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平井信二樹木研究
5.カユプテ類の取り扱い
 カユプテ類 Melaleuca leucadendron LINNAEUS (種名は leucadendra と綴られることがある)の原産はオーストラリアのクイーンズランド・ニューサウスウエールズ・北部地方・西オーストラリアの沿海地域、ニューギニア南部、ニューカレドニア、モルッカ諸島に生じているものと考えられているが、またマレーシア・イ ンドネシア地域からインドシナ、タイ、ビルマにわたって野生状のものが多く生じている。
 これらは導入植栽から野生化したものか、本来の自生のものか判別できなくなっている。海岸に近い湿地性の処が多く、ときに純林を形成し、酸性土壌地域など にも生ずる。またやや内陸のサバンナに生ずるものもある。全体を通じて形態的な変化がきわめて大きい。近年最初に原産地としてあげたものの大部分を狭義の Melaleuca lecadendron LINNAEUS として、その他地域産のものをおもな対象とし、これに多少の原産地域産のものを含めて別種 Melaleuca cajuputi POWELL として扱う事が多くなっている。
 またS.T.BLAKE(1968)は、旧来の広義の Melaleuca leucadendron LINNAEUS を数種に分離したが、その間の相違は必ずしも画然としていないと思われる。そのおもなもの、すなわち Melaleuca cajuputi POWELL,Melaleuca alternifolia CHELL,Melaleuca quinquenervia S.T.BLAKE,Melaleuca viridiflora SOLANDER ex GAERTNER などについては、別項に抽出して、分布と形態的特徴その他をいくらかあげるが、材の組織、性質と利用、化学的利用については個別の記載には明確な区別が困難なので、ここでは広義のカユプテ類 Melaleuca leucadendron LINNAEUS としてまとめて記す。  
6.広義のカユプテ類の名称
 和名ではカユプテといい、ときにメラルーカとされるが、これは同属の総称名であまり適当でない。英名は paperbark tree,paperbark,broad-leaved paperbark,coarse-leaved paperbark,long-leaved paperbark,tea tree(ときに ti-tree),broad- leaved tea tree,brown tea tree,swamp tea tree, white tea tree,river tea tree,creeping tea tree,paperbark tea tree,Australian tea tree,New Guinea tea tree,milkwood,milkwod tree,punk tree,cajuput tree,melaleuca,独名は Kajeputbaum,echter Kajeputbaum,Cayeput,Weissbaum,仏名は cayeputier,cayeput,melaleuca cajuput,インドで kayaputi,cajupata,ilachie,タミール語で kijapute,kayaputa,スリランカで lath-sumbul,ビルマで kalan,タイで samet,samed,med,samet khao,中国で白千層、千層紙、台湾で白千層、ベトナムで tram,caay trafm,cham,カンボジアで smach,smach chantus,smach chandos,smach chanlos, smach chumro,マレー・サバ・サラワク・ブルネイで gelam,kayu puteh,インドネシアで gelam,galam,elam,kayu puteh,kayu putih,iren,irano,sakelan,オーストラリア土名で atchoourgo,cajeput,bethar,ニューカレドニアで niaouli(おもに Melaleuca viridiflora SOLANDER ex GAERTNER とされたもの)など多数がある。  
7.広義のカユプテ類の形態
 良い処では高さ32mまで、直径60cmまでの常緑の大高木になるが、一般に高さ10~18m、直径10~30cmの小~中高木が多い。きわめて大きいものは、オーストラリア北部で高さ46m、直径1.5mのものが記録されている。小さいものは高さ1~2mのブッシュ状 の低木である。高木性のものの樹幹はほぼ通直であるが、しばしば捩れが現れる。樹冠は広く密に茂る。大きい枝をつけ、ときに枝が下垂するものがある。樹皮は厚く、白色から灰白色で、ときに褐色を帯び、外層は縦に裂けて薄い紙状になって剥脱し、 根元ではかなり粗である。内層は厚さ2~3cmまたは以上で、厚いコルク質である。若枝に絹毛をもつが、ときに無毛である。
 葉は互生し、皮針形、楕円形などで、ときに僅かに曲がり、長さ4~20ときに22cmまで、幅1~4ときに6cmまで、鋭尖頭ときに鋭 頭から鈍頭、基部は狭い楔形から円形を示す。革質で、全縁、両面はほぼ同色、3~7おもに5本の縦脉があり、他の脉理はときに不顕著である。若葉に絹毛を布くが、成葉は細軟毛をもつものから無毛のものまである。抽腺点をもち、つぶすと芳香を発 する。葉柄の長さは0.3~1.3cmである。
 いわゆる穂状花序を1~3個頂生または上部葉腋に単出し、その長さは3~15cm、幅1.5~5cm、花序軸は無毛ときに絹毛をもつ。苞は卵形で密毛を被むり、早落性である。花は花序中にやや広い間隔で単出または3個 ずつ無梗で群生し、間隔はときに密である。花序軸は花後もさらに伸長生長を続ける。花は白色から緑白色、黄白色、淡黄色で、香りをもつ。がく筒部は卵形などで長さ2.5~3㎜、有毛または無毛、がく裂片は5ときに4個で、円形、卵円形、三角形、長さ 0.7~1㎜である。花弁は5個あって、卵形、倒卵形で長さ2~3㎜、早く脱落する。雄ずいは5~10個ずつが基部で合着して5個の束をなし、花弁に対生し、長さ7~20㎜、白色から黄緑色、ときに濃紅色、紫色などの多様の変化がある。雄ずい基部の合 着部分は狭まって長さ1~3.5㎜あり。爪(claw)という。雄ずいは1個で、子房下位、3室からなり、胚珠多数を含む。花柱は糸状である。
 さく(蒴)果はほぼ球形、ときにカップ形、鐘形、円錐形などで、径は3.5~7㎜、灰褐色を呈し、がくを宿存する。3裂して開口する。種子は倒卵形、楔形などで細小である。果実は樹上に長く残留する。  
8.広義のカユプテ類の材の組織
 散孔材。辺・心材はほぼ区別されるが、その境界はふつう不明瞭である。辺材の幅は1.5~3.5cmで、淡灰紅色、薄褐色、灰褐色、帯黄淡褐色など、心材は淡褐色、淡紅褐色、褐色、紅褐色ときに暗紅色などを呈する。生長輪は一般に不明瞭であるが、と きに材色の濃淡の推移などによってほぼ認められる場合がある。木理は通直ないし交走し、肌目は中位からやや精ないし精で均質である。特別の匂いと味はない。樹幹の曲がりや捩れなど、しばしば形質が不良のものがあり、ときに脆心材が見られる。
 道管は一般にすべて単独で、分布数は2~20/m㎡で、個体による変化の幅が広い。断面は広楕円形などで、径は0.03~0.25㎜を示す。せん孔板はふつうやや傾斜し、単せん孔をもつ。周囲仮道管との間に交互配列をする有縁のベスチャード壁孔をもち、そ の径は0.005~0.007㎜である。道管と放射組織との間の壁孔対は円形、楕円形その他不規則な形を示す単壁孔である。チロースは少ないか現れない。ときに樹脂様物質を含むものがある。
 周囲仮道管は0~1細胞層で、周囲柔組織(軸方向柔組織)と混 在し、長さ0.4~1.0㎜、径0.01~0.05㎜である。
 材の基礎組織を形成するのは繊維状仮道管で、長さ0.8~1.4㎜、径0.01~0.025㎜、壁厚0.004~0.005㎜を示す。ときに樹脂様物質を含むものがある。
 軸方向柔組織では、0~2細胞層ある周囲柔組織はと きに接線方向に4個細胞まで連なる翼状柔組織となる。そのほか基礎組織中に散在する単独または2~3個接続する柔細胞群、または放射方向に1細胞層で接線方向に4個細胞まで連なる短接線柔組織があり、これらは移行的である。柔細胞の径は0.01~0.04㎜ 、壁厚は0.001~0.002㎜である。内容物は少なく、ときに樹脂様物質を含む。結晶は見られない。
 放射組織は1~3細胞幅、1~36細胞高または以上である。構成は異性で、単列の部分および多列のものに小数混在する大型細胞は直立細胞または方形細胞 の層、他は平伏細胞の層からなる。細胞内に樹脂様物質を含むものが多く、シリカはふつう端部でない中間の細胞中に存在するが、結晶は見られない。  
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