幅が広く、雄ずいは数が少なくて長い。
27.シマブラッシノキ
シマブラッシノキ Melaleuca nesophila F.MUELLER
はオーストラリアに生ずる。高さ10mまでの常緑低木ないし小高木で、樹皮は厚く海綿質で、幅が広い裂片になって剥げる。葉は対生しで群着し、倒卵状長楕円形で長さ1.2~3cm、幅0.6~0.7cm、鈍頭または短突頭、質は厚く、不明瞭な3本の縦脉がある
。花は径が3cmほどのいわゆる頭状花序につき、花糸は淡紅色を呈する。樹は観賞用に植栽される。
28.ユミバブラッシノキ
ユミバブラッシノキ Melaleuca ericifolia J.E.SMITH は南オーストラリアを除くオーストラリア全域(タスマニアを含む)の沿海地域に生じ、英名を
swamp paperbark,swamp tea tree という。
高さ2~9mの常緑の低木ないし小高木で、有毛または無毛である。排水が悪い沼沢地や氾濫原のものはしばしば密なブッシュ状となる。樹皮は白色を呈し、きわめて厚い。葉は互生して密につき、狭線形からやや円筒状で長さ0.6~1.2cm、幅0.1c
mほど、やや鈍頭、中央部より上でやや弯曲する。
長さ1.3~2.5cm、幅1~1.5cmほどの短い円筒形になるいわゆる穂状花序を頂生し、花糸は白色から黄白色を呈する雄ずいは基部近くで合着して5個の雄ずい束になり、長さ6~8㎜で、合着した部分は扁平
な束柄を形成する。通常の開花の後に間もなく花序軸は栄養生長を続け頂生の球形のいわゆる頭状花序に不稔の花をつける。さく(蒴)果は径が0.3cmほどで、果序軸(茎)上にかたまった球形の塊になってつき、各果は広い基部をもち、その部分は茎の
肥大生長でその中に埋めこまれるようになる。
材はきわめて重硬で耐朽性は大きい。建築の種のような小寸法のもの、柵柱、施削物などに用いられる。葉から得られる精油の収率は0.84%、比重(15℃)は0.8938、成分は右旋性のテルピネオールで、またシネオールも含むが含有量は少ない。精油の
旋光度はr-13.3度、屈折率(20℃)は1.4705、けん化価は6.96が求められている。樹は観賞用に植栽される。
29.Melaleuca unicinata R.BROWN
Melaleuca unicinata R.BROWN はタスマニアを除くオーストラリア全土の
mallee 低木林に生じ、英名を
broom honey myrtle,broom bush という。
箒状の常緑低木であるが、ときに高さ5mまでの小高木になる。葉は互生し、円柱形で長さ1.5~5cm、幅0.1cm、先端は糸状となり曲がる。いわゆる花序は球形ないし楕円形で頂生し、花糸は黄白色を呈する。さく(蒴)果は果序軸に木質で径1cm
ほどの球形の塊になって群着し、果実は小さく径約0.2cmである。
30.Melaleuca argentea W.FITZGERALD
Melaleuca argentea W.FITZGERALD はオーストラリア北部に生ずる常緑木本で、英名を
silver leaved melaleuca という。
Melaleuca leucadendron LINNAEUS
に近縁で、若い部分に絹毛が多い。葉からの抽出成分に植物の生長抑制作用があることが知られている。
31.Melaleuca symphyocarpa F.MUELLER
Melaleuca symphyocarpa F.MUELLER はオーストラリア北部に生ずる常緑木本である。葉からの精油に植物の生長抑制作用があることが知られている。
32.Melaleuca minutifolia F.MUELLER
Melaleuca minutifolia F.MUELLER は西オーストラリア東北部に生ずる常緑木本である。
33.Melaleuca lanceolata OTTO
Melaleuca lanceolata OTTO(異名
Melaleuca pubescens
SCHAUER)はオーストラリアのクイーンズランド東南部、ニューサウスウエールズ南部、ビクトリア、南オーストラリア南部、西オーストラリア南部に広く分布し、海岸および内陸にも生ずる。英名を
Rottnest Island tea tree という。高さ1~10mの常緑ブッシュ状低木ないし低い処から分枝する小高木である。樹皮は暗灰色からほとんど黒色に近いものがあり、緻密で硬く、開いたらせん状になって縦に波うつ。葉は互生して密につき開出する。線形から線状皮針形で長さ0.5~
1.5cm、幅0.1~0.25cm、鈍頭ないし鋭頭でしばしば外方に弯曲する。不明瞭な3本の縦脉があり、油腺点は見られない。有柄である。
花は有葉のシュートに3個輪生するルーズないわゆる穂状花序につき、その部分は長さ1~5cm、幅1.7~2cmである。花糸は5個の雄ずい束の基部近くからわかれ、白色から黄白色を呈する。さく(蒴)果はほぼ球形で径0.2~0.5cm、頂端に径の1/4~3/4
の幅の開口部があり、弁片はその中に包まれる。種子はきわめて小さく黒色を呈する。
心材は淡紅褐色ないし褐色を呈し、辺材は比較的狭くて心材より淡色である。材の気乾比重に0.56の記載があり、心材は接地条件でも耐朽性がある。樹が小さいので
用材では柵柱などに用いられるに過ぎないが、燃材としては良質である。
地表近くから分枝が多い低木性のものは乾燥地域で防風植栽に用いられる。
34.Melaleuca rhaphiophylla SCHAUER
Melaleuca rhaphiophylla SCHAUER はオーストラリアのクイーンズランド西南部に生ずる常緑木本である。葉は互生し、小枝から鋭角で出る。円柱形または僅かに扁平で、長さは約2cmである。