マツ |
松 |
あかりがつく時分にはもう、庭の松に張ってある雪よけの縄(なわ)がたるむほどつもっていた。 |
ウメ |
寒梅 |
うす暗い床の間には、寒梅と水仙とが古銅の瓶にしおらしく投げ入れてあった。軸は太祇(たいぎ)の筆であろう。 |
ツバキ |
椿 |
黄色い芭蕉布(ばしょうふ)で煤(すす)けた紙の上下(うえした)をたち切った中に、細い字で「赤き実とみてよる鳥や冬椿」とかいてある。 |
キリ |
桐 |
、華奢(きゃしゃ)な桐の見台(けんだい)にも、あたたかく反射しているのである。 |
ナギ |
ナギ |
長い廊下の一方は硝子障子(ガラスしょうじ)で、庭の刀柏(なぎ)や高野槙(高野槙)につもった雪がうす青く暮れた間から、 |
コウヤマキ |
高野槙 |
長い廊下の一方は硝子障子(ガラスしょうじ)で、庭の刀柏(なぎ)や高野槙(高野槙)につもった雪がうす青く暮れた間から、 |
ヤブコウジ |
やぶこうじ |
三味線の声さえ聞えず戸外(そと)も内外(うち)もしんとなった。きこえるのは、薮柑子(やぶこうじ)の紅い実をうずめる雪の音、 |
実 |
実 |
三味線の声さえ聞えず戸外(そと)も内外(うち)もしんとなった。きこえるのは、薮柑子(やぶこうじ)の紅い実をうずめる雪の音、 |
ヤツデ |
ヤツデ |
八つ手の葉をすべる雪の音が、ミシン針のひびくようにかすかな囁きをかわすばかり、 |