
オーストリア館公式スタンプ

東ゲートから大屋根リング左へ、柱番号76・ポルトガル館を右へ
大阪・関西万博に登場したオーストリア館は、「未来を作曲(Composing the Future)」をテーマに、音楽と木造建築を融合したユニークなパビリオンです。最大の見どころは、高さ16メートル、全長91メートルの螺旋状の木製構造物。五線譜をモチーフにしたこの構造物には、ベートーヴェンの「歓喜の歌」の旋律が組み込まれており、空に向かって立ち上がるその姿は、音楽の国・オーストリアの象徴ともいえます。
木材は、オーストリアと日本が共有する「木への敬意」と「伝統的な職人技」の象徴でもあります。この螺旋彫刻は、現代の木造建築におけるオーストリアの技術力と、CO₂削減に寄与する再生可能資源としての木材の価値を、世界に発信する役割を担っています。
このパビリオンは、万博会場で唯一、PEFCプロジェクト認証を取得した建築物です。これは、建築プロジェクト全体で使用される木材がすべて持続可能な森林から供給されたことを証明する、非常に厳格な国際的認証制度です。
パビリオンの入口では、世界最古のピアノメーカーの一つであるベーゼンドルファー社のグランドピアノがお出迎え。このピアノは、1873年のウィーン万博の際に明治天皇に献上された「エンペラーモデル」のレプリカであり、日墺交流の象徴でもあります。
天板の内側には、葛飾北斎「神奈川沖浪裏」の浮世絵が印刷されており、日本とオーストリアの文化的つながりを象徴する特別仕様です。ピアノは自動演奏機能付きで、演奏に合わせてスクリーンには両国の友好の歴史や音楽文化が映し出される演出が施されています。
このピアノは、世界に16台のみという希少なモデルであり、オーストリア館の文化的価値をさらに高める存在となっています。
ベーゼンドルファー社のピアノの主材料には、アルプス産の高品質なスプルース材(トウヒ)が用いられます。響板だけでなく、リムや内側の構造にもスプルース材が使用されており(通常はメイプルや合板が一般的)、ピアノ全体が共鳴する「楽器全体が音を鳴らす構造」を実現。独特の温かく包み込むような音色が生まれます。
使用するスプルース材は、30年以上自然乾燥させたものを厳選して使用しており、これもベーゼンドルファーの音の深さを支える重要な要素です。
館内では、音楽やAIを活用した体験型展示や、未来を創造するインスタレーションを展開。螺旋階段をのぼると展望エリアやバーがあり、カフェではオーストリア名物「カイザーシュマーレン」も楽しめます。
ウィーン少年合唱団のコンサートや、伝統的な楽器による演奏なども随時開催され、音楽の都オーストリアの魅力を五感で体験することができます。