カキバチシャノキ属の樹木
55.Cordia exaltata LAMARCK
Cordia exaltata LAMARCKはアマゾン産の高木で、ブラジルで
freijo brancoという。
56.Cordia glabrata DE CANDOLLE
Cordia glabrata DE CANDOLLEはボリビアのアマゾン上流域の産で、ボリビアで
picana
negraという。
高さ10mほどの小高木で、樹にアリが棲みつく。
散孔材。辺・心材の区別は明瞭で、辺材は灰色、心材は黄褐色、紅褐色で黒色の縞が出る。木理は変化が多く、肌目は中位で不均質である。材面は油質ないし蝋質の感触と光沢があり、生
材時に匂いをもつ。
材の気乾比重に0.80~0.97の記載があり、重硬であるが、加工は比較的困難でなく、仕上げ面は良好である。耐朽性、白蟻に対する抵抗性がある。
材が装飾的なので家具、彫刻などに賞用されるが、材の供給は少ない。黒柿代
用として日本に輸出されたことがあるという。樹は庇陰樹に用いられる。
57..Cordia goeldiana HUBER
Cordia goeldiana HUBERはアマゾン地域の良材の樹種の一つで、英名を
cordia wood、Jenny wood、Amazon teak、South American walnut、Brasilian walnut、ブラジルで
freijo、frei jorgeという。
高さ30m、直径50~80cmまたは以上になる高木である。葉は長楕円形ないし倒卵状長楕円形で、鋭頭をもつ。
散孔材。辺・心材の区別はほぼ明瞭で、心材は黄褐色から暗褐色などを呈し、木理は通直、肌目はやや粗である。
道管は単独および各方向
に2~3個が接続し、径は0.08~0.24mmである。チロースをもつものがある。材の基礎組織を形成する真正木繊維または繊維状仮道管の径は0.015~0.03mm、壁厚はきわめて厚く、0.008~0.010mmの記載がある。軸方向柔組織では、周囲柔組織はしばしば連合
翼状柔組織に発達し、柔細胞の径は0.015~0.03mm、結晶を含むものがある。放射組織は多列で、60細胞高までまたは以上である。その構成は異性で、径が大きい鞘細胞が顕著に発達しており、大型細胞中には砂晶がみられる。
材の気乾比重に0.40~0.写
真0の記載があり、重さ硬さは中位程度のものが多いが、強度的性質は比較的良いとされる。製材、乾燥は容易、切削加工、接着、塗装、研磨もおおむね良好である。心材は耐朽性があるとされる。
材はパネルやドアーを含む建築内装・造作材、家具とキャビネット、車両、船舶、器具、箱、桶樽その他に用途があり、また合板にも作られる。かつて船舶ではチーク代用として、ボートのデッキング、軍艦の装備に用いられ、またワインの樽材として
ポルトガルなどへ多く輸出されたことがある。
58.Cordia grandifolia DE CANDOLLE
Cordia grandifolia DE CANDOLLEはブラジル、アルゼンチン産で、ブラジル
grao de porco、acoara muru、ramela de cachorroという。
高さ10mまでになる常緑高木で、枝に綾角があり、また紅褐色の絨毛を布く。葉は卵状長楕円形で長さは28cmほど、上面はざらつき、下面脉上に長い軟毛をもつ。円錐花序を頂生し白花をつける。石果は球形で、熟して黄色となる。甘味と収斂性があり
、可食である。またシロップにして咳止めに用いる。
59.Cordia heterophylla POIRET
Cordia heterophylla POIRETはギアナ産の高木である。材は軽軟で、浮子などに利用される。
60.Cordia lomatoloba JOHNSTON
Cordia lomatoloba JOHNSTONはブラジルのアマゾン産の高木である。材の組織では軸方向柔組織の随伴型の連合翼状柔組織が帯状柔組織と移行する。大きい結晶が含まれる。
61.Cordia magnoliaefolia CHAMISSO
Cordia magnoliaefolia CHAMISSOはブラジル固有種で、同地で
grao do
galoという。高さ3~4mの常緑の低木ないし小高木で、全体無毛である。葉はへら形で長さ20~27cm、幅は6~8cmある。頂生の散房状の集散花序に白色の花をつけ、花冠の長さは6mmを示す。石果は球形である。果実をシロップにして咳止めの薬用とす
る。
62.Cordia monosperma ROEMER et SCHULTES
Cordia monosperma ROEMER et SCHULTES(異名
Cordia discolor CHAMISSO、Cordia urticifolia CHAMISSO、Cordia corymbosa G.DON、Varronia monosperma JACQUIN)は南米産で、ブラジルで
balieira、erva balieira、maria
pretaという。
高さ2mまでの低木で、枝を多く分岐する。枝は有毛である。葉は広卵形、楕円形などで長さ4~8cm、幅1~4cm、鋸歯があり有毛である。頂生の散房状の花序に白色の小花をつける。石果は球形で径は0.5cm、熟して紅色となる。
種子の仁
の煎液を潰傷を洗うのに用いる。口中の炎症のうがい薬にもし、また緩下剤とされる。
63.Cordia multispicata CHAMISSO
Cordia multispicata
CHAMISSOはブラジル固有で、アマゾン地方に普通にみられ、同地で
carucaa、cauarucaaという。
高さ2~5mの低木で、枝は有毛である。葉は卵形で長さ4~5cm、鋸歯をもつ。小枝の上方で穂状花序を出し、黄白色の小花をつける。花冠の外面に腺毛をも
つ。葉の煎液を風邪などに用い、葉をもんで打ち身に貼る。
64.アリノフクロギ
アリノフクロギCordia nodosa LAMARCKはブラジル、ギアナ産で、枝にアリが棲みついて膨れ、袋状になっていることで知られている。
65.Cordia sellowiana CHAMISSO
Cordia sellowiana CHAMISSO(異名
Cordia obscura CHAMISSO、Cordia brachypoda DE CANDOLLE)はブラジル、パラグアイ産で、ブラジルで
capitao do campo、louro mole、jurute、mata
fomeという。
高さ8~14m、直径30~50cmの小高木で、枝はやや水平にはり出し、葉は広卵形で長さ10~20cm、幅4~10cm、粗毛がある。頂生で散房状の集散花序は広く開展し、白色で花冠の長さ5~7mmの小い花をつける。石果は球形で径lcmほど、熟
して黒紫色を呈する。
葉を煎じて脂肪過多に実用する。
66.Cordia superba CHAMISSO
Cordia superba CHAMISSO(異名
Cordia grandiflora LINDLEY、Cordia branchettii DE CANDOLLE、Cordia ipomoeaeflora HOOKER)はブラジル固有で、同地で
babosa
branca、carapia、taiacuという。
高さ7~10m、直径20~30cmの小高木である。葉は長楕円形で長さ15cm、両端は尖がり、下面はざらつく。頂生の散房状の集散花序に径が50mmの大きい白色の花をつける。
果実を煎じて軟化剤、気管支炎に用いる。
樹は観賞用に植栽される。
67.Cordia tetrandra AUBLET
Cordia tetrandra AUBLET(異名
Cordia umbraculifera DE CANDOLLE)は南米北部産で、ブラジルで
arvore de umbera、para para、chapeu de
solという。
小高木で、葉は卵形、長さ13~15cm、幅7~9cm、下面に長軟毛を布く。小校の上方に円錐花序を出し、小い白色の花をつける。石果は球形で径は0.8~lcm、熟して黄色を呈する。
葉の汁液を結膜炎の洗眼に、樹皮をくぶらして家屋の消
毒に用いる。
68.Cordia trichotoma ARRAB.ex STEUDEL
Cordia trichotoma ARRAB.ex STEUDEL(異名
Cordia chamissoniana STEUDEL、Cordia hypoleuca DE CANDOLLE、Cordia exclsa A.DE CANDOLLE、Cordiata trichotoma
VELLOSO)はブラジル、アルゼンチン北部、パラグアイ、ボリビアに生じ、ブラジルで
louro pardo、louro batata、ajui、frei jorge、アルゼンチンで
peteribi、loro negro、loro amarillo、peteribi hu、peterebi
saiyu、パラグアイで
peteribyなどという。
高さ25m、直径80cmまでになる高木で、樹幹はかなり通直である。樹皮は灰褐色から暗褐色を呈し、縦の溝が入る。葉は互生し、卵形、長楕円形などで長さ7~15cm、幅3~8cm、鋭尖頭、基部は鈍形から楔形
を示す。薄い革質で、上面はざらつき、下面は星状綿毛を密布して灰色を帯びる。葉柄の長さは2~4cmである。
円錐花序は頂生して長さ15~20cm、多くの花をつける。花は盆形で径20mmほど、橙色、暗褐色などで、また白色の記載もある。石果は堅果様で、楕円形で小さい。花冠が宿存し、果実についたままで樹上を離れ風に乗って飛散する。
散孔材。辺・心材の区別はやや不明瞭で、心材は黄褐色などを呈し、暗色の縞をもつものがある。木理は通直またはやや屈曲し、肌目はやや粗で光沢がある。材の気乾比重に0.64~0.65の記載があり、製材、乾燥、切削加工は容易で、仕上げ面は良好で
ある。
材の用途は建築内装・造作材、家具、キャビネット、器具、棺材、彫刻、旋削物などで、アルゼンチンでは家具用の最良材の一つとされている。樹皮と葉の煎液は強壮、駆風に、また樹皮の煎液をひぜんに外用する。花が美しいので樹は観賞用に植栽さ
れる。
69.Cordia verbenacea DE CANDOLLE
Cordia verbenacea DE CANDOLLE(異名
Cordia salicina DE CANDOLLE)はブラジル、アルゼンチン、パラグアイに生じ、ブラジルで
balieira cambara、erva balieira、camarinha、balieira brancaという。
高さ2~3mの低木ないし小高木で、枝を多く分岐する。葉は皮針形で長さ5~12cm、幅1.5~3cm、鋸歯があり、皺が多く、無柄である。頂生の穂状花序に白色の小花を密につけ、花冠は長さが5mmである。石果は球形で径4cm、熟して紅色を呈する。
葉に消炎の効用があり、眼の腫れ、リューマチ、胃炎に用いる。樹は果樹園で害虫を誘引するために植栽される。