ところで、屋上や外部の木材において、なぜマレーシア産の最強材とも言える「ウリン」ではなく、セランガンバツが採用されたのでしょうか。セランガンバツは耐久性に優れ、ヒノキよりも強いとされますが、ウリンには及びません。ウリンはマレーシアが誇る高耐久材ですが、近年は産出量の減少により価格が高騰しており、万博のような6か月間の仮設建築に用いるには、コスト面で不合理と判断されたのでしょう。
なお、「セランガンバツ」という名称はマレー語に由来し、selangan は「間隔」「中間」、batu(バトゥー)は「石」を意味します。つまり「石のように硬い中間材」といった意味合いが考えられます。ただし、商業名としてのセランガンバツは複数種の樹種を含む総称であり、中には耐久性の低いものも含まれるため、利用にあたっては注意が必要です。事実セランガンバツ利用のウッドデッキが3-4年で腐った事例を何度か見ました。
また、入口のウッドデッキについても一言添えます。施工を見る限り、当社の基準から見ても合理的に作られており、コストを抑える工夫が感じられます。たとえば、外周の幕板が省略され、板材の接合位置も一列で揃えられていました。施工効率を考えれば理解できますが、デザイン性の面ではやや残念に感じる部分もありました。
追記 同館を見ているときに私の両足が同時にツッ(コムラカエリ)てしまい、屋上にも行けず、そのまま退館してしまいました。館のスタッフの方は親切に対応してくださいました。再度訪ね屋上のウッドデッキも撮影します。またウリンはマレー語で kayu besi(カユベシ)と呼ばれています。意味は「鉄の木」です。鉄の木と石の木ですから、どちらも強い、耐久性ある木ですが、順位がはっきりしていますね。
追記の追記 再度6月16日、2度目のマレーシア館を訪問、前回よりも長い待ち時間でした。一般の来館者は屋上には上がらずに退館しますので、屋上への通路は戸惑います。屋上はアテンダントに訪ねないと行けません。エレベーターか、長いスローブ階段を歩いて行くこともできます。