スペイン館 ― CLTで魅せる大階段の構造美
スペイン館は、訪れる者の目を引く大階段と、その裏に広がる木造構造の美しさで話題を集めています。このパビリオンの最大の特徴は、階段状に広がるスロープの床をCLT(直交集成板)で構成し、それを木の柱と壁が力強く支えている点にあります。
通常、こうした大規模な階段構造には鉄骨やコンクリートスラブが用いられますが、スペイン館ではCLTを用いた木造スラブ構造を採用。まさに「木でつくるスラブ構造」という新しい発想が実現されています。
この構造により、木材ならではの温もりと力強さを両立させた空間が生まれました。
梁や柱には最大25メートルにもなる巨大な集成材が使用されており、それらを正確に組み上げるために鉄骨とのハイブリッド工法が取り入れられています。施工は、神戸の村上工務店が担当。巨大な木材をクレーンで吊り上げる作業は慎重を極め、養生を外す瞬間には緊張が走ったと言われています。
外観中央のアーチ空間や、建物全体に流れる曲線は、「海」と「太陽」という2つの自然の力を象徴。色合いや素材の選定にもこだわり、スペインの風土と文化を建築で体現しています。
また、外壁のタイルにはサグラダ・ファミリアにも使われているメーカーのセラミックを使用。グラデーションが美しい4色のタイルが、夕陽や浜辺を彷彿とさせる情景を生み出しています。
海と太陽の国、スペインを五感で体験
テーマは「黒潮」:日本とスペインを何世紀にもわたってつないできた太平洋の海流が展示のインスピレーション。
展示エリアでは、海洋バイオや風力発電、黒潮交易の歴史などを紹介。ホログラムやアートで学びながら楽しめます。
文化体験:スペイン各地の味を楽しめるレストラン「エチョラ」では18種類のタパスコースが提供され、味覚でスペインを旅することができます。
SNS映えスポット:大階段は写真映えするとしてSNSでも話題。展示・建築・食・演出のすべてが人気の理由です。
CLTを用いた構造的挑戦と、スペイン文化の魅力を融合させたスペイン館。建築好きはもちろん、文化・食・歴史に関心のある人にも新しい発見があるパビリオンです。ぜひ現地でその木の力強さとしなやかさを体感してみてください。

大屋根リングから

エントランスの階、内部にいる所

ゆるやかな階段を上る

エントランスのCLT構造用柱

高さがあり開放的

この展示室は常時この色の照明

1階通路CLTの柱が続く

CLTを繋ぐつなぎの金属棒

このピンは何のためにあるのかわからない

屋根兼階段を横から見る

完全な木造がよくわかる

CLTの表面にプラスチック系のフローリングが付けられている

つなぎの金属棒

出口付近、レントランの順番待ちの人達

金属のささえだけでは心もとないが

パビリオンの一番奥の部分、これも木造

ひろびろとした空間を確保

つなぎ金属で連結

レストラン