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小説と木
  1. アカマツ 1箇所
  2. あんず 1箇所
  3. イチジク 1箇所
  4. カキ 1箇所
  5. サクラ 1箇所
  6. ネム 2 箇所
  7. ノウゼンカヅラ 4箇所
  8. ビワ 4箇所
  9. ヤナギ 3箇所
  10. マツ 2箇所

芥川竜之介の小説「楡盗」に出てくる樹木や木製品

この小説の初出は1917 年、文庫本におけるページ数は 94ページ
ページ 元樹種 掲載樹種 掲載言葉
8 枝のまばらな 辻には、枝のまばらな、ひょろ長い葉柳はやなぎが一本、
8 その日にかわいた葉を動かそうという風はない。
8 葉柳 葉柳が一本 辻には、枝のまばらな、ひょろ長い葉柳が一本、
9 蛙股の杖 長い蛙股の杖をついた、目の丸い、口の大きな
9 老婆は、杖をひきずりながら、二足三足あとへ帰って、
9 檜皮色 檜皮色 垢じみた檜皮色の帷子(かたびら)に、黄ばんだ髪の毛をたらして、
11 ヤナギ 柳の根へ 忌々しそうに、柳の根へ唾を吐いた。
11 柳の根へ 忌々しそうに、柳の根へ唾を吐いた。
11 老婆は、鼻の先で笑いながら、杖を上げて、道ばたの蛇の死骸を突っついた。
13 蛙股の杖  蛙股の杖は、こういうことばと共に動いた。
13 猪熊のばばは、口達者に答えながら、杖をひいて、歩きだした。
14 イチジク 無花果が青い実をつけて 無花果が青い実をつけて、人を恐れない鴉(からす)の群れは、昼も水のない池につどっている。
14 ヤナギ 柳の根に もう一度、柳の根につばを吐くと、それからおもむろに、くびすをめぐらした。
14 柳の根に もう一度、柳の根につばを吐くと、それからおもむろに、くびすをめぐらした。
14 無花果が青い実をつけて 無花果が青い実をつけて、人を恐れない鴉(からす)の群れは、昼も水のない池につどっている。
14 足にかかる夏のほこりも払わずに、杖をつきつき歩いてゆく。
14 板垣 板垣 咲いているばかり、倒れかかった板垣の中には、
15 蛙股の杖 蛙股の杖のはこびを、前よりも急がせ始めた。
16 ネム 合歓の木 盛りをすぎた合歓の木が二三本、こけの色の日に焼けた瓦の上に、ほほけた、赤い花をたらしている。
16 赤い花 盛りをすぎた合歓の木が二三本、こけの色の日に焼けた瓦の上に、ほほけた、赤い花をたらしている。
16 朽葉色 朽葉色 これは、朽葉色の水干に黒鞘の太刀を横たえたのが、
16 蛙股の杖 蛙股の杖を止めて、あごをしゃくりながら、呼びかけた。
17 あんず 腐った杏 丁度腐った杏のような、どす黒い斑があって、
17 ネム 合歓を一枝立て 合歓を一枝立てたのは、おおかた高坏へ添える色紙の、心葉(こころば)をまねたものであろう。
17 心葉 心葉 合歓を一枝立てたのは、おおかた高坏へ添える色紙の、心葉(こころば)をまねたものであろう。
18 蛙股たの杖 、蛙股の杖をのべて、遠くから、ぐいと女の頭を突いてみた。
18 蛙股たの杖 老婆は、蛙股たの杖にあごをのせて、もう一度しみじみ、女のからだを見た。
19 老婆は、杖の上でのび上がりながら、ぎょろり目を大きくして、あざわらうように、こう言った。
20 杖にすがって こう言ううちに、猪熊のばばは、杖にすがって、もう二足三足歩いている。
21 マツ 松や柳 昔の儘(まま)、僅かに残っている松や柳
21 ヤナギ 松や柳 昔の儘(まま)、僅かに残っている松や柳
23 蛙股の杖 蛙股の杖を早めながら、この時始めて心の底で、しみじみこう、祈ったのである。
23 楚の先 楚(すわえ)の先に蛇の死骸をひっかけた、
24 板蔀 板蔀 の板蔀(いたじとみ)や蒲簾(かますだれ)の後ろでは、町中の人が悉、
24 板葺 板葺 板葺、檜皮の屋根の向こうに、むらがっている旱(ひで)り雲も、
24 檜皮 檜皮 板葺、檜皮の屋根の向こうに、むらがっている旱(ひで)り雲も、
26 格子 牢格子を隔てて おれがそれと、ふとした事から、牢格子を隔てて、話し合うような仲になる。
27 折敷 折敷 そうして、あの何畳かの畳の上に、折敷(おしき)や高坏を、所狭く置きならべて、
28 板庇 板庇 太郎の鼻の先を一文字に、向こうの板庇の下へはいる。
29 葉柳 葉柳 絶えてはつづく葉柳と家々との間に、かすかなせせらぎの音を立てている。
31 造作 造作がない が、してみると、意外に造作がない。
33 網代の塀 とある網代の塀の下に腐爛した子供の死骸が二つ、
35 びわ 葉をたれた枇杷 暗い緑の葉をたれた枇杷があって、その影がわずかながら、涼しく窓に落ちている。
35 丸柱 丸柱 その所々剥落した朱塗りの丸柱の下へ来て、
35 木の下 この木の下を、この戸口へはいった事は、何度あるかわからない。
35 葉をたれた枇杷 暗い緑の葉をたれた枇杷があって、その影がわずかながら、涼しく窓に落ちている。
36 カキ 黒柿 その黒柿の骨を、一つずつ指で送ったり、もどしたりしながら、
39 サクラ 樺桜 男は、樺桜の直垂に梨打の烏帽子をかけて、
39 が、柱の下をはなれて、まだ石段へ足をおろすかおろさないうちに、
40 アカマツ 赤松の影 唯一本、細い幹をくねらした、赤松の影が落ちている。
43 檜垣 檜垣のすぐ側 あの大路面の檜垣のすぐ側なんですが、昨夜その檜垣の外で、きっと盗人でしょう、
43 檜垣 檜垣の外で あの大路面の檜垣のすぐ側なんですが、昨夜その檜垣の外で、きっと盗人でしょう、
47 遣戸 遣戸 廚(くりや)へ通う遣戸(やりど)が一枚、斜めに網代屏風の上へ、倒れかかって、
47 青松葉 青松葉 一面にあたりへ、燃え残った青松葉を、灰と一しょにふりまいている。
47 網代 網代屏風 廚(くりや)へ通う遣戸(やりど)が一枚、斜めに網代屏風の上へ、倒れかかって、
48 ビワ 枇杷の木 枇杷の木の下を北へ、こけつまろびつして、走っていた。
48 はだしのまま、縁を下へ、白い布をひらりとくぐる。
49 網代 網代屏風 網代屏風をふみ倒して、廚のほうへ逃げようとする。
51 ビワ 枇杷の木 枇杷の木が、葉の裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のない梢にあつめている。
51 遣戸 遣戸 はね起きると、すばやく倒れた遣戸を小盾にとって、
51 風のない梢 枇杷の木が、葉の裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のない梢にあつめている。
51 なぜおぬしこそ、太刀の柄(つか )へ手をかけているのじゃ。」
51 太刀の柄 太刀の柄を握りしめて、老人の頸のあたりをじっと見た。
51 葉の裏表 枇杷の木が、葉の裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のない梢にあつめている。
51 緑の色 枇杷の木が、葉の裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のない梢にあつめている。
56 黒鞘の太刀 男の黒鞘の太刀たちが、きらりと日に光ったかと思うと、二
57 太刀の柄 太刀の柄(つか)へ手をかけたが、やめて、くちびるを急に動かすとたちまち相手の顔へ、一塊の痰をはきかけた。
59 朽葉色 朽葉色 朽葉色の水干とうす紫の衣きぬとが、影を二つ重ねながら
59 森閑 森閑 どこも森閑と音を絶って、たまに耳にはいるのは、
61 弓杖 弓杖 胡(やな)ぐいを背に弓杖をつきながら、一同を見渡して、あでやかな口を開いた。
61 蘇芳染 蘇芳染 蘇芳染(すおうぞめ)の水干(すいかん)を着た相手は、太刀のつばを鳴らして、
65 太刀を杖 太刀を杖にして居ざりながら、丁度羽根をぬかれた鴉(からす)のように、
65 斧の柄 斧の柄をたたいて、こう罵ると、「おう」という答えがあって
66 林のように 太刀や鉾が林のように、きらめきながら並んだ中から、
68 樺桜 樺桜 汗にぬれた赤ひげと切り裂かれた樺桜の直垂とを、相手の男に認めたのである。
68 弓杖 弓杖 弓杖をついたまま、口角の微笑もかくさず
68 太刀の柄 太刀の柄に手をかけて、やはり後ろに下がっていた次郎は
74 楼上 楼上 羅生門の楼上にたたずんで、遠くの月の出を眺めている。
75 垂木 蜘蛛の巣をかけた楹(たるき )の間へ、はい上がったのがあるからであろう。
75 門の柱 今では古びた門の柱にまといついて、ず
75 簇々(そうそう)と蔓をのばしたその花が、今では古びた門の柱にまといついて、
75 凌霄花 凌霄花 その中で、かすかに凌霄花のにおいがした。
75 裸のまま、地蔵堂の梁(うつばり)へつり上げられた。
79 マツ われ持たばや
なよや、松山
われ持たばや
なよや、末の松山
波も越えなむや
84 林の中 が、それも、太刀と鉾との林の中から、一人に会えば一人を切り、二人に会えば二人を切って、
86 ただ、濛々としたほこりが、夜空に白く、ひとしきり柱になって、舞い上がる。
89 丸柱の根 あるいは丸柱の根がたにうずくまって、さっきから、それぞれけがの手当てに忙しい。
89 松明 松明 そのやみの中にかすかな松明の火をめぐりながら、
89 丸柱の根 あるいは丸柱の根がたにうずくまって、さっきから、それぞれけがの手当てに忙しい。
89 斜めにつき出した高い檐(のき )に、月も風もさえぎられて、むし暑い暗がりが、
93 丹塗の柱 丹塗(にぬり )の柱の向こうに、じっと自分の息をうかがっているのを感じた。
93 丹塗の柱 丹塗(にぬり )の柱の向こうに、じっと自分の息をうかがっているのを感じた。
94 ノウゼンカヅラ 凌霄花 始めてなま温かく、柱の間を吹いて、うす甘い凌霄花のにおいが、どこからかそっと一同の鼻を襲った。
94 柱の間 始めてなま温かく、柱の間を吹いて、うす甘い凌霄花のにおいが、どこからかそっと一同の鼻を襲った。
94 油しめ木 また、鼻歌の声が、油しめ木(ぎ)の木音のような呻吟(しんぎん)の声と一つになった。
95 ノウゼンカヅラ 凌霄花 その間をただ、凌霄花のにおいのする風が、またしてもかすかに、通りぬけると、
95 太刀の鞘 交野の平六が、太刀の鞘を、柱にぶっつけながら、立ち上がった。
95 その柱の向こうにかかっている。
95 梯子 梯子 程なく急いで梯子をおりて来る足音が、あわただしく、重苦い暗をかき乱した。
95 梯子 梯子 平六は、梯子をおりると、古被衣()ふるかずき)にくるんだ、丸々としたものを、
95 梯子 梯子 楼上に通う梯子は、二十いくつの段をきざんで、
96 松明 松明の火  松明の火を前に立った、平六のまわりを囲んで、
98 松明 松明の火 消えかかる松明の火のように、静かに息をひきとったのである。…
99 ノウゼンカヅラ 凌霄花 竹と凌霄花との茂みを、次第に奥深く舁(か)かれて行った。
99 ノウゼンカヅラ 凌霄花 蕭条(しょうじょう )とした藪が、かすかに梢をそよめて、凌霄花のにおいが、愈(いよいよ )濃く、甘く漂っている。
99 蕭条(しょうじょう )とした藪が、かすかに梢をそよめて、凌霄花のにおいが、愈(いよいよ )濃く、甘く漂っている。
100 朽葉色 朽葉色 その死骸が口にくわえていた、朽葉色の水干の袖そでばかりである。
100 遣戸 遣り戸 阿濃は、これを遣り戸の隙間から、のぞいていたが、
101 ビワ 枇杷の木 すぐに外へ出ますと、大方枇杷の木にでもつないでおいたのでございましょう、
  1. あばばばば
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  3. 或日の大石内蔵之
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  6. 開化の良人
  7. 戯作三昧
  8. 枯野抄
  9. 年末の一日
  10. 舞踏会
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