「文明の森(Forest of Civilizations)」は、チェコの企業 Subfossil Oak s.r.o. による展示です。約6500年前のオークの亜化石(ボグオーク)133本を使用し、1本ずつが2025年万博の参加国に捧げられています。
この展示は、人類の文明のはじまりと自然とのつながりを象徴する、世界でも類を見ないインスタレーションです。
チェコ東部の湿地で6500年前に倒れ、泥に埋もれたオークは、酸素の少ない環境で分解を免れ、木の性質を保ったまま保存されました。
「亜化石」とは、化石化の途中段階であり、植物組織やDNAを部分的に残しています。
年輪や同位体比から当時の気候や植生が復元可能で、「6500年のタイムカプセル」とも言える貴重な資料です。
ピラミッドや農耕文明が誕生した時代と同時期に生きた木々であり、人類文明の誕生を見守ってきた存在です。
漆黒の木目は彫刻や工芸素材としても人気があり、「木のダイヤモンド」と称されることもあります。
高い希少性から、数cmの木材に数百万円の価値が付き、展示全体では約73億円と評価されています。
高さ4m、直径1m級のオーク亜化石133本、総重量200トン。これだけの規模は世界初で、来場者が直接触れることも可能です。
ドバイ万博では十数本でしたが、今回はその10倍。ギネス世界記録にも申請予定です。
安全上の理由から一時立ち入りが制限されていましたが、2025年7月時点で再開。
内部では静謐な時間が流れ、亜化石の間にクモの巣ができるほど、生命の痕跡も見られます。
スタンプラリーやミニ展示も追加され、さらに充実した体験が可能になりました。
「文明の森」は、映像や仮想展示が主流の中で、「本物」に触れることのできる唯一無二の展示です。
火星の石、iPS心臓、イタリア館と並び、必見の展示といえるでしょう。
万博を訪れた際はぜひ立ち寄り、6500年前の森に思いをはせてみてください。