65 |
マツヒノキ |
松檜 |
まいて手足はさながら深山の松檜にまがうて、 |
65 |
樹 |
樹 |
反つて杣の伐りあぐんだ樹は推し倒し、 |
65 |
杣 |
杣猟夫 |
山ずまいの杣猟夫かりうどは元より、 |
65 |
杣 |
杣の伐りあぐんだ |
反つて杣の伐りあぐんだ樹は推し倒し、 |
66 |
樹 |
樹を伐らうず |
杣の一むれが樹を伐ろうずとて、檜山ふかくわけ入つたに、 |
66 |
落葉 |
落葉を焚いて |
もてなし心に落葉を焚いて、徳利の酒を暖めてとらせた。 |
66 |
杣 |
杣 |
杣の一むれが樹を伐ろうずとて、檜山ふかくわけ入つたに、 |
66 |
杣 |
杣たち |
杣たちも打ち興じて、 |
66 |
檜山 |
檜山 |
杣の一むれが樹を伐ろうずとて、檜山ふかくわけ入つたに、 |
67 |
実 |
実のった |
とんとその樹は四十雀が実のったようじゃとも申そうず。 |
67 |
樹 |
その樹 |
とんとその樹は四十雀が実のったようじゃとも申そうず。 |
67 |
梢 |
森の梢 |
空に網を張つた森の梢へ、 |
67 |
森 |
森の梢 |
空に網を張つた森の梢へ、 |
67 |
森 |
森の熊笹 |
再び森の熊笹を踏み開いて |
67 |
杣 |
杣たちに |
足もとにつどうた杣たちにねんごろな別をつげてから、 |
68 |
一本杉 |
一本杉に |
必村はづれの一本杉にたかだかとよじのぼつて、 |
68 |
帆柱 |
船の帆柱 |
その船の帆柱をむずとつかんだと見てあれば、 |
70 |
長櫃 |
長櫃 |
三十人の力士もえ舁(か)くまじい長櫃十棹とさをの宰領を承って、 |
77 |
サクラ |
桜の花 |
雪にも紛(まが)はうず桜の花が紛々と飜(ひるがえ)り出(いだ)いたと思へば、 |
78 |
サクラ |
桜の花 |
散りしく桜の花の色さへ消えようずると思はれたが、 |
78 |
サクラ |
桜の花の色 |
散りしく桜の花の色さへ消えようずると思はれたが、 |
79 |
サクラ |
桜の花 |
桜の花も降らずなって、 |
79 |
サクラ |
桜の花も |
桜の花も降らずなって、 |
79 |
棟 |
家の棟に |
次第に家の棟にのぼつて消えた。 |
79 |
棟 |
家の棟に |
次第に家の棟にのぼつて消えた。 |
80 |
枯木に薔薇の花 |
枯木に薔薇の花 |
総じて悪魔(じゃば)の下部となつたものは、枯木に薔薇の花が咲かうずるまで、御主『えす・きりしと』に知遇し奉る時はござない。」とあつたに、 |
83 |
バラ |
枯木に薔薇の花 |
総じて悪魔(じゃば)の下部となつたものは、枯木に薔薇の花が咲かうずるまで、御主『えす・きりしと』に知遇し奉る時はござない。」とあつたに、 |
83 |
ヤナギ |
汀の柳 |
毎時汀(みぎは)の柳を根こぎにしたしたたかな杖をつき立てながら、 |
83 |
杖 |
杖 |
毎時汀(みぎは)の柳を根こぎにしたしたたかな杖をつき立てながら、 |
83 |
楊花 |
楊花 |
さながら楊花(ようか)の飛びちるやうに、 |
85 |
杖 |
例の太杖 |
例の太杖をてうとついて、岸べの青蘆を押し分けながら、嵐 |
85 |
太杖 |
太杖 |
太杖にしかとすがりながら、礎の朽ちた塔のように |
86 |
ヤナギ |
柳の太杖 |
喘ぎ喘ぎよろめき上ると、柳の太杖を砂にさいて、 |
86 |
太杖 |
太杖 |
太杖も折れよとつき固めて、必死に目ざす岸へと急いだ。 |
86 |
太杖 |
柳の太杖 |
喘ぎ喘ぎよろめき上ると、柳の太杖を砂にさいて、 |
87 |
バラ |
紅の薔薇の花 |
不思議や麗しい紅の薔薇の花が、薫(かぐわ)しく咲き誇つっ居ったと申す。 |
87 |
ヤナギ |
柳の太杖 |
したたかな柳の太杖で、これには枯れ枯れな幹のまはりに |
87 |
幹 |
幹のまわりに |
したたかな柳の太杖で、これには枯れ枯れな幹のまわりに |
87 |
太杖 |
柳の太杖 |
したたかな柳の太杖で、これには枯れ枯れな幹のまはりに |