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平井信二樹木研究
シンドラノキ属の樹木(その5)
14.Sindora bruggemanii DE WIT
 Sindora bruggemanii DE WITはボルネオ・カリマンタン産で、インドネシア名をtapek tapek、tampora antu、kayu sindoroという。
 高さ30m、まれに40mまでになる高木で、樹幹は円柱状である。葉は偶数羽状複葉、小葉は5~8対、長さ4~9cm、幅2~3cm、革質、無毛である。花のがく裂片に短毛を布き、狭い膜質の縁があって刺は出ない。豆果は広い楕円形で長さ15cmまで、少数の刺 があってこれから香りがある樹脂を分泌する。材の気乾比重に0.58~0.77の記載がある。材は市場でsepetirとして扱われる。  
15.Sindora irpicina DE WIT
 Sindora irpicina DE WITはボルネオ産で、インドネシア名をsuda koira、tampar hantu、kasundurという。
 高さ35m、直径1.3mまでになる高木で、樹幹は円柱状、ときに板根がある。葉は偶数羽状複葉、小葉は4~5対、長楕円形などでやや鎌形になり長さ5~10.5cm、幅2~4cm、両面で密な網脉が見られる。革質で始め疎らに短毛があるが後に無毛となる。花の がく裂片は有毛で刺はない。豆果は楕円形などで長さ12cmまで、先端は鋭く尖り、両面に短くて鋭い樹脂質の刺を多くつける。材の気乾比重に0.51~0.74の記載があり、材は市場で一般にsepetirとして扱われる。  
16.Sindora leiocarpa BACKER ex K.HEYNE
 Sindora leiocarpa BACKER ex K.HEYNEはスマトラ、リアウ諸島、ボルネオ産で、インドネシアでsindur、malapira、marijangという。
 高さ40mまで、直径1m以上になる高木で、樹幹は円柱状、枝下高25mまでのものがある。葉は偶数羽状複葉、小葉は2~4対、楕円形などで長さ6~8cm、幅3.5~4.5cm、円頭~凹頭、革質、無毛である。花のがく裂片に短毛があるが刺はない。豆果は卵形~ 楕円形で長さ9cmまで、平滑で刺はない。
 材は散孔材。心材は濃黄褐色、紅褐色などで美しいものがある。放射断面と接線断面の顕微鏡写.真によって、材の組織について二三記す。道管は径0.17mmほどで、せん孔板は水平に近く単せん孔をもつ。真正木繊維の径は0.01~0.02mm、壁厚は0.003 ~0.004mmである。軸方向柔組織のうち、周囲柔組織は薄く0~2細胞層、散在柔細胞は放射組織に隣接し、4~15室の多室結晶細胞である。柔細胞の径は0.02~0.04mm、壁厚は0.001~0.002mmである。横断面の写.真を欠くため、ターミナル柔組織と垂直樹脂 道については不明である。放射組織は単列のものはなく2~3、ときに4細胞幅、10~35細胞高である。構成はやや判然としない異性で、単列部と多列部の1部は方形細胞または大型の平伏細胞、他は小型の平伏細胞からなる。
 材の気乾比重に0.46~0.74の記載があり、耐朽性はあまりないとされる。材は市場でsepetirとして扱われ、材面が美しいものは建築装飾材、高級家具などに、ふつうのものは一般用材として各方面に用いられる。樹幹からの油は民間薬とされる。 平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る
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