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小説と木
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  7. マツ 1箇所

芥川竜之介の小説「地獄変」に出てくる樹木や木製品

この小説の初出は1917 年、文庫本におけるページ数は 50ページ
ページ 元樹種 掲載樹種 掲載言葉
0 格子 袖格子 さうして朱塗のような袖格子が、ばらぱらと焼け落ちる中に
105 梅花 梅花の宴 何時ぞや、内の梅花の宴からの御帰りに御車の牛が放れて、
106 チョウジ 丁字染 よく丁字染の狩衣に揉烏帽子(もみゑぼし)をかけておりましたが、
107 マツ 御庭の松 やれ御庭の松に上つたの、やれ曹司の畳をよごしたのと、
108 ウメ 寒紅梅の枝 御文を結んだ寒紅梅の枝を持つて、長い御廊下を通りかゝりますと、
108 ウメ 梅の枝 片手に梅の枝をかざした儘、片手に紫匂の袿(うちぎ)の袖を軽そうにはらりと開きますと、
108 遣戸 遣戸 遠くの遣戸の向うから、例の小猿の良秀が、大方足でも挫いたのでございましょう、
108 寒紅梅の枝 御文を結んだ寒紅梅の枝を持つて、長い御廊下を通りかゝりますと、
108 梅の枝 片手に梅の枝をかざした儘、片手に紫匂の袿(うちぎ)の袖を軽そうにはらりと開きますと、
108 何時ものように柱へ駆け上る元気もなく、
109 カキ 柿や栗 しまいには若殿様でさえ、時々柿や栗を投げて御やりになつたばかりか、
110 クリ 柿や栗 しまいには若殿様でさえ、時々柿や栗を投げて御やりになつたばかりか、
112 檜垣 檜垣 或日さる方の御邸で名高い檜垣の巫女御霊ごうが憑いて、
113 ウメ 梅の花 やれ板戸の梅の花が、月の夜毎に匂つたの、
113 板戸 板戸 やれ板戸の梅の花が、月の夜毎に匂つたの、
119 刀樹 刀樹 まるで獣の牙のような刀樹の頂きを半ばかすめて(その刀樹の梢にも、多くの亡者が累々と、
119 刀樹 刀樹の梢 まるで獣の牙のような刀樹の頂きを半ばかすめて(その刀樹の梢にも、多くの亡者が累々と、
119 刀樹 刀樹の梢 まるで獣の牙のような刀樹の頂きを半ばかすめて(その刀樹の梢にも、多くの亡者が累々と、
119 落葉 落葉 大風に吹き散らされる落葉のように、紛々と四方八方へ逃げ迷つているのでございます。
121 昼も蔀(しとみ)を下おろした部屋の中で、結燈台(ゆいとうだい)の火の下に、秘密の絵の具を合せたり、
122 結燈台 結燈台 その煤臭い明あかりで眺めますと、結燈台が倒れたので、
122 造作 造作 それも別に造作のない事でございますから、「よろしうございます。」と申しますと、
122 煤臭い その煤臭い明あかりで眺めますと、結燈台が倒れたので、
131 落葉 落葉の匂 落葉の匂だか、滝の水沫とも或は又猿酒の饐(す)えたいきれだか何やら怪しげなもののけはいを誘つて、
135 ウメ 梅の匂 確、もう梅の匂でも致しさうな、うすい月の光のさしている、暖い夜でございましたが、
136 遣り戸 遣り戸 その遣り戸へ後ざまに、したたか私の体を打ちつけました。
136 枝ぶりのやさしい松 夜目にもうす白い御池の水が枝ぶりのやさしい松の向うにひろびろと見渡せる、
136 枝ぶりのやさしい松 夜目にもうす白い御池の水が枝ぶりのやさしい松の向うにひろびろと見渡せる、
136 森と静まり返つて あたりはどこも森と静まり返つて、月明りとも靄(もや)ともつかないものゝ中で、
137 遣り戸 遣り戸 私は矢庭に遣り戸を開け放して、月明りのとどかない奥の方へ跳りこもうと致しました。
138 遣り戸 遣り戸 やがて明け放した遣り戸を閉しながら少しは上気の褪(さ)めたらしい娘の方を見返つて、
141 檳榔毛 檳榔毛 私は屏風の唯中に、檳榔毛の車が一輛空から落ちて来る所を描こうと思つておりまする
142 檳榔毛 檳榔毛の車 どうか檳榔毛の車を一輛、私の見ている前で、火をかけて頂きとうございまする。
143 檳榔毛 檳榔毛の車 檳榔毛の車にも火をかけよう。又その中にはあでやかな女を一人、
144 檳榔毛 檳榔毛の車 良秀を御召しになつて、檳榔毛の車の焼ける所を、目近く見せて御やりになりました。
145 ビンロウ 檳榔毛の車 御庭に引き据ゑた檳榔毛の車が、高い車蓋(やかた)にのつしりと暗(やみ)を抑えて
145 榻へ 牛はつけず黒い轅(ながえ)を斜に榻(しじ )へかけながら、
146 松明 松明 手ん手に燃えさかる松明(まつ)を執つて、煙が御縁の方へ靡くのを気にしながら、
146 松明 松明の煙が 唯かすかな夜風の渡る音がして、松明の煙がその度に煤臭い匂を送つて参ります。
146 煤臭い匂 唯かすかな夜風の渡る音がして、松明の煙がその度に煤臭い匂を送つて参ります。
146 林泉 林泉 林泉をつつんだ暗がひつそりと声を呑んで、
148 サクラ 桜の唐衣 きらびやかな繍(ぬい)のある桜の唐衣にすべらかし黒髪が艶やかに垂れて
148 松明 松明の光 けたたましく音を立てて燃える松明の光は、一しきり赤くゆらぎながら、
148 松明 松明の火 仕丁たちが投げる松明の火を浴びて炎々と燃え上つたのでございます。
148 松明 松明の火 片手に松明の火を高くかざしながら、
148 柄頭 柄頭 柄頭を片手に抑えながら、屹(つと)き良秀の方を睨みました。
149 格子 袖格子 それよりもめらめらと舌を吐いて袖格子に搦(から)みながら、
149 檳榔毛 檳榔毛の車 娘を乗せた檳榔毛の車が、この時、「火をかけい」と云ふ大殿様の御言と共に、
150 桜の唐衣 それから又見る間に火と変つて行く、桜の唐衣の美しさ、
151 木々の梢 するとその夜風が又一渡り、御庭の木々の梢にさつと通ふ
151 木々 木々の梢 するとその夜風が又一渡り、御庭の木々の梢にさつと通ふ
154 木石 木石 それでも屏風の画を描きたいと云うその木石のような心もちが、
155 梁へ 自分の部屋の梁へ縄をかけて、縊(くび)れ死んだのでございます。
  1. 書籍『河童・或阿呆の一生』
  2. 大導寺信輔の半生
  3. 玄鶴山房
  4. 蜃気楼
  5. 河童
  6. 或阿呆の一生
  7. 歯車
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