タイ王国
Kingdom of Thailand

タイ館公式スタンプ

東ゲート付近、柱番号54付近
タイ館「ヴィマン・タイ」は、「大きな幸福のため、いのちをつなぐタイ」をテーマに、医療と文化を融合させた癒やしの空間として設計されています。館のデザインはArchitects 49とRightmanが担当し、日本側では徳岡設計が監理を担いました。建物は鉄骨造の二階建てで、短期利用に対応するために解体性やコスト効率を重視しつつ、伝統的な曲線を持つ大屋根と鏡面パネルを組み合わせ、寺院を思わせる外観を実現しています。遠目には半分の建物のように見える構成も、鏡に映る虚像を利用した意匠で、過去・現在・未来を象徴する造形となっています。
館のシンボルとして配置された象のオブジェは繁栄と長寿を表し、建築素材の「木」は知恵と資源活用の象徴として位置付けられています。実際の構造や仕上げには天然木を全面的に使うのではなく、壁面や天井には節や木目が強調された木質調パネルが貼られ、床も均一なフローリング仕上げとなっており、木の温かみを演出しながらも耐久性や防火性に配慮した化粧材や複合材が中心と考えられます。多くの外装材や床材はタイから調達されたとされていますが、伝統的なチーク材の使用は確認できず、ゴムの木(ラバーウッド)のようにタイで大量に供給される木材や、それを加工した突板や集成材、さらに不燃化処理を施した木目化粧板が用いられている可能性が高いと見られます。内装では天然木の彫刻を思わせる仕上げもありますが、実際は木風の意匠材に置き換えられており、解体後の再利用や建築基準に適合する形で調整されています。
展示内容は「免疫」をキーワードに、医療や公衆衛生、食文化や伝統療法を紹介する構成です。アロマや香辛料の香りに包まれた館内では、タイ料理の調理を疑似体験できるインタラクティブ展示や、カオマンガイやトムカーガイといった実際の料理の提供もあり、タイ式マッサージの体験もできます。屋外ステージではムエタイや舞踊のパフォーマンスが時間ごとに行われ、訪れる人々を楽しませています。
総じてタイ館は、木材を単なる素材ではなく「文化的資源の象徴」として扱い、建築・展示の両面でタイの知恵と健康文化を示す場となっています。木の利用はチークなど伝統的高級材の実材使用は抑えつつも、ラバーウッドや木目化粧材を駆使して、木の温もりと持続可能性を意識した仕上げがなされているのが特徴です。
タイ館 プロモーション動画
「出典:Ireland at Expo 2025 (YouTube 限定公開動画)」