元樹種 | 箇所計 |
---|---|
マツ | 48 |
サクラ | 29 |
カキ | 19 |
スギ | 17 |
バラ | 15 |
ウメ | 15 |
ヤナギ | 15 |
イチョウ | 14 |
ヒノキ | 11 |
ツバキ | 7 |
ミカン | 7 |
タチバナ | 7 |
アンズ | 6 |
ブドウ | 5 |
キリ | 5 |
フジ | 5 |
ポプラ | 5 |
モモ | 5 |
ノウゼンカヅラ | 4 |
ボダイジュ | 4 |
ヨウジュ | 4 |
リンゴ | 4 |
びわ | 4 |
シュロ | 4 |
クリ | 4 |
ボタン | 4 |
ヤシ | 4 |
センダン | 3 |
シイ | 3 |
ナシ | 3 |
ブナ | 3 |
クワ | 3 |
カシ | 3 |
アオギリ | 3 |
ざくろ | 2 |
カエデ | 2 |
イチジク | 2 |
カナメモチ | 2 |
クルミ | 2 |
チョウジ | 2 |
トチ | 2 |
ヤブコウジ | 2 |
ネム | 2 |
ヤナギザクラ | 1 |
ビンロウ | 1 |
キャラ2 | 1 |
マキ | 1 |
マホガニイ | 1 |
もくせい | 1 |
クヌギ | 1 |
ヤツデ | 1 |
イチヂク | 1 |
イチイ | 1 |
ヤマモモ | 1 |
アカマツ | 1 |
アカギ | 1 |
もみ | 1 |
ナギ | 1 |
ツル | 1 |
スモモ | 1 |
すずかけ | 1 |
ジンチョウゲ | 1 |
シラカンバ | 1 |
トネリコ | 1 |
ハン | 1 |
シキミ | 1 |
ツゲ | 1 |
サルスベリ | 1 |
ナツメ | 1 |
ナンテン | 1 |
ゴムノキ | 1 |
コウヤマキ | 1 |
ハゼ | 1 |
シタン | 1 |
元樹種 | 小説名 | ページ | 掲載樹種 | 掲載言葉 |
---|---|---|---|---|
マツ | お富の貞操 | 183 | 荒神の松 | 狭い板の間を塞いだ竈、蓋のない水瓶の水光り、荒神の松、引き窓の綱、 |
ナシ | お富の貞操 | 187 | 桃や梨 | 何処か新しい桃や梨を聯想させる美しさがあった。 |
モモ | お富の貞操 | 187 | 桃や梨 | 何処か新しい桃や梨を聯想させる美しさがあった。 |
サクラ | お富の貞操 | 197 | 桜 | おまけに桜も黒門のあたりは、もう大抵開いていた。 |
ミカン | トロッコ | 9 | 蜜柑 | 蜜柑畑に黄色い実 |
ミカン | トロッコ | 9 | 蜜柑 | トロッコは三人が乗り移ると同時に、蜜柑畑の匂いを煽(あお)りながら、ひた辷(すべ)りに線路を走り出した。 |
ウメ | トロッコ | 93 | 梅 | 茶店の前には花の咲いた梅に、西日の光が消えかがっている。「もう日が暮れる」 |
サクラ | 或阿呆の一生 | 156 | 桜 | 彼は走つている小蒸汽の窓から向う島の桜を眺めていた。 |
サクラ | 或阿呆の一生 | 156 | 桜 | 花を盛つた桜は彼の目には一列の襤褸(ぼろ)のように憂欝だった。 |
サクラ | 或阿呆の一生 | 156 | 桜 | が、彼はその桜に、――江戸以来の向う島の桜にいつか彼自身を見出していた。 |
サクラ | 或阿呆の一生 | 156 | 桜 | が、彼はその桜に、――江戸以来の向う島の桜にいつか彼自身を見出していた。 |
ヤシ | 或阿呆の一生 | 157 | 椰子 | Talipot 東印度に産する椰子。 |
ヤシ | 或阿呆の一生 | 157 | 椰子の花 | 彼は短い命を思い、もう一度この椰子の花を想像した。 |
ゴムノキ | 或阿呆の一生 | 157 | ゴムの樹 | しかしパンの神の額の下には赭(あか)い鉢に植えたゴムの樹が一本、肉の厚い葉をだらりと垂らしていた。 |
ヤシ | 或阿呆の一生 | 157 | 椰子の花 | この遠い海の向うに高だかと聳(そび)えている椰子の花を。 |
アンズ | 或阿呆の一生 | 160 | 杏の匂 | が、腐敗した杏の匂に近い死体の臭気は不快だった。 |
かし | 或阿呆の一生 | 160 | かしの木 | 彼は大きいかし(木+解)の木の下に先生の本を読んでeゐた。 |
かし | 或阿呆の一生 | 160 | かしの木 | かし(木+解)の木は秋の日の光の中に一枚の葉さへ動さなかつた。 |
バラ | 或阿呆の一生 | 161 | 薔薇色 | 市場に群つた人々や車はいづれも薔薇色に染まり出した。 |
すずかけ | 或阿呆の一生 | 161 | 篠懸 | 市場のまん中には篠懸(すずかけ)が一本、四方へ枝をひろげていた。 |
バラ | 或阿呆の一生 | 163 | 薔薇の葉 | 彼は薔薇の葉の匂のする懐疑主義を枕にしながら、アナトオル・フランスの本を読んでいた。 |
ざくろ | 或阿呆の一生 | 169 | 柘榴の花 | 彼は部屋の戸口に立ち、柘榴の花のさいた月明りの中に薄汚い支那人が何人か、麻雀戯マアチアンをしているのを眺めていた。 |
アンズ | 或阿呆の一生 | 173 | 杏の匂に | それはどこか熟し切つた杏の匂に近いものだった。 |
サルスベリ | 或阿呆の一生 | 174 | 百日紅 | 縁先の庭には百日紅が一本、――彼は未だに覚えている。 |
リンゴ | 或阿呆の一生 | 178 | 焼林檎 | 彼の友だちは焼林檎を食い、この頃の寒さの話などをした。 |
バラ | 或阿呆の一生 | 183 | 薔薇 | この詩人の心にはアクロポリスやゴルゴタの外にアラビアの薔薇さへ花をひらいていた。 |
シイ | 或阿呆の一生 | 185 | 椎の若葉 | 彼はひとり籐椅子に坐り、椎の若葉を眺めながら、度々死の彼に与える平和を考へずにはいられなかった。 |
ウメ | 或日の大石内蔵之助 | 8 | 老木の梅 | 嵯峨たる老木の梅の影が、何間かの明みを、右の端から左の端まで画の如く鮮に領している。 |
ウメ | 或日の大石内蔵之助 | 24 | 寒梅の老木 | 寒梅の老木が、古庭の苔こけと石との間に、的れきたる花をつけたのを眺めていた。 |
ウメ | 或日の大石内蔵之助 | 24 | 梅の匂 | このかすかな梅の匂につれて、冴返る心の底へしみ透って来る寂しさは、 |
サクラ | 一塊の土 | 240 | 桜の一枝 | 遊ばせる玩具おもちやは学校のを盗んだ花盛りの桜の一枝だった。 |
サクラ | 一塊の土 | 241 | 桜の枝 | 広次は妙に羞(はづか)しさうに、奥部屋の古畳へ投げ出された桜の枝ばかり気にしていた。 |
マツ | 一塊の土 | 244 | 松葉束 | お民は松葉束を流しもとへ投げ出し、 |
クヌギ | 一塊の土 | 244 | 櫟の根つ | 炉の中には櫟の根つこが一つ、赤あかと炎を動かしていた。 |
マツ | 一塊の土 | 244 | 松葉束 | 或秋も暮れかかつた夜、お民は松葉束を抱へながら、やつと家へ帰つて来た。 |
クワ | 一塊の土 | 246 | 桑 | それよりもあすこに桑を作り、養蚕を片手間にやるとすれば、 |
みかん | 一塊の土 | 247 | 蜜柑畠 | 丁度裏の蜜柑畠の一ぱいに花をつける頃、 |
ブドウ | 一塊の土 | 251 | 葡萄棚の葉 | お住は納屋やの前を覆つた葡萄棚の葉の陰に隣のばあさんと話していた。 |
カキ | 一塊の土 | 253 | 吊し柿 | お住は丁度納屋の前に器用に庖丁を動かしながら、蜂屋柿を吊し柿に拵こしらへていた。 |
カキ | 一塊の土 | 253 | 蜂屋柿 | お住は丁度納屋の前に器用に庖丁を動かしながら、蜂屋柿を吊し柿に拵こしらへていた。 |
カキ | 一塊の土 | 254 | 柿 | 「この柿も熟うんだら、おらにくれる?」 |
カキ | 芋粥 | 38 | 串柿 | 橘、串柿などの類である |
タチバナ | 芋粥 | 38 | 橘 | 橘、串柿などの類である |
ミカン | 芋粥 | 40 | 橙黄橘紅 | 橙黄橘紅を盛った |
ヤナギ | 芋粥 | 42 | 柳 | 川に臨んだ背の低い柳は |
ハゼ | 芋粥 | 43 | 櫨ノキ | とげとげしい櫨の梢が、眼に痛く空を刺してゐるのさへ、何となく肌寒い。 |
ツル | 芋粥 | 45 | つる | 野葡萄か何かの蔓が |
ブドウ | 芋粥 | 45 | ぶどう | 野葡萄か何かの蔓が |
マツ | 芋粥 | 48 | 松 | 松の間を |
ヒノキ | 芋粥 | 48 | 檜皮色 | 檜皮色の水干を着た |
マツ | 芋粥 | 48 | 松 | 松の樹の間には |
ヒノキ | 芋粥 | 52 | 檜皮葺 | 檜皮葺の軒先へ |
ヒノキ | 芋粥 | 55 | 檜皮葺 | 檜皮葺の軒には |
サクラ | 運 | 60 | 桜 | 桜の枝を持っていた |
サクラ | 運 | 61 | 桜 | 桜の花がこぼれたのであろう |
サクラ | 運 | 64 | 桜 | 其処此処に散っている桜の花も |
サクラ | 運 | 66 | 桜 | やれ清水の桜が咲いたの |
かき | 猿蟹合戦 | 106 | 熟柿 | が、猿は熟柿を与えず、青柿ばかり与えたのみか、 |
カキ | 猿蟹合戦 | 106 | 柿 | 握り飯を柿と交換 |
カキ | 猿蟹合戦 | 106 | 柿 | その柿をなげつけた |
カキ | 猿蟹合戦 | 106 | 柿 | 握り飯を柿と交換 |
カキ | 猿蟹合戦 | 106 | 柿 | 熟柿とは特に断っていない |
カキ | 猿蟹合戦 | 106 | 柿 | 青柿を投げつけられた |
カキ | 猿蟹合戦 | 106 | 柿 | 青柿ばかり |
カキ | 猿蟹合戦 | 109 | 柿 | 柿の木の梢に虱をとっていた猿 |
クルミ | 往生絵巻 | 178 | 栗胡桃 | 栗胡桃などを商う主 どうして又ああ云う殺伐な人が、頭を剃そる気になったのでしょう? |
クリ | 往生絵巻 | 179 | 栗 | れ、この暇に頸の袋へ、栗でも一ぱい盗んで行かうか |
クルミ | 往生絵巻 | 179 | 栗胡桃などを商う主 | 栗胡桃などを商う主 いや、私は狐だと思つてるのさ |
マツ | 往生絵巻 | 182 | 松の枯木が | 幸ひ此処に松の枯木が、二股に枝を伸ばしている。 |
カシ | 河童 | 72 | 樫の木 | (鉄格子をはめた窓の外には枯れ葉さへ見えない樫の木が一本、雪曇りの空に枝を張つていた。) |
シラカンバ | 河童 | 74 | 白樺 | 片手は白樺の幹を抱へ、片手は目の上にかざしたなり、珍らしさうに僕を見おろしていました。 |
ブナ | 河童 | 74 | 毛生欅 | 尤も時々霧の中から太い毛生欅(ぶな)や樅の枝が青あをと葉を垂らしたのも見えなかつた訣ではありません。 |
もみ | 河童 | 74 | 樅の枝 | 尤も時々霧の中から太い毛生欅(ぶな)や樅の枝が青あをと葉を垂らしたのも見えなかつた訣ではありません。 |
トチ | 河童 | 75 | 橡 | が、大きい橡(とち)の木が一本、太ぶとと枝を張つた下へ来ると、 |
ブナ | 河童 | 75 | 毛生欅 | やはり毛生欅の並み木のかげにいろいろの店が日除けを並べ、 |
ヤマモモ | 河童 | 98 | 山桃 | これは山桃の鉢植え後に苦い顔をしていたペツプの言葉です。 |
バラ | 河童 | 100 | 冬薔薇 | 何でも或霧の深い晩、僕は冬薔薇を盛つた花瓶を中にゲエルの話を聞いていました。 |
バラ | 河童 | 100 | 冬薔薇 | 僕は花瓶の中の冬薔薇の花を抜き、ゲエルの手へ渡しました。 |
ブナ | 河童 | 111 | 毛生欅 | 人通りの多い往来は不相変毛生欅の並み木のかげにいろいろの店を並べています。 |
イチイ | 河童 | 117 | 水松 | (この国の巡査は剣の代りに水松(いちい)の棒を持つているのです。) |
ブドウ | 河童 | 132 | 山葡萄 | その又小さい部屋の隅には黒いヴエヌスの像の下に山葡萄が一ふさ献じてあるのです。 |
マツ | 河童 | 144 | 松 | その又円い天窓の外には松や檜が枝を張つた向うに大空が青あをと晴れ渡つています。 |
ヒノキ | 河童 | 144 | 檜 | その又円い天窓の外には松や檜が枝を張つた向うに大空が青あをと晴れ渡つています。 |
イチジク | 河童 | 149 | 無花果 | 路ばたに枯れた無花果と一しよに 基督ももう死んだらしい。 |
ヤシ | 河童 | 149 | 椰子 | ――椰子の花や竹の中に 仏陀はとうに眠つている。 |
フジ | 開化の殺人 | 75 | 藤下 | 頭上の紫藤(しとう)は春日の光りを揺りて垂れ、藤下の明子は凝然(ぎようぜん)として彫塑(てうそ)の如く佇めり。 |
バラ | 開化の殺人 | 82 | 薔薇の花 | 薔薇の花あり。而して又かの丸薬の箱あり。 |
マツ | 開化の良人 | 107 | 松の立木 | それから洋館の空に枝をのばしている、広重ひろしげめいた松の立木――そこには取材と手法とに共通した、 |
マツ | 開化の良人 | 111 | 松の盆栽 | それからその上に載っている父親の遺愛の松の盆栽 |
バラ | 開化の良人 | 116 | 薔薇の花束 | 何でも束髪(そくはつ)に結った勝美婦人かつみふじんが毛金(けきん)の繍(ぬいとり)のある黒の模様で、薔薇の花束を手にしながら、 |
バラ | 開化の良人 | 119 | 薔薇 | それが薔薇かと思われる花を束髪にさして、地味な色の半襟の上に、 |
サクラ | 開化の良人 | 121 | 桜の釣枝 | それほど私は賑な下座(げざ)の囃(はやし)と桜の釣枝との世界にいながら、 |
バラ | 開化の良人 | 126 | 薔薇の花 | 或いは又束髪に薔薇の花をさした勝美夫人だったでしょうか。 |
シイ | 開化の良人 | 130 | 椎の樹 | 空はまるで黒幕でも垂らしたように、椎の樹松浦の屋敷の上へ陰々と蔽いかかった儘、 |
イチョウ | 戯作三昧 | 25 | 丸額の大銀杏 | 上がり場で手拭をしぼっているちょん髷本多、文身の背中を流させている丸額の大銀杏、 |
カキ | 戯作三昧 | 27 | 柿の実 | そこにはまた赤い柿の実が、瓦屋根の一角を下に見ながら、疎らに透いた枝を綴っている。 |
イチョウ | 戯作三昧 | 28 | 細銀杏 | 見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、止め桶を前に控えながら、 |
イチョウ | 戯作三昧 | 29 | 細銀杏 | 細銀杏は肩の手拭を桶の中へ入れながら、一調子張り上げて弁じ出した。 |
イチョウ | 戯作三昧 | 30 | 小銀杏 | 眇(すがめ)の小銀杏が、振り返って平吉と馬琴とを見比べると、 |
イチョウ | 戯作三昧 | 35 | 小銀杏 | どうもさっき側にいた眇(すがめ)の小銀杏ででもあるらしい。 |
カキ | 戯作三昧 | 37 | 日を浴びた柿 | 外には、湯気の間に窓の青空が見え、その青空には暖かく日を浴びた柿が見える。 |
イチョウ | 戯作三昧 | 37 | 小銀杏の声 | そうして、癇高かい小銀杏の声を聞き流しながら、柘榴口を外へ勢いよくまたいで出た。 |
イチョウ | 戯作三昧 | 37 | 小銀杏 | 今、この風呂で、この小銀杏の悪口を聞くようになったのも、 |
ツゲ | 戯作三昧 | 38 | 本黄楊 | だから「諸国銘葉」の柿色の暖簾のれん、「本黄楊」の黄いろい櫛形の招牌(かんばん)、 |
キリ | 戯作三昧 | 41 | 桐の色 | 五十に余る本箱が、ただ古びた桐の色を、一面に寂しく並べている。 |
カエデ | 戯作三昧 | 41 | 紅楓黄菊 | 彼の書斎には石刷を貼った屏風と床にかけた紅楓黄菊の双幅とのほかに、 |
マキ | 戯作三昧 | 49 | 槇 | 葉の裂けた芭蕉や、坊主になりかかった梧桐が、槇や竹の緑といっしょになって、 |
アオギリ | 戯作三昧 | 49 | 梧桐 | 葉の裂けた芭蕉や、坊主になりかかった梧桐が、槇や竹の緑といっしょになって、 |
もくせい | 戯作三昧 | 52 | 木犀の匂い | が、日は無心に木犀の匂いを融かしている。 |
アオギリ | 戯作三昧 | 52 | 梧桐 | 芭蕉や梧桐も、ひっそりとして葉を動かさない。 |
クリ | 戯作三昧 | 64 | 栗梅の | 栗梅の小さな紋附を着た太郎は、突然こう言い出した。 |
ウメ | 戯作三昧 | 64 | 栗梅の | 栗梅の小さな紋附を着た太郎は、突然こう言い出した。 |
ヤブコウジ | 玄鶴山房 | 34 | 藪柑子の実 | 玄関の前に敷いた枯れ松葉に藪柑子(やぶこうじ)の実が赤らんだり、 |
シュロ | 玄鶴山房 | 45 | 棕櫚の葉 | 丁度雪の残った棕櫚の葉の上には鶺鴒(せきれい)が一羽尾を振っていた。 |
カキ | 玄鶴山房 | 47 | 柿 | 喧嘩は唯豚の尻っ尾は柿の蔕(へた)に似ているとか似ていないとか云うことから始まっていた。 |
クワ | 玄鶴山房 | 52 | 桑ボヤ | 殊に石を置いた板葺き屋根や蚕臭い桑ボヤを思い出した。 |
サクラ | 玄鶴山房 | 53 | 桜の二十 | 彼は或夜の夢の中にはまだ新しい花札の「桜の二十」と話していた。 |
サクラ | 玄鶴山房 | 53 | 桜の二十 | しかもその又「桜の二十」は四五年前のお芳の顔をしていた。) |
ポプラ | 玄鶴山房 | 57 | ポプラア | しかし彼等を乗せた馬車はその時にはもう傾きながら、ポプラアの枯れた道を走っていた。 |
ヤナギ | 枯野抄 | 90 | 葉をふるつた柳の梢を | 幸、葉をふるつた柳の梢を、煙らせる程の雨もなく、やがて曇りながらもうす明い、 |
ボダイジュ | 枯野抄 | 91 | 菩提樹の珠数 | 法師じみた丈艸が、手くびに菩提樹の珠数をかけて、端然と控へていたが、 |
ボダイジュ | 枯野抄 | 98 | 菩提樹の念珠 | その惻々として悲しい声の中に、菩提樹の念珠を手頸にかけた丈艸は、 |
ナシ | 枯野抄 | 101 | 梨の実 | 忘れもしない初時雨の日に、自ら好んだ梨の実さえ、 |
ボダイジュ | 枯野抄 | 102 | 菩提樹の念珠 | 彼はこの恍惚たる悲しい喜びの中に、菩提樹の念珠をつまぐりながら、 |
サクラ | 好色 | 156 | 桜 | 何時でも咲き匂った桜の枝が |
サクラ | 好色 | 157 | 桜 | 平中の眼は桜にあっても |
サクラ | 好色 | 157 | 桜 | 近近と軒に迫った桜は |
サクラ | 好色 | 157 | 桜 | 平中の心は桜にない |
マツ | 好色 | 157 | 女まつ | 女松を描いた障子であろうか? |
サクラ | 好色 | 157 | 桜 | 漫然と桜を眺めている |
ウメ | 好色 | 158 | 紅梅 | 紅梅や萌黄を重ねた上に |
モモ | 好色 | 160 | 桃園 | 桃園の狐は大池に化け |
スギ | 好色 | 160 | 杉 | 杉の木に化ける |
サクラ | 好色 | 162 | 桜 | 茫然と桜の梢を見上げた |
ヒノキ | 好色 | 164 | 檜皮葺 | 檜皮葺の屋根をどよませている |
マツ | 好色 | 172 | 松 | 緑を抽いた松が |
チョウジ | 好色 | 174 | 丁子 | 丁子の匂が鼻を打った |
キャラ2 | 好色 | 175 | 沈(伽羅) | 飛び切りの沈(じん)の匀である |
タチバナ | 好色 | 175 | 橘 | 忽ち橘の花よりも涼しい |
ナツメ | 歯車 | 190 | 棗 | 彼は棗(なつめ)のようにまるまると肥った、短い顋髯(あごひげ)の持ち主だった。 |
マツ | 歯車 | 190 | 松 | 自動車の走る道の両がわは大抵松ばかり茂っていた。 |
リンゴ | 歯車 | 192 | 林檎 | 林檎を皮ごと噛じっていたり、キャラメルの紙を剥むいていることを除けば。 |
ジンチョウゲ | 歯車 | 200 | 沈丁花 | 雪は莟(つぼみ)を持った沈丁花の下に都会の煤煙によごれていた。 |
リンゴ | 歯車 | 206 | 林檎 | 僕は愈(いよいよ)不快になり、硝子戸の向うのテエブルの上に林檎やバナナを盛ったのを見たまま、もう一度往来へ出ることにした。 |
バラ | 歯車 | 212 | 薔薇色 | 僕はこのカッフェの薔薇色の壁に何か平和に近いものを感じ、一番奥のテエブルの前にやっと楽々と腰をおろした。 |
マホガニイ | 歯車 | 212 | マホガニイまがい | 就中(なかんずく)僕を不快にしたのはマホガニイまがいの椅子やテエブルの少しもあたりの薔薇色の壁と調和を保っていないことだった。 |
バラ | 歯車 | 212 | 薔薇色 | 就中(なかんずく)僕を不快にしたのはマホガニイまがいの椅子やテエブルの少しもあたりの薔薇色の壁と調和を保っていないことだった。 |
バラ | 歯車 | 217 | 薔薇の花 | れらの紙屑は光の加減か、いずれも薔薇の花にそっくりだった。 |
リンゴ | 歯車 | 224 | 林檎 | のみならず彼の勧めた林檎はいつか黄ばんだ皮の上へ一角獣の姿を現していた。 |
マツ | 歯車 | 233 | 松 | すると低い松の生えた向うに、――恐らくは古い街道に葬式が一列通るのをみつけた。 |
マツ | 歯車 | 234 | 松の梢 | そこへ松の梢こずえから雀が何羽も舞い下さがって来た。 |
マツ | 歯車 | 236 | 松の梢 | 僕は思わず空を見上げ、松の梢に触れないばかりに舞い上った飛行機を発見した。 |
マツ | 歯車 | 237 | 松 | この小みちの右側にはやはり高い松の中に二階のある木造の西洋家屋が一軒白じらと立っている筈だった。 |
ウメ | 邪宗門 | 86 | 紅梅 | 御庭の紅梅が時ならず |
ウメ | 邪宗門 | 93 | 梅見の宴 | 現に内裡の梅見の宴からの |
ヤナギ | 邪宗門 | 95 | 柳 | 「青柳の」と、初めの句を申しました |
ナシ | 邪宗門 | 97 | 梨 | 御屋形の梨の花の下で |
ヤナギザクラ | 邪宗門 | 98 | 柳桜 | 柳桜をまぜて召して |
フジ | 邪宗門 | 99 | 藤 | 折からの藤の枝か何かにつけたまま |
フジ | 邪宗門 | 100 | 藤 | 藤の枝に御文を |
サクラ | 邪宗門 | 104 | 桜 | 桜の葉を頭から浴びて |
サクラ | 邪宗門 | 110 | 桜 | 桜の花も流れようと |
タチバナ | 邪宗門 | 111 | 花橘 | もう花橘の匂と時鳥(ほととぎす)の声とが雨もよいの空を想わせる、 |
カキ | 邪宗門 | 119 | 柿 | 空に柿若葉の匂のする |
タチバナ | 邪宗門 | 119 | 花橘 | 若殿様の御文をつけた花橘の枝を肩にして |
シイ | 邪宗門 | 120 | 椎 | 椎の青葉の影を浴びて、あの女菩薩の旗竿を斜に肩へあてながら、 |
タチバナ | 邪宗門 | 121 | 花橘 | やはり花橘の枝を肩にして、側目もふらず悄々と歩いて参ったのでございます。 |
クワ | 邪宗門 | 122 | 桑 | 今も爺の申した通り、この狭い洛中でさえ、桑海の変は度々あった。 |
フジ | 邪宗門 | 122 | 藤 | 藤の匂がかすかに漂って |
カキ | 邪宗門 | 127 | 柿 | 五条あたりの柿の梢に |
タチバナ | 邪宗門 | 129 | 橘 | 文をつけた橘の枝を力なくかつぎながらもの思わしげにたどたどと屋形の方へ歩いて参った。」 |
ヤナギ | 邪宗門 | 132 | 柳 | 柳の五つ衣を着た姫君の姿が |
ウメ | 邪宗門 | 135 | 梅の青葉 | 植込みの梅の青葉の間からは |
ウメ | 邪宗門 | 136 | 梅 | 梅の青葉の影が |
センダン | 邪宗門 | 147 | せんだん | 栴檀沈水の香などが |
マツ | 秋 | 158 | 松 | 松は初冬の空の下に、簇々(そうそう と蒼黒く茂つていた。 |
カナメモチ | 秋 | 159 | 要(かなめ)もちの垣 | のき打ちの門、要(かなめ)もちの垣、それから竿に干した洗濯物 |
シタン | 秋 | 160 | 紫檀の机 | 殊に午後の日の当つた障子際の、小さな紫檀の机のまはりには、 |
ヒノキ | 秋 | 163 | 檜の梢 | 月は庭の隅にある、痩せがれた檜の梢にあった。 |
ヒノキ | 秋 | 163 | 檜の下に | 従兄はその檜の下に立って、うす明い夜空を眺めていた。 |
ヒノキ | 秋 | 163 | 檜 | 鶏小屋は丁度檜とは反対の庭の隅にあった。 |
ヨウジュ | 俊寛 | 181 | 榕樹 | 梢から垂れた榕樹の枝に |
ヒノキ | 俊寛 | 181 | 檜皮葺 | 檜皮葺きではないぞ |
ヨウジュ | 俊寛 | 183 | 榕樹 | これは丁度榕樹の陰に |
アカギ | 俊寛 | 185 | あかぎ | 琉球赤城とかの細工だそうです |
ツバキ | 俊寛 | 185 | 椿 | 椿の油を燃やした光も、さすがにそこまでは届きません。 |
ヨウジュ | 俊寛 | 185 | 榕樹 | 御主人は榕樹の陰に |
アオギリ | 俊寛 | 186 | 梧桐 | 臭梧桐と云うものじゃぞ |
ボダイジュ | 俊寛 | 186 | 畢波羅樹 Pippala | 畢波羅樹(ひつぱら)下に坐っていられたら |
マツ | 俊寛 | 195 | 松 | 姿の好い松が沢山あったが |
ヨウジュ | 俊寛 | 196 | 榕樹 | さっき榕樹の梢に |
ツバキ | 俊寛 | 198 | つばきの葉 | その椿の葉には二枚とも、虫の食った跡あとが残っている。 |
ツバキ | 俊寛 | 198 | つばきの葉 | 椿の葉を何枚も拾って来てやった。。その葉の虫食いを続けて読めば、帰雁二どころの騒ぎではない。 |
ツバキ | 俊寛 | 198 | つばきの葉 | 山風が木々を煽った拍子に、椿の葉が二枚こぼれて来た。 |
サクラ | 俊寛 | 199 | 桜 | この島には桜も咲かないと云う |
ツバキ | 俊寛 | 199 | 椿 | たとえば谷間の椿を見ると、この島には桜も咲かないと云う。 |
ヤナギ | 俊寛 | 207 | 柳 | みどりの糸・・・啼く この歌の話は十訓抄第四「花園大臣家の侍の青柳の歌十四」に出ている |
キリ | 雛 | 206 | 総桐の箱 | 一番人目につき易いのは都合三十幾つかの総桐の箱でございます。 |
タチバナ | 雛 | 208 | 右近の橘 | 内裏雛(だいりびな)、五人囃(ばや)し、左近の桜、右近の橘、雪洞(ぼんぼり)、屏風、蒔絵の道具、 |
サクラ | 雛 | 208 | 左近の桜 | 内裏雛(だいりびな)、五人囃(ばや)し、左近の桜、右近の橘、雪洞(ぼんぼり)、屏風、蒔絵の道具、 |
キリ | 雛 | 211 | 総桐の箱 | いえ、一時わたしを始め、誰もあの壁側はに積んだ三十ばかりの総桐の箱には眼もやらなかったのでございます。 |
キリ | 雛 | 211 | 総桐の雛の箱 | 例の総桐の雛の箱が積み上げてあるのでございます。 |
ボタン | 雛 | 217 | 牡丹 | 牡丹に唐獅子の画を描いた当時の人力車を引張りながら、 |
マツ | 仙人 | 99 | 松 | 庭の松ばかり眺めていました。 |
マツ | 仙人 | 102 | 松 | しかし権助はその言葉を聞くとすぐに庭の松に登りました |
マツ | 仙人 | 102 | 松 | 「それではあの庭の松に御登り。」 |
マツ | 仙人 | 103 | 松 | 松の太枝をおさえながら、そろそろ右の手を放しました。 |
マツ | 仙人 | 103 | 松 | 松の梢から離れました。 |
マツ | 仙人 | 103 | 松 | もうその大きな庭の松でも、 |
マツ | 仙人 | 103 | 松 | 松の上の権助を見上げました。 |
マツ | 仙人 | 104 | 松 | この松の雪景色を眺める為に、四抱えにも余る大木をわざわざ庭へ引かせたそうです。 |
マツ | 仙人 | 104 | 松 | ただその医者の庭の松は |
ハン | 大導寺信輔の半生 | 8 | 榛の木馬場 | 回向院を、駒止橋ばしを、横網を、割り下水を、榛の木馬場を、お竹倉の大溝を愛した。 |
ヤナギ | 大導寺信輔の半生 | 9 | 割り下水の柳 | 三十年前の本所は割り下水の柳を、回向院の広場を、お竹倉の雑木林を、 |
イチョウ | 大導寺信輔の半生 | 12 | 大銀杏 | この恐怖や逡巡は回向院の大銀杏へ登る時にも、彼等の一人と喧嘩をする時にもやはり彼を襲来した。 |
イチョウ | 大導寺信輔の半生 | 12 | 大銀杏 | 或時は回向院の大銀杏(おおいちょう)へ梯子もかけずに登ることだった。 |
アンズ | 大導寺信輔の半生 | 13 | 杏の枝 | 花を盛った杏の枝の下の柵によった彼を見上げている。 |
ポプラ | 大導寺信輔の半生 | 19 | ポプラア | 丈の高いポプラアの戦そよ)ぎの中にこう言う囚徒の経験する精神的苦痛を経験した。 |
ポプラ | 大導寺信輔の半生 | 19 | ポプラア | 如何に又グラウンドのポプラアは憂欝な色に茂っていたであろう。 |
バラ | 大導寺信輔の半生 | 22 | 薔薇色 | 彼を苦しめた中学の校舎は寧ろ美しい薔薇色いろをした薄明りの中に横たわっている。 |
ポプラ | 大導寺信輔の半生 | 22 | ポプラア | 尤もグラウンドのポプラアだけは不相変欝々(あいかわらずうつうつ)と茂った梢に寂しい風の音を宿しながら。…… |
チョウジ | 地獄変 | 106 | 丁字染 | よく丁字染の狩衣に揉烏帽子(もみゑぼし)をかけておりましたが、 |
マツ | 地獄変 | 107 | 御庭の松 | やれ御庭の松に上つたの、やれ曹司の畳をよごしたのと、 |
ウメ | 地獄変 | 108 | 寒紅梅の枝 | 御文を結んだ寒紅梅の枝を持つて、長い御廊下を通りかゝりますと、 |
ウメ | 地獄変 | 108 | 梅の枝 | 片手に梅の枝をかざした儘、片手に紫匂の袿(うちぎ)の袖を軽そうにはらりと開きますと、 |
カキ | 地獄変 | 109 | 柿や栗 | しまいには若殿様でさえ、時々柿や栗を投げて御やりになつたばかりか、 |
クリ | 地獄変 | 110 | 柿や栗 | しまいには若殿様でさえ、時々柿や栗を投げて御やりになつたばかりか、 |
ウメ | 地獄変 | 113 | 梅の花 | やれ板戸の梅の花が、月の夜毎に匂つたの、 |
ウメ | 地獄変 | 135 | 梅の匂 | 確、もう梅の匂でも致しさうな、うすい月の光のさしている、暖い夜でございましたが、 |
ビンロウ | 地獄変 | 145 | 檳榔毛の車 | 御庭に引き据ゑた檳榔毛の車が、高い車蓋(やかた)にのつしりと暗(やみ)を抑えて |
サクラ | 地獄変 | 148 | 桜の唐衣 | きらびやかな繍(ぬい)のある桜の唐衣にすべらかし黒髪が艶やかに垂れて |
マツ | 庭 | 170 | 松の枝 | 瓢箪なりの池も澄んでいれば、築山の松の枝もしだれていた。 |
アンズ | 庭 | 173 | 桃や杏 | 庭には生(お)い伸びた草木の中に、乏しい桃や杏が花咲き、 |
マツ | 庭 | 173 | 松や柳の間 | 見慣れた松や柳の間に、桃だの杏だの李だの、雑色の花を盛るようになった。 |
ヤナギ | 庭 | 173 | 松や柳の間 | 見慣れた松や柳の間に、桃だの杏だの李だの、雑色の花を盛るようになった。 |
モモ | 庭 | 173 | 桃だの杏だの李だの | 見慣れた松や柳の間に、桃だの杏だの李だの、雑色の花を盛るようになった。 |
アンズ | 庭 | 173 | 桃だの杏だの李だの | 見慣れた松や柳の間に、桃だの杏だの李だの、雑色の花を盛るようになった。 |
スモモ | 庭 | 173 | 桃だの杏だの李だの | 見慣れた松や柳の間に、桃だの杏だの李だの、雑色の花を盛るようになった。 |
モモ | 庭 | 173 | 桃や杏 | 庭には生(お)い伸びた草木の中に、乏しい桃や杏が花咲き、 |
ヤナギ | 庭 | 177 | 柳 | 池の杭を造る為めに、水際の柳を伐つた事だった。 |
マツ | 庭 | 177 | 松を植えた | 松を抜いた跡へ松を植えたり、 |
マツ | 庭 | 177 | 松を抜いた | 松を抜いた跡へ松を植えたり、 |
カエデ | 庭 | 177 | 楓 | 「この楓は此処になかつらと思ふがなあ」 |
イチョウ | 杜子春 | 31 | 銀杏 | 銀杏返し |
イチョウ | 杜子春 | 33 | 銀杏 | 銀杏返し |
ミカン | 杜子春 | 34 | 蜜柑 | 暖な日の色に染まっている蜜柑 |
ミカン | 杜子春 | 34 | 蜜柑 | 蜜柑を窓から |
ミカン | 杜子春 | 34 | 蜜柑 | 鮮やかな蜜柑の色 |
ボタン | 杜子春 | 52 | ぼたん | 牡丹を庭に植えさせる |
ボタン | 杜子春 | 52 | ぼたん | 牡丹の花 |
ボタン | 杜子春 | 54 | ぼたん | 庭に咲いている牡丹の花 |
マツ | 杜子春 | 57 | 松 | 曲がりくねった一株の松が、こうこうと夜風に鳴る音だけです。 |
マツ | 杜子春 | 59 | 松 | 頭の上の松の枝が、烈しくざわざわ揺れたと思ふと、 |
マツ | 杜子春 | 59 | 松 | 夜風と共に消え失せて、後には唯、絶壁の松、さつきの通りこうこうと枝を鳴らしてゐるばかりなのです。 |
マツ | 杜子春 | 61 | 松 | 後には唯、絶壁の松、さつきの通りこうこうと枝を鳴らしてゐるばかりなのです。 |
モモ | 杜子春 | 67 | 桃 | 今頃は丁度家のまはりに、桃の花が一面に咲いているだろう |
マツ | 年末の一日 | 262 | 松や竹も | 門に立てる松や竹も田端青年団詰め所とか言う板葺きの小屋の側に寄せかけてあった。 |
いちょう | 年末の一日 | 263 | 大銀杏の葉 | 大銀杏の葉の落ち尽した墓地は不相変(あいかわらず)きょうもひっそりしていた |
かなめもち | 年末の一日 | 263 | 要冬青の生け垣 | 小みちは要冬青(かなめもち)の生け垣や赤さびのふいた鉄柵の中に大小の墓を並べていた。 |
ナンテン | 年末の一日 | 264 | 南天の束 | それは九日に手向けたらしい寒菊や南天の束の外に何か親しみの持てないものだった。 |
シキミ | 年末の一日 | 264 | 古樒を焚いて | 僕は古樒を焚いていた墓地掃除の女に途みちを教わり、 |
いちょう | 年末の一日 | 264 | 大銀杏 | 僕等はやむを得ず大銀杏を目当てにもう一度横みちへはいって行った。 |
サクラ | 白 | 112 | 桜 | 桜なども咲いて |
シュロ | 白 | 115 | 棕櫚 | 芝生ふのはずれには棕櫚の木のかげに、クリイム色に塗った犬小屋があります。 |
シュロ | 白 | 123 | 棕櫚 | ただ高い棕櫚の木の梢に白い月が一輪浮んでいるだけです。 |
シュロ | 白 | 125 | 棕櫚 | 高い棕櫚の木のかげになったクリイム色の犬小屋が、――そんなことは当然に違いありません。 |
トチ | 鼻 | 28 | 橡 | 寺内の銀杏や橡が一晩の中に葉を落したので、庭は黄金きんを敷いたように明るい。 |
イチョウ | 鼻 | 28 | 銀杏 | 寺内の銀杏や橡が |
バラ | 舞踏会 | 137 | 薔薇の花 | それから濃い髪に匂つているたつた一輪の薔薇の花 |
ざくろ | 舞踏会 | 141 | 柘榴 | 或は又柘榴と無花果との三角塔を築いたりしていた。 |
イチヂク | 舞踏会 | 141 | 無花果 | 或は又柘榴と無花果との三角塔を築いたりしていた。 |
ブドウ | 舞踏会 | 141 | 葡萄の房 | そうしてその葡萄の葉の間には、蜂の巣のような葡萄の房が、 |
ブドウ | 舞踏会 | 141 | 葡萄の葉 | そうしてその葡萄の葉の間には、蜂の巣のような葡萄の房が、 |
バラ | 舞踏会 | 142 | 薔薇 | 仄暗い森の噴水と凋(すが)れて行く薔薇との幻も、一瞬の後には名残りなく消え失せてしまはなければならなかつた。 |
ツバキ | 舞踏会 | 142 | 椿の花 | そこで黒い天鵞絨(びろうど)の胸に赤い椿の花をつけた、 |
スギ | 薮の中 | 186 | 杉の根がた | ただその側の杉の根がたに、縄が一筋落ちて居りました。 |
スギ | 薮の中 | 192 | 杉の下に | わたしは藪を押し分けながら、宝は杉の下に埋めてあると、もっともらしい嘘をつきました。 |
スギ | 薮の中 | 192 | 開いた杉むら | が、半町ほど行った処に、やや開いた杉むらがある、 |
スギ | 薮の中 | 192 | 痩杉 | 男はわたしにそう云われると、もう痩杉が透いて見える方へ、一生懸命に進んで行きます。 |
スギ | 薮の中 | 192 | 杉が並んで | その内に竹が疎らになると、何本も杉が並んでいる、 |
スギ | 薮の中 | 193 | 杉の根がた | たちまち一本の杉の根がたへ、括りつけられてしまいました。 |
スギ | 薮の中 | 193 | 杉の根に | ところがそこへ来て見ると、男は杉の根に縛られている、 |
スギ | 薮の中 | 195 | 杉むらの間を | わたしは女がどちらへ逃げたか、杉むらの間を探して見ました。 |
スギ | 薮の中 | 195 | 杉の根がたに | (杉の根がたに落ちていたのは、その時捨て忘れた縄なのです。) |
センダン | 薮の中 | 196 | 樗の梢に | どうせ一度は樗(おうち)の梢に、懸ける首と思っていますから、どうか極刑に遇(あ)わせて下さい |
スギ | 薮の中 | 197 | 杉の根がたに | 跡にはただ杉の根がたに、夫が縛られているだけです。 |
スギ | 薮の中 | 198 | 杉むら | 竹に交った杉むらの空から、西日が一すじ落ちているのです。 |
スギ | 薮の中 | 199 | 杉の根に | 体も杉の根に縛られている。が、おれはその間に、何度も妻へ目くばせをした。 |
スギ | 薮の中 | 200 | 杉の根 | たちまち顔色を失ったなり、杉の根のおれを指さした。 |
スギ | 薮の中 | 201 | 杉や竹の | ただ杉や竹の杪(うら)に、寂しい日影が漂っている。 |
スギ | 薮の中 | 201 | 杉の根 | おれはやっと杉の根から、疲れ果てた体を起した |
スギ | 薮の中 | 201 | 杉や竹も | もう杉や竹も見えない。おれは其処に倒れたまま、深い静かさに包まれている。 |
ヒノキ | 羅生門 | 12 | 檜皮色 | 檜皮色の着物を着た |
マツ | 羅生門 | 12 | 松 | 松の木片を持って |
マツ | 羅生門 | 12 | 松 | 松の木片を |
マツ | 羅生門 | 13 | 松 | 松の木片のように |
ヒノキ | 羅生門 | 16 | 檜皮色 | 檜皮色の着物をわきにかかえて |
フジ | 竜 | 158 | 松ヶ枝の藤の花 | あの松ヶ枝の藤の花さえ、ゆさりとさせるほどの風も吹かぬ。 |
ヤナギ | 竜 | 160 | 采女柳 | 采女柳の下に立って居ります。 |
ヤナギ | 竜 | 160 | 采女柳 | あの采女柳(うねめ)の前の堤へ、『三月三日この池より竜昇らんずるなり』と筆太に書いた建札を、 |
ヤナギ | 竜 | 164 | 采女柳 | あの采女柳の前にある高札を読まれたがよろしゅうござろう。 |
センダン | 竜 | 168 | 栴檀庇 | 或いは又栴檀庇だのの数寄を凝らした牛車が、 |
ヤナギ | 竜 | 170 | 桜や柳を | 堤をめぐった桜や柳を鮮にじっと映した儘、 |
サクラ | 竜 | 170 | 桜や柳を | 堤をめぐった桜や柳を鮮にじっと映した儘、 |
サクラ | 竜 | 172 | 桜の花 | 池をめぐった桜の花がまっ暗な空へ飛ぶのばかり見えたと申す事でございます― |
ウメ | 老年 | 寒梅 | うす暗い床の間には、寒梅と水仙とが古銅の瓶にしおらしく投げ入れてあった。軸は太祇(たいぎ)の筆であろう。 | |
ツバキ | 老年 | 椿 | 黄色い芭蕉布(ばしょうふ)で煤(すす)けた紙の上下(うえした)をたち切った中に、細い字で「赤き実とみてよる鳥や冬椿」とかいてある。 | |
キリ | 老年 | 桐 | 、華奢(きゃしゃ)な桐の見台(けんだい)にも、あたたかく反射しているのである。 | |
ナギ | 老年 | ナギ | 長い廊下の一方は硝子障子(ガラスしょうじ)で、庭の刀柏(なぎ)や高野槙(高野槙)につもった雪がうす青く暮れた間から、 | |
コウヤマキ | 老年 | 高野槙 | 長い廊下の一方は硝子障子(ガラスしょうじ)で、庭の刀柏(なぎ)や高野槙(高野槙)につもった雪がうす青く暮れた間から、 | |
ヤブコウジ | 老年 | やぶこうじ | 三味線の声さえ聞えず戸外(そと)も内外(うち)もしんとなった。きこえるのは、薮柑子(やぶこうじ)の紅い実をうずめる雪の音、 | |
マツ | 老年 | 松 | あかりがつく時分にはもう、庭の松に張ってある雪よけの縄(なわ)がたるむほどつもっていた。 | |
ヤツデ | 老年 | 0 | ヤツデ | 八つ手の葉をすべる雪の音が、ミシン針のひびくようにかすかな囁きをかわすばかり、 |
マツ | 六の宮の姫君 | 207 | 軒に当つた松 | 屋形の軒に当つた松は、何度も雪に枝を折られた。 |
クリ | 六の宮の姫君 | 210 | 栗の実 | 「栗の実が落ちたのでございましょう。」 |
マツ | 六の宮の姫君 | 216 | 松の匂が | あたりには唯松の匂が、夜気に漂っているだけだった。 |
ヤナギ | 楡盗 | 11 | 柳の根へ | 忌々しそうに、柳の根へ唾を吐いた。 |
ヤナギ | 楡盗 | 14 | 柳の根に | もう一度、柳の根につばを吐くと、それからおもむろに、くびすをめぐらした。 |
イチジク | 楡盗 | 14 | 無花果が青い実をつけて | 無花果が青い実をつけて、人を恐れない鴉(からす)の群れは、昼も水のない池につどっている。 |
ネム | 楡盗 | 16 | 合歓の木 | 盛りをすぎた合歓の木が二三本、こけの色の日に焼けた瓦の上に、ほほけた、赤い花をたらしている。 |
あんず | 楡盗 | 17 | 腐った杏 | 丁度腐った杏のような、どす黒い斑があって、 |
ネム | 楡盗 | 17 | 合歓を一枝立て | 合歓を一枝立てたのは、おおかた高坏へ添える色紙の、心葉(こころば)をまねたものであろう。 |
ヤナギ | 楡盗 | 21 | 松や柳 | 昔の儘(まま)、僅かに残っている松や柳 |
マツ | 楡盗 | 21 | 松や柳 | 昔の儘(まま)、僅かに残っている松や柳 |
びわ | 楡盗 | 35 | 葉をたれた枇杷 | 暗い緑の葉をたれた枇杷があって、その影がわずかながら、涼しく窓に落ちている。 |
カキ | 楡盗 | 36 | 黒柿 | その黒柿の骨を、一つずつ指で送ったり、もどしたりしながら、 |
サクラ | 楡盗 | 39 | 樺桜 | 男は、樺桜の直垂に梨打の烏帽子をかけて、 |
アカマツ | 楡盗 | 40 | 赤松の影 | 唯一本、細い幹をくねらした、赤松の影が落ちている。 |
ビワ | 楡盗 | 48 | 枇杷の木 | 枇杷の木の下を北へ、こけつまろびつして、走っていた。 |
ビワ | 楡盗 | 51 | 枇杷の木 | 枇杷の木が、葉の裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のない梢にあつめている。 |
マツ | 楡盗 | 79 | われ持たばや なよや、松山 |
われ持たばや なよや、末の松山 波も越えなむや |
ノウゼンカヅラ | 楡盗 | 94 | 凌霄花 | 始めてなま温かく、柱の間を吹いて、うす甘い凌霄花のにおいが、どこからかそっと一同の鼻を襲った。 |
ノウゼンカヅラ | 楡盗 | 95 | 凌霄花 | その間をただ、凌霄花のにおいのする風が、またしてもかすかに、通りぬけると、 |
ノウゼンカヅラ | 楡盗 | 99 | 凌霄花 | 蕭条(しょうじょう )とした藪が、かすかに梢をそよめて、凌霄花のにおいが、愈(いよいよ )濃く、甘く漂っている。 |
ノウゼンカヅラ | 楡盗 | 99 | 凌霄花 | 竹と凌霄花との茂みを、次第に奥深く舁(か)かれて行った。 |
ビワ | 楡盗 | 101 | 枇杷の木 | すぐに外へ出ますと、大方枇杷の木にでもつないでおいたのでございましょう、 |
トネリコ | 蜃気楼 | 60 | 秦皮樹 | 僕は秦皮樹(とねりこ)のステッキを挙げ、O君にちょっと合図をした。 |
マツ | 蜃気楼 | 61 | 松の間 | そのうちに僕等は松の間を、――疎らに低い松の間を通り、 |
マツ | 蜃気楼 | 63 | 松 | 砂山は砂止めの笹垣の裾にやはり低い松を黄ばませていた。 |
ポプラ | 蜃気楼 | 69 | ポプラア | それはやはりこう云う晩にポプラアの枝にかかった紙がヘルメット帽のように見えたのだった。 |
マツ | 蜃気楼 | 69 | 松 | 松は皆いつか起り出した風にこうこうと梢を鳴らしていた。 |