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平井信二樹木研究
カワラケツメイ属の樹木(そ 12.フタホセンナ
 フタホセンナコヤシセンナCassia didymobotrya FRESENは熱帯アフリカ原産の常緑低木で、高さ3mほどになる。葉は長さ15~30cmで、小葉は4~18対あり、長卵形~長楕円形、長さ2~6cmで下面は粉白色である。枝条の上端部付近で腋生の直立する総状花序を出し、その長さは15~30cmあって、ふつう2本 ずつが併立するのが目立つ。花は黄色、がくは暗黒色で悪臭がある。果実は扁平な短線形の豆果で、長さは7~10cmある。熱帯各地で広く緑肥用、鑑貨用に植栽される。葉と根は下剤になり、葉はまた魚毒に用いられる。
 
13.アレキサンドリアセンナ
 アレキサンドリアセンナエジプトセンナCassia acutifolia DELILEはエジプト、スーダン、サワラ地方の原産で、英名はAlexandrian senna、Egyptian senna、Palt sennaといい、下剤のセンナ葉では前に記したホソバセンナCassia angustifolia VAHLとともに代表的なもので、単にセンナ旃那、senna)とも呼ばれ、品質が優良なものとされている。アレキサンドリアからおもにヨーロッパに輸出される。小低木で、小葉は3~9対、皮針形で長さ1.5~3cm、先端が尖がっている。直立する穂状花序を 出し淡黄色に紅脉がある花をつける。豆果は扁平な短い線形で長さ4~6cm、僅かに弯曲する。なお薬用でTripolitan senna、Sudanese sennaと呼ばれるものは、サワラ地域から地中海沿岸のトリポリに運ばれて来るもので、この種類と次記のCassia obovata COLLADONとが混じっているという。
 
14.Cassia obovata COLLADON
 Cassia obovata COLLADONは、熱帯アフリカ、とくにエジプトに多く、英名をcountry sennaという。小低木で、小葉は8~12対あり長卵形など、総状花序に淡黄色の花をつける。果実は扁平な線形で弯曲する。前項で記したようにTripolitan sennaSudanese senna)の中に含まれ、またエジプトで野生のものから採取したセンナ葉はwild sennaとされる。
 
15.その他のアフリカ産のカワラケツメイ属の樹木
 Cassia seiberiana DE CANDOLLEはケニヤその他の熱帯アフリカ産で、ケニヤ名をaridan toora、apagbanなどという。高さ15mまでになる高木で、小葉は5~9対、倒卵形~楕円形、長さは5~10mである。花は下垂する総状花序につき鮮黄色で径は約5cmである。豆果は円筒形で長さ75cmまでになる。心材は紅褐色できわめて重硬である。建築、器 具材などに用いられる。
 Cassia singueana DELILEは熱帯アフリカから南部にかけて広く分布し、英名をwinter cassia、南アフリカ名をkleefpeul、ケニヤ名をrumfu、mbarakaなどという。小高木で高さ10mまで、小葉は4~10対あり、楕円形などで長さ2.5~5cmである。花は散房状の総状花序につき、鮮黄色で径は約5cmある。豆果は円柱状で長さ7.5~20cmである。
 Cassia petersiana BOLLEは熱帯アフリカから南部へかけての産で、英名をeared cassia、monkey pod、南アフリカ名をapiespeul、ケニヤ名をmbarakaなどという。高さ12mまでの低木~小高木で、小葉は4~12対、皮針形などで長さ2.5~9cm。花は散房状の円錐花序または総状花序につき濃黄色である。豆果は扁平な円筒形で長さ25cmまで、著しい翼が ある。葉を薬用とする。
 
16.オーストラリア産のカワラケツメイ属の樹木
 オーストラリアにも数種のこの属の樹木が見られる。Cassia artemisioides GAUDICHAUD ex DE CANDOLLEは英名をsilver cassiaという。高さ2~3mの低木~小高木で、全株に灰白色の毛を布く。小葉は3~6対、腋生の総状花序に濃黄色の花を5~8個つける。
 Cassia sturtii R.BROWNは南オーストラリアの乾燥および半乾燥地帯に生ずる低木で、小葉は線形である。葉の蛋白質含有量が12%と高く、飼料作物として注目されている。
 
17.ハナセンナ
 ハナセンナCassia corymbosa LAMARCKは南米原産で、英名はflowering sennaという。キダチセンナ(英名:hill senna、forest sennaCassia floribunda CAVANILLES(異名:Cassia laevigata WILLDENOW)というものもこれと同一と考えられる。常緑または落葉の低木で、高さ2~3mとなる。小葉は3~5対あり卵状長楕円形などで、長さは5~8cmあり先端が尖がる。腋生または頂生の散房状の総状花序を出し、鮮黄色で径が約1.5cmの花を5~10個つ ける。豆果は円筒状で長さ5~10cmある。熱帯各地で鑑賞用に植栽され、また熱帯高地で緑肥とされている。  
18.タヨウセンナ
 タヨウセンナCassia multijuga RICHARDは熱帯アメリカ原産で、英名をleafy cassia、November cassiaという。和名にハナセンナを当てている著書があるが、この名は前項に記したCassia corybosa LAMARCKとするのが適当と考える。常緑小高木であるが、大きいものは高さ20mまでになる。小葉は10~26対と多く長楕円形などで長さ1.3~2.8cmある。長さ15cmほどの円錐花序を頂生し、黄色で径2.5~3.5cmの花をつける。豆果は線形で長さ10cmほど、扁 平で褐色を呈する。生長が速く、熱帯各地で広く庭園樹、行道樹、庇陰樹に植栽されている。
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