タカサゴノキ属の樹木(その5)
37.Homalium celebicum KOORDERS
Homalium celebicum KOORDERS はセレベス、ブリトゥン島に生じ、同地で
karikis,karingis,togo ulu,kombolili などという。
高さ20mときに50mまでになる中ないし大高木で、樹皮は紅色を帯び鱗片状となる。小枝は無毛である。葉は楕円形ないし卵形を呈し長さ7~17cm、幅4~10cm、鋭尖頭で鈍端、基部は楔形を示す。やや革質ないし革質で、間が離れた浅
い鈍鋸歯があり、側脉7~9対はあまり顕著でない。網脉は密でとくに下面で隆起する。両面無毛である。葉柄の長さは4~5㎜を示す。
円錐花序は長さ20cmまでで広く開出し、花序軸に灰色の細軟毛を布く。花は花序分岐の軸に沿って2~3個ずつ束出
してつくか、まれに単出する。小花柄の長さは1.5~3㎜で、苞葉は早く脱落する。花は5数性で、白色を呈する。がくと花弁に灰白色の細軟毛を布く。がく筒部の長さは2.5㎜、がく裂片は長楕円形で長さ3.5㎜、花弁はへら形で長さ3㎜、円頭、後に6㎜まで
に増大する。雄ずいは各花弁の前に3個ずつが束生してつき、花糸の長さは3㎜、基部にのみ軟毛をもつ。花盤腺体は紅色を呈する。子房は疎らに軟毛を被むり、花柱は4~5個あって基部に軟毛を生ずる。材は良質とされ、建築その他に用いられる。
38.Homalium minahassae KOORDERS
Homalium minahassae KOORDERS はセレベス北部とモルッカ諸島に生じ、インドネシアで
karikis sela,lagumute,kationgar という。
高さが35mまで、直径80cmまでになるやや大高木で、小枝は無毛である。葉は長楕円形、卵状皮針形などで長さ10~20cm、幅4~8cm、やや鋭頭、基部は楔形ないし円形を示す。革質で、全縁、側脉は9~12対あり、網脉は両面で顕著である。両面
無毛で光沢がある。葉柄の長さは12~15㎜で太い。
総状花序は上方の葉腋から出て、単純または分岐して円錐花序に複成し、長さ10~30cm、花序軸に灰色の細軟毛を生ずる。花は軸に沿って間隔をおいて単出し、小花柄の長さは2~3㎜であるが、果時には8㎜までとなる。苞葉は卵状長楕円形で長さ3~5
㎜、やや鋭頭、脱落性である。花は6~7数性で、緑白色を呈し芳香がある。がく筒部は狭い倒円錐形で長さ3㎜、灰白の細綿毛を布く。がく裂片は長楕円形で長さ約4㎜、やや鋭尖頭、星状に開出し脉があり、無毛で果時で増大する。花弁は同様である
が、果実に短いままで残り、子房の上で反捲する。雄ずいは各花弁の前に6~8個ずつが束になってつく。これらは花弁の基部につき、さらに花盤腺体の裂片の間に1個ずつが挿入されてつく。子房に細軟毛があり、花柱は6~7個である。
材はやや重硬
で、耐朽性がある。建築、器具その他に用いられる。
39.Homalium barandae VIDAL ex F.-VILLAR
Homalium barandae VIDAL ex F.-VILLAR はフィリピンのルゾン島産で、同地で laing という。あるいは
Homalium loheri MERRILL の1型とも考えられている。
高木で、若枝にやや細綿毛があるが早く無毛となる。葉は長楕円形などで長さ6~15cm、幅4~6.5cm、急鋭尖頭で鈍端、基部は楔形から円形を示しやや左右不同である。薄い洋紙質で、疎らな鈍鋸歯があり、側脉は6~8対、網
脉はやや密で顕著、下面に細軟毛を布く。葉柄は長さ5~7㎜で細軟毛を生ずる。
長さ15~20cmの円錐花序は基部近くから分岐して広く開出し、花序軸にやや密に灰色の軟毛を生ずる。花は分岐の軸に沿って間隔をおいて4~6ときに8個ずつまでが束出
してつき、小花柄の長さは1.5~2㎜で基部で合着、苞葉は皮針形で長さ0.5㎜である。花は7数性で、がく筒部は円錐状長楕円形で長さ1.8㎜、がく裂片は狭いへら形で長さ1.5㎜、
花弁も同様・同長であるが花後に少し増大する。雄ずいは各花弁の前に1個ずつがつく。花柱は7個あってきわめて短い。材は aranga の中に含められて利用される。
40.Homalium bracteatum BENTHAM
Homalium bracteatum BENTHAM(異名
Homalium eurranii MERRILL)はフィリピンのルゾン島、サマル島産で、同地で
aranga,arangan batae,malakamanga,matambokal などという。
中高木である。葉は卵形から長楕円形で長さ15~20cm、幅5~8cm、鈍頭、基部は楔形から円形を示す。皮質で、やや疎らに鈍鋸歯があり、側脉は5~6対、網脉はやや密にあって両面で隆起する。両面無毛で光沢がある。葉柄の長さは7~
10㎜で太い。
円錐花序は長さ10~18cmで密錘状、花序軸に灰色または黄色の細綿毛を布く。花は分岐の軸に沿って単出または2個ずつが対になってつき、長さ1㎜の小花柄をもつ。苞葉は卵形で長さ1~1.5㎜、残存性である。花は5数性で、灰色の短い軟
毛を布く。がく筒部は倒円錐形で長さ3mm、すこし有柄、がく裂片は狭い長楕円形で長さ3㎜、鈍頭、花弁は長楕円状へら形である。雄ずいは各花弁の前に3個ずつが束出してつき、花糸の長さは2.5㎜で基部の上方で軟毛がある。子房に粗毛を被むり、花柱
は4~5個あって長さ約2㎜である。
材は
aranga(マラス)Homalium foetidum BENTHAM にきわめてよく似て、ふつう
aranga として扱われ、一般構造物、建築その他に用いられる。
41.Homalium gitingense ELMER
Homalium gitingense ELMER はフィリピンにやや稀に生じ、同地で
camagalial という。
小高木から大高木で、開出した枝をもち、小枝は無毛である。葉は卵状楕円形などで長さ7~15cm、幅4~8cm、短鋭尖頭で鈍端、基部はやや円形に近い。おおよそ革質で、全縁、側脉は8~9対あって両面で隆起し、やや密な網脉
も明瞭である。無毛で両面ともに光沢がある。葉柄の長さは10~15㎜で太い。
ほとんど穂状様の総状花序がややかたまって複成した長さ5~8cmの円錐花序を出し、花序軸に灰黄色の軟毛を密布する。花は無柄に近く、苞葉は広卵形で幅2.5~3㎜、脱落性
である。花は6数性で、淡緑色を呈する。がく筒部は倒円錐形で、長さ3~4㎜、軟毛があり、がく裂片は皮針形でやや鋭頭、やや軟毛を密生し、花後に増大して長さ7~8㎜となる。花弁はがく裂片の1/2の長さである。雄ずいは各花弁の基部の上に4~5
個ずつが束生し、さらに花盤腺体裂片の間に1個ずつが挿入されてつく。花糸は糸状で長さ2㎜、無毛である。花盤腺体には軟毛を被むる。子房は細軟毛があり、花柱は5個ある。さく(蒴)果は長さ1㎜の小果柄につく。
42.Homalium loheri MERRILL
Homalium loheri MERRILL はフィリピンのルゾン島に稀産し、同地で
laing,parangyat という。
高木で、小枝は無毛である。葉は長楕円形などで長さ12~20cm、短い鋭尖頭で鈍端、基部は楔形を示す。やや革質で、鈍鋸歯があり、側脉と網脉は明瞭、無毛で上面は光沢がある。葉柄の長さは約5㎜である。
円錐花序は長さ12~20cmで、少
数の穂状様の総状花序をなす長い分岐があり、花序軸に開出した軟網を密布する。花は軸に沿って間隔をおいて束出し、小花柄の長さは3~4㎜、苞葉は微小な狭卵形で脱落性である。花は5~6数性で、がく筒部は狭い漏斗形を呈し、長さ2㎜、がく裂片は
長楕円形で平開し開出毛をもつ。花弁はほぼへら形で長さ2.5㎜、開出した軟毛を生ずる。雄ずいは各花弁の前に1個ずつがつく。子房に軟毛があり、花柱は4~5個である。
43.Homalium multiflorum MERRILL
Homalium multiflorum MERRILL はフィリピンのルゾン島産で、同地で
tamuyan という。
高木で小枝は無毛である。葉は楕円形などで先端と基部は狭くなる。やや革質ないし革質で、鈍鋸歯があり、側脉は6対、下面で顕著、網脉は両面で明瞭である。無毛で光沢があるが、ときに下面脉上に伏生軟毛を疎生する。葉柄の長さは5~写
真㎜である。
枝端の葉腋から長い穂状様の総状花序を出すが、ときにその数本が複成して円錐状となり、長さ約12cmで、ときにきわめて退化した葉をつける。花序軸に軟毛を密布する。花は軸に沿って間隔をおいて束出し、小花柄の長さは2.5㎜、
苞葉は長楕円状卵形で長さ2㎜、鋭頭である。花は5数生で、白色を呈する。がく筒部は漏斗形で長さ2㎜、縁毛をもつ。花弁はほぼへら形で長さ3㎜、縁毛がある。雄ずいは各花弁の前に1個ずつがつき、花糸に軟毛がある。花柱は4~5個である。
44.Homalium oblongifolium MERRILL
Homalium oblongifolium MERRILL はフィリピンのミンダナオ島に稀産する。高さ35mまでになるやや大高木である。葉は長楕円形で長さ20~30cm、幅7~11cm、短鋭尖頭、基部は楔形を示す。革質で、全縁または不明瞭な波状縁、側脉は15対で明瞭、網脉は両面で明らかである。無毛で
両面とも光沢がある。葉柄の長さは15~20㎜で太い。
円錐花序は長さ20~30cmで基部から分岐し、花序軸に灰黄色の短毛をやや密布する。小花柄はなく、苞葉は狭い突錘形で長さ1.5㎜、きわめて早く脱落する。花は7数性である。がく筒部は漏斗形
で長さ3~4㎜、がく裂片は長楕円状皮針形で長さ4~5㎜、やや鋭頭、花弁は長楕円形で長さ4㎜である。雄ずいは各花弁の前に3個ずつが束生し、花糸に軟毛を散生する。子房は有毛である。材は aranga の中に含めて利用される。
45.Homalium ramosii MERRILL
Homalium ramosii MERRILL はフィリピンに稀産する小高木である。葉は長楕円形などで長さ6~10cm、幅3~4.5cm、先端と基部は次第に狭くなる。やや革質で、全縁または不明瞭な鈍鋸歯があり、側脉は6~7対、下面で顕著、やや密な網脉は両面で隆起する。無毛で光沢がある。
葉柄の長さは5~8㎜である。
穂状様の総状花序は単出または枝端付近で腋生する数個が葉を早く失って複成した長さ10cmまでの円錐状になり、花序軸に灰色の細軟毛を密布する。花は軸に沿って間隔をおいて2~3個ずつが束生してつき、小花柄は長さ3
~4㎜で細い。苞葉は長楕円状倒卵形で長さ2.5㎜、内面がより著しく細軟毛を布く。花は5数性で、径は6~7㎜、白色を呈する。がく筒部・がく裂片と花弁は同長、またはがく筒部と花弁が僅かに短く、これらはともに細軟毛を密布する。雄ずいは各花
弁の前に3個ずつが束生し、花糸の長さは2㎜で無毛である。子房に細軟毛を著しく密布する。花柱は4~5個あり、先端に向って無毛となる。
46.Homalium samarense MERRILL
Homalium samarense MERRILL(異名
Homalium villosum MERRILL,Homalium polillense MERRILL)はフィリピン産で、同地で
bato bato という。
高さ10~15mの高木で、若枝に灰色の絨毛を布くが、間もなく無毛となる。葉は楕円形などで長さ7~10cm、幅2.5~5cm、鈍端の鋭尖頭、基部は楔形から円形を示す。やや革質で、離れたやや明瞭な鈍鋸歯をもち、側脉は6対あって下面で顕著、網脉が
あるが両面でほとんど隆起しない。上面は無毛で光沢があり、下面は初め軟毛を散生ないし密生するが、後に中肋と側脉以外はほとんど無毛となる。葉柄の長さは4~8㎜でやや絨毛を生ずる。
穂状様の総状花序を単出、またはそれらが複成して長さ15cm
までの円錐花序になり、多くは退化したやや残存性の小さい葉を具えている。花序軸に淡色の開出した長毛があり、花は軸に沿って散着し、小花柄の長さは2~3㎜、苞葉は卵形ないし皮針形で長さ2.5~4㎜、膜質である。花は6~7数生で、白色を呈す
る。がく筒部は漏斗形で長さ2~3㎜、がく裂片は線形から倒皮針形でやや鋭頭、筒部と同長またはやや長い。花弁は線状へら形でがく裂片と同長、
ともに開出毛を密布する。雄ずいは各花弁の前に3個ずつが束生し、花糸の長さは5㎜、下半部に開出毛をもつ。子房はやや絨毛を被むり、花柱は5~6個で長さ2~3㎜、下半部に開出毛を持つ。
47.Homalium villarianum VIDAL
Homalium villarianum VIDAL (異名
Homalium sorsogonense ELMER)はフィリピン産で、同地で
aranga,arangan,kamagahai,matobato という。
高さ8mまでの小高木である。葉は楕円形で長さ6~18cm、幅4~7cm、鈍頭ないし円頭で急突端をなし、基部は楔形から円形を示す。やや革質で、離れた鈍鋸歯があり、側脉は5~6対で下面で顕著、網脉はやや密で両面で隆起する。通常無毛で
、葉柄の長さは3~6㎜である。
穂状様の総状花序、またはそれらが複成した円錐花序を出し、長さ10~20cm、花序軸に開出した軟毛を密布する。花は軸に沿って間隔をおいて2~3個ずつが束出し、小花柄の長さは2~3㎜、苞葉は狭い長楕円形で長さ3㎜
、
やや鋭頭、やや残存性である。花は5~6数性で、白色を呈する。がく筒部は漏斗形で溝があり、基部に短いが明らかな柄がある。がく裂片はへら形で長さ4㎜、脉があり、やや密毛をつける。花弁はがく裂片によく似るが、ときに僅かに小さい。
雄ずいは各花弁の基部に通常3個ずつ、ときに同一花または同一個体でも2個ずつがつき、花糸の長さは2mmで基部のみが有毛である。子房は絨毛を被むり、花柱は4~5個ある。材は
aragan として利用される。