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中川木材産業は2025万博の会場整備参加サプライヤーですcExpo 2025

サテライトスタジオ東

「困った木」が支える、物語を宿す建築

大阪・関西万博の大屋根リング内には、地元テレビ局が放送・中継を行うための「サテライトスタジオ」が東西にそれぞれ1棟ずつ設けられています。東側のスタジオには、毎日放送・読売テレビ放送・NHKの3局が入居し、エンパワーリングゾーンの東ゲート側、ウォータープラザ沿いに位置しています。

このサテライトスタジオ東は、ナノメートルアーキテクチャー(野中あつみ+三谷裕樹)による設計で、木造平屋建て、延床面積252.30㎡の施設です。大きな円盤状の屋根を支えるのは、日本全国から集められた個性豊かな「困った木」たち。曲がりや節、虫食いや苔、あるいは土やフジツボまでついた、通常の建材としては使われにくい木材が、あえて主役として選ばれました。

このプロジェクトでは、1年近くかけてこうした木材を集め、1本1本を縦に積層し、屋根を支える柱としました。それは、木材を「合理性」や「規格」からではなく、「物語性」や「背景」によって選び、建築を構成するという、従来とは真逆のアプローチでもあります。

また、外壁の一部には、稲わらを「苫編み」という伝統技法で編み込んだ素材を採用。一般的な外壁材が耐久性を前提とするのに対し、苫は1年ごとに張り替える前提の、儚くも循環する素材です。半年という会期の中でしか成立しないこの選択は、建築における時間と寿命、素材のサイクルを見つめ直す契機となっています。

こうした設計思想の根底には、建築素材の取得プロセスを通して、社会・環境・産業のさまざまな課題に気づくきっかけをつくりたいという想いがあります。誰もが関われる素朴な素材を起点に、新しい木造建築の形「積み柱工法」に挑戦しながら、建築と社会との接点を再発見する──それがサテライトスタジオ東の目指す姿です。

建物自体はテレビ放送のため、内部は関係者以外立ち入ることはできませんが、外からでも自由に見学可能です。積まれた木々の柱を巡るように散策しながら、それぞれの木が背負ってきた背景や物語を感じ取ることができるでしょう。

「困った木」がつむぐストーリーに耳を傾けるとき、私たちが見過ごしてきた未来へのヒントが、そっと語りかけてくれるかもしれません。

2025万博サテライトスタジオ西
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2025万博サテライトスタジオ東
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■ Story 01 高度経済成長木(要約) 1955~1973年の高度経済成長期に建てられた団地には多くの木が植えられました。50年経ち団地の建て替えで伐採される木々を、住民の想いを引き継ぐ形で取得しました。団地と共に生きた木の行方を考えるきっかけとなります。
2025万博サテライトスタジオ東
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■ Story 02 戦後を支えようとした木(要約) 戦後の復興で全国的にスギやヒノキの植林が進みましたが、急斜面など伐採困難な場所にも植えられ、多くが放置されました。三重県の工務店から取得した木もその一例で、手入れできない悪循環は全国共通の課題です。
2025万博サテライトスタジオ東
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■ Story 03 海に投げ入れられた木(要約) 愛知県の製材所で水中乾燥の重しとして使われた木の中には、役割を終えた後に処分されるものも。今回はそのように海に投げ入れられただけの木を取得し、今後の活用法を考える必要性を感じました。
2025万博サテライトスタジオ東
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■ Story 04 小さな御柱だった木(要約) 諏訪大社の御柱祭では大木が用いられますが、小さな神社では小型の御柱を使う風習があります。引き取り手のないこれらの木の一部を、古材再利用を行う団体が保管し、今回取得しました。大きさで価値が左右される現実を考えさせられます。
2025万博サテライトスタジオ東
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■ Story 05 大屋根リングの一部だった木(要約) 大阪・関西万博の「大屋根リング」は伝統工法で建てられ、組み上げ時に不要となったくり抜き材があります。今回はその未使用部分を取得し、持続可能な資源活用の象徴としました。
2025万博サテライトスタジオ東
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■ Story 06 大学からやってきた木(要約) 東京・町田の玉川学園では、植林や間伐を通じて自然との共生を実践しています。今回取得したのは、労作活動で間伐されたヒマラヤスギと、校舎建設に伴い伐採されたカナリーヤシです。教育と自然保護の実践例です。
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■ Story 07 電線に引っかかりそうな木(要約) 名古屋鉄道所有の森林で、倒木が電線にかかったことをきっかけに間伐が行われました。今回はその伐採木の一部を取得。事故防止と森林管理の必要性が浮き彫りになります。
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■ Story 08 綺麗なのにいらない木(要約) 木材コーディネーターが提供したのは、突板製造時に残る芯材。家具製作では活用しづらい部分ですが、まだ使い道があります。無駄にせず活かす取り組みが、持続可能性へのヒントになります。
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■ Story 09 船と共に過ごした木(要約) 神戸の造船所で、船を支える盤木として使われた木を取得。油を吸って黒く変色しています。役目を終えた道具としての木にも価値があり、資源の活用と情報共有の重要性を示しています。
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■ Story 10 道路に場所を譲った木(要約) 神戸の街路樹が、道路整備のため伐採されました。街路樹は都市環境に重要ですが、災害や老朽化で撤去されることも。今後は、植えた後の管理や長期的視点が求められます。
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■ Story 11 大事にされて生長しすぎた木(要約) 熱田神宮で大切に育てられていたクスノキが道路にはみ出したため剪定されました。通常は自然に還されますが、今回はプロジェクトに賛同いただき、一部を取得しました。
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■ Story 12 建物が避け切れなくなった木(要約) 熱田神宮の建物そばにあったマツは、生長により建物の軒を削って残されていましたが、損壊の恐れから剪定され、その一部を取得。木の適切な管理の重要性が感じられます。
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■ Story 13 突板になれなかった木(要約) 名古屋の銘木メーカーで突板を製造する際に、芯材として残った部分を取得。高級木材でも必ず端材は出るため、活用の工夫が期待されています。
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■ Story 14 子どもたちを見届けてきた木(要約) 福岡の保育園の園庭そばにあったサクラは、園長の想いとともに子どもたちを見守ってきた存在。その一部を取得し、木の大切さを改めて感じさせられました。
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■ Story 15 松脂の採取によって弱った木(要約) 旧陸軍が松脂を採取した痕跡が残る愛知の公園のクロマツ。戦中の資源不足の記録として、弱った木の一部を取得しました。今も戦争の影響を伝えています。
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■ Story 16 河川の安全のために切られた木(要約) 愛知県での河川整備に伴い伐採された支障木の一部を取得。薪やDIYなど住民に無償提供され、木の循環活用が地域で広がっています。
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■ Story 17 商品になれなかった木(要約) 兵庫の木材加工会社で中ぐり加工の試験中に失敗し、製品にならなかった木を取得。使われなくても、新技術の発展を支える存在です。

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