158 |
フジ |
松ヶ枝の藤の花 |
あの松ヶ枝の藤の花さえ、ゆさりとさせるほどの風も吹かぬ。 |
158 |
松ヶ枝 |
松ヶ枝の藤の花 |
あの松ヶ枝の藤の花さえ、ゆさりとさせるほどの風も吹かぬ。 |
159 |
縁 |
縁の隅へ |
鮓売の女も日が近くば、桶はその縁の隅へ置いたが好いぞ。 |
159 |
桶 |
桶 |
鮓売の女も日が近くば、桶はその縁の隅へ置いたが好いぞ。 |
160 |
ヤナギ |
采女柳 |
あの采女柳(うねめ)の前の堤へ、『三月三日この池より竜昇らんずるなり』と筆太に書いた建札を、 |
160 |
ヤナギ |
采女柳 |
采女柳の下に立って居ります。 |
160 |
建札 |
建札 |
あの采女柳(うねめ)の前の堤へ、『三月三日この池より竜昇らんずるなり』と筆太に書いた建札を、 |
160 |
建札 |
建札 |
はて法会(ほうえ )の建札にしては妙な所に立っているなと不審には思ったのでございますが |
164 |
ヤナギ |
采女柳 |
あの采女柳の前にある高札を読まれたがよろしゅうござろう。 |
164 |
建札 |
建札 |
『あの建札も誰かの悪戯であろう。』 |
164 |
高札 |
高札 |
『ははあ、そのような高札こうさつが建ちましたか。』 |
164 |
高札 |
高札 |
あの采女柳の前にある高札を読まれたがよろしゅうござろう。 |
165 |
建札 |
建札 |
あの采女柳の枝垂れたあたり、建札のある堤の下に漫々と湛(ただ)えた夜明け前の水が、、 |
165 |
采女柳 |
采女柳の枝垂れ |
あの采女柳の枝垂れたあたり、建札のある堤の下に漫々と湛(ただ)えた夜明け前の水が、、 |
165 |
枝垂れ |
采女柳の枝垂れ |
あの采女柳の枝垂れたあたり、建札のある堤の下に漫々と湛(ただ)えた夜明け前の水が、、 |
165 |
社 |
春日の御社 |
春日の御社(おやしろ)に仕えて居りますある禰宜の一人娘で、 |
166 |
建札 |
建札 |
『三月三日この池より竜昇らんずるなり』の建札が大評判になるにつけ、 |
167 |
建札 |
建札 |
あの建札へこの頃は香花(こうげ)が手向(たむ)けてあると云う噂を聞く事でもございますと、 |
167 |
建札 |
建札 |
これを見た恵印法師はまさかあの建札を立てたばかりで、 |
167 |
建札 |
建札 |
と申してあの建札は自分が悪戯に建てたのだとも、 |
168 |
センダン |
栴檀庇 |
或いは又栴檀庇だのの数寄を凝らした牛車が、 |
169 |
根 |
柱の根 |
そこでこちらも柱の根がたに坐ってばかりはおられませんので、 |
169 |
根 |
柱の根 |
その儘南大門の柱の根がたへ意気地なく蹲ってしまいました。 |
169 |
柱 |
柱の根 |
そこでこちらも柱の根がたに坐ってばかりはおられませんので、 |
169 |
柱 |
柱の根 |
その儘南大門の柱の根がたへ意気地なく蹲ってしまいました。 |
170 |
サクラ |
桜や柳を |
堤をめぐった桜や柳を鮮にじっと映した儘、 |
170 |
ヤナギ |
桜や柳を |
堤をめぐった桜や柳を鮮にじっと映した儘、 |
170 |
高札 |
高札を打った |
恵印は元よりあの高札を打った当人でございますから、 |
171 |
高札 |
高札の文句 |
あの高札の文句を書いたものは自分だと重々承知しながら、 |
171 |
線香 |
線香の煙 |
まるで線香の煙のような一すじの雲が中空(なかぞら)にたなびいたと思いますと、 |
172 |
サクラ |
桜の花 |
池をめぐった桜の花がまっ暗な空へ飛ぶのばかり見えたと申す事でございます― |
173 |
建札 |
建札 |
これで一体あの建札の悪戯は図星に中あたったのでございましょうか。そ |
173 |
建札 |
建札 |
実はあの建札は自分の悪戯だったと申す事を白状してしまいましたが、 |