オリーブ属の樹木(その3)
14.Olea caudatilimba CHIA
Olea caudatilimba CHIAは支那雲南省の石灰岩地に生じ、中国名を
尾葉木犀欖、多脉桂花という。
高さ3~8mの小高木で、小枝は淡褐色、やや扁平、疎らに円形の皮目があり細軟毛を布く。葉は楕円状皮針形などで長さ5.5~9cm、幅2~3.5cm、鋭尖頭~尾状鋭尖頭で鈍端、基部は楔形~広楔形、全縁、縁はやや反巻し、側脈は10~15対と多い。縁に近く
網状に連結する。革質で無毛である。葉柄の長さは0.8~1cmで細軟毛がある。
円錐花序を腋生または頂生し、花序に細軟毛があり、花梗の長さは0~3mmである。花は淡黄色を呈し、がくの長さは1.5~2mmで4裂片があり縁毛を生ずる。花冠の長さは約3mm、うち4裂片の長さは約2mmで僅かに縁毛がある。雄ずい2個の花糸の長さは約0
.8mm、葯の長さは1.7mmである。雌ずい1個の子房は長楕円形で無毛、花柱の長さ約1mm、柱頭は頭状を呈する。石果は長楕円形で長さ0.7~1.2cm、短尖頭をもち疎らに皮目を生ずる。
15.Olea guangxiensis MIAO
Olea guangxiensis MIAOは支那西南部産で、中国名を
広西木犀欖という。
高さ2~4mの低木または小高木である。若枝は灰白色または淡黄色で無毛、微小な長円形の皮目がある。葉は皮針形または長楕円形で長さ9~22cm、幅3~8cm、鋭尖頭、基部は楔形を呈し、不規則な鋸歯があるかまたは全縁である。側脈は6~10対あって
、縁の近くで弯曲して互いに連結する。革質で両面無毛。葉柄の長さは0.2~0.7cmで無毛である。
長さ1.5~2cmの円錐花序を腋生し花序軸は無毛、花梗の長さは1~2mmである。がくの長さは約1.7mmで4裂片をもち、縁毛があり、腺体を具える。花冠の長さは約2mm。雄ずい2個の花糸の部分はほとんどない。雌ずいは1個で、子房は球形、無毛、花柱
の長さは約O.5mmで、柱頭は頭状を呈し2裂する、石果は球形で径1~1.5cm、藍色または黒色に熟する。
16.Olea hainanensis LI
Olea hainanensis LI(異名
Tetrapilus hainanensis L.JOHNSON)は支那海南島産で、中国名を
海南木犀欖という。
高さ3~10mの低木または小高木で、樹皮は灰色または灰褐色を呈し、小枝は淡褐色または灰褐色である。葉は楕円状皮針形などで長さ8~16cm、幅2.5~5.5cm、鋭尖頭、基部は楔形、縁に不規則な疎鋸歯があるかまたは全縁に近く、縁はやや反巻する。
側脈は7~9対。革質または薄い革質で、両面無毛である。葉柄の長さは0.5~1cmで無毛である。
長さ2~7.5cmの円錐花序を頂生または腋生し、花序軸に細軟毛があるかまたは脱落する。雑性異株で、花は白色または黄色。花梗の長さは1~3mmである。雄花はがくの長さが0.5~1mmで4裂片があり、微細な縁毛と疎らな黄褐色の腺点をもつ。花冠の長
さは1.5~2.5mm、4裂片の長さは0.5~0.7mm、雄ずい2個の花糸はきわめて短く、葯は長さ約1mmである。両性花ではがく、花冠ともに雄花より大きく、花冠に黄褐色の腺点をもつ。雌ずいが1個あり、子房は卵球形で無毛、花柱はほとんどなく、柱頭は頭
状で2裂する。石果は長楕円形で長さ1.4~1.8cm、両瑞はやや鈍頭を呈し、ときに8~10条の縦溝がある。熟して紫黒色または紫紅色を呈する。
17.7.Olea laxiflora LI
Olea laxiflora LIは支那雲南省に生じ、中国名を
疏花木犀欖という。
高さが約2.5mの低木で、小枝は褐色を呈し無毛である。葉は卵状長楕円形などで長さ9~13cm、幅2.5~4cm、尾状鋭尖頭、基部は楔形、全縁で縁がやや反巻する。側脈は8~12対ある。革質で、両面無毛、下面に微小な黄色の腺点を密布する。ただし脱落
しやすい。葉柄の長さは1~1.5cmで無毛である。
長さ4~7cmの円錐花序を腋生し、花序は無毛で、白色の花を疎らにつける。雑性異株であるが雄性株しか知られていない。花梗の長さは6~10mm、がくの長さは1~1.5mmで4裂片があり縁毛をもつ。花冠の長さは3~3.5mm、4裂片の長さは約1mmである。
雄ずいは2個で花冠筒部の中部付近につき、花糸はきわめて短く扁平、葯は長さ0.75~1mmである。
18.Olea neriifolia LI
Olea neriifolia LIは支那海南島産で、中国名を
狭葉木犀欖という。
高さ1.2~5mの低木~小高木で、小枝は褐色を呈する。葉は狭皮針形で長さ5~11.5cm、幅0.7~1.3cm、鋭尖頭、まれにやや鈍頭、基部は楔形、全縁で縁がやや反巻し、側脈は両面ともに不明瞭である。革質で両面無毛。葉柄の長さは0.3~0.8cmで無毛
である。
長さ2~6cmの円錐花序を腋生し、花序は無毛である。雑性異株で、雄花は白色、長さ約1.5mm、花梗は繊細で長さ0.5~1.5mm、がくの長さは約0.5mmで4個の裂片がある。花冠の長さは1.2~1.4mm、4裂片の長さは短く約0.4mmである。両性花は白色に後に淡
紅色を帯び、雄花より大きく花冠の長さは1.7~2mmである。雄ずいは2個、雌ずいは1個で、子房はほぼ卵形、花柱は短く、柱頭は不明瞭である。石果は楕円形を呈し長さ0.7~0.8cm、やや短尖頭になり縦の溝条がある。緑色、乾燥して黄褐色を呈す
る。
19.Olea parvilimba MIAO
Olea parvilimba MIAO(異名
Linociera parvilimba MERRILL et CHUN)は支那海南島に産し、中国名を
小葉木犀欖、小葉李欖、麦皮樹という。
高さ12~15mの高木。樹皮は灰色または灰褐色で縦の割れ目が入る。小枝はやや扁平で褐色または灰白色、無毛で円形または長円形の皮目がある。葉は楕円形で長さ3.5~9cm、幅1.2~3.2cm、鈍頭、基部は楔形、全縁で縁は強く反巻し、側脈は5~7対
ある。硬い革質で、両面無毛、黄色の腺点があり、それが脱落して凹点となる。葉柄の長さは0.3~lcmで無毛である。
頂生または頂生に近く長さ1.5~2cmの円錐花序を出して花をつける。花序は無毛で、花梗の長さは1~1.5mmである。花は両性花で、がくの長さは約1mmで4裂片があり縁毛をつける。花冠の長さは約2mm、4裂片がある。雄ずいは2個でその花糸は短く、葯
の長さは約0.5mm、雌ずいは1個で、子房は卵球形、花柱は短く、柱頭は頭状を呈する。石果は長楕円形で長さ1.2~1.4cm、両瑞が尖がり、ときに縦肋をもつ。
20.Olea tetragonoclada CHIA
Olea tetragonoclada CHIAは支那広西省の石灰岩地などに生じ、中国名を
方枝木犀欖という。
高さ1.2~6mの低木ないし小高木で、樹皮は褐色を呈し、当年枝と前年枝は黄緑色で4稜があり、細軟毛を被むる。老枝は灰褐色で円柱形、密に円形の皮目をもつ。葉は楕円形または皮針形で長さ2.5~6cm、幅0.7~2cm、鈍頭でときに僅かに凹端、基
部は広い楔形または鈍形である。全縁で縁は反巻し、縁毛があるが後に脱落する。側脈は7~8対で不明瞭である。革質で硬く、両面基部近くに常に細軟毛がある。葉柄は短くその長さは0.1~0.3cmで細軟毛を被むる。
円錐花序を腋生または頂生し、花序軸に細軟毛がある。花梗は長さ0~2mmで4稜が出る。花は淡黄色を呈し、がくの長さは1mm、4裂片があって細軟毛を布き縁毛をもつ。花冠の長さは2~2.5mm、4裂片は筒部よりやや短い。雄ずいは2個で、花糸は短く、
葯は円形に近く長さ約0.5mmである。雌ずいは1個で、子房は卵形、無毛である。石果は楕円形を呈し長さ0.8~1cmやや扁平で両端が尖り白粉を被むる。
21.Olea yuennanensis HANDEL-MAZZETTI
Olea yuennanensis HANDEL-MAZZETTI(異名
Olea brevipes CHIA)はタイ、支那西南部に生じ、中国名を
雲南木犀欖、短柄木犀欖、旱生木犀欖、白桂花という。
高さ3~15mの低木または高木で、樹皮は灰白色、小枝は褐色または灰色で細軟毛をもつ。葉は倒皮針形、楕円形などで長さ3~13cm、幅1.5~6cm、通常鋭尖頭、まれに鈍頭または円頭、基部は楔形、全縁または不規則な鋸歯をもち縁はやや反巻、側脈は4
~11対ある。革質で、上面中肋にときに微かに軟毛または黄色の短い茸状毛があり、下面はときに細軟毛を疎生する。葉柄の長さは0.5~1cmで、細軟毛または短い茸状毛を被むる。
腋生する円錐花序であるがときに総状または散形に近い形になり、細軟毛ときに黄色の茸状毛を被むる。花は白色、淡黄色または紅色で、雑性異株である。雄花序の長さは2~15cm、花梗は繊細で長さ1~5mm、無毛である。がくは長さ1~1.5mm、4裂片が
あり縁毛をもつ。花冠の長さは3~4.5mmで、4裂片は短い。2個ある雄ずいの花糸はきわめて短く扁平で、花冠の基部近くに着生し、葯の長さは約1mmである。両性花序の長さは1~6cm、ときに10.5cmまであり、花梗の長さは0~2mm、がくは雄花と同様、花冠
は雄花より僅かに大きく、雄ずいは2個まれに4個、花糸は短く、花冠筒部の中位に着生し、葯の長さは約0.8mmである。雌ずいが1個あって、子房は卵球形、花柱の長さは約0.5mm、柱頭は頭状を呈する。石果は楕円形または球形に近く長さ0.6~1.3cm、短尖
頭をもち、熟して紫黒色を呈する。種子から搾油し、食用、工業用とする。