58 |
リンゴ |
真紅の苹果 |
黄金色の稲田と真紅の苹果に四年連続の豊作を迎えようとしています、 |
150 |
クリ |
栗のように |
顔は栗のように下ぶくれで蒼黒く、針のように細い眼が、いやらしく光って笑い、歯は真白である。 |
150 |
バラ |
薔薇の花 |
いまは、庭の、薔薇の花を見て居る。 |
150 |
バラ |
この薔薇 |
この薔薇は、私が、瞞されて買ったのである。 |
150 |
バラ |
薔薇を |
薔薇を、な、これだけ植えて育てていたのですけんど、 |
151 |
バラ |
薔薇を |
薔薇をこれだけ、ちょっと植えさせて下さいましい、 |
151 |
フジ |
藤色 |
藤色の伊達巻をきちんと締め、 |
152 |
バラ |
薔薇を |
それは、御苦労さまでした。薔薇を拝見しましょうね。 |
152 |
バラ |
薔薇は |
薔薇は、菰に包まれて、すべて一尺二、三寸の背丈で、八本あった。 |
152 |
縁側 |
縁側に出た |
無理な微笑さえ浮べて縁側に出たのである。 |
152 |
蕾 |
蕾さえ |
蕾さえ無いのである。 |
153 |
バラ |
薔薇が |
薔薇が、可哀そうだから、お願いするのですもの。 |
154 |
バラ |
薔薇を |
この人に、お金をやってくれ。薔薇を買ったんだ。 |
154 |
バラ |
八本の薔薇 |
贋百姓は落ちついて八本の薔薇を植え |
154 |
バラ |
薔薇は |
いいじゃないの。薔薇は、ちゃんと残っているのだし。 |
154 |
バラ |
薔薇は |
薔薇は、残って在る。 |
154 |
バラ |
薔薇に夢中に |
私は、この薔薇に夢中になった。 |
154 |
添木 |
添木 |
萱で添木を作ってやった。 |
155 |
バラ |
薔薇にも |
どの薔薇にも、うようよついていたのを、一匹残さず除去してやった。 |
155 |
バラ |
薇は、 |
薔薇は、どうやら枯れずに育った。 |
155 |
縁側 |
縁側に立って垣根の |
みれんがましく、縁側に立って垣根の向うの畑地を眺める。 |
155 |
見窄らしい薔薇 |
見窄らしい薔薇 |
今は、この見窄らしい薔薇が、どんな花をひらくか、それだけに、すべての希望をつながなければならぬ。 |
155 |
枯れた葉 |
枯れた葉 |
枯れた葉を一枚一枚むしりとってやった。 |
155 |
根 |
根を |
枯れるな、枯れるな、根を、おろせ。 |
155 |
枝 |
枝を |
枝を剪んでやった |
155 |
葉 |
葉 |
畑には、芋の葉が秋風に吹かれて一斉にゆさゆさ頭を振って騒いでいるだけで、 |
156 |
リンゴ |
真紅な苹果 |
さいわいに黄金色の稲田と真紅な苹果(りんご)に四年連続の豊作を迎えようとしています。 |
159 |
リンゴ |
苹果の頬 |
黄金の波、苹果の頬。 |
163 |
行李 |
行李りの底に |
家内は、ものものしく油紙に包んで行李りの底に蔵している |
172 |
非キーワード |
悲しみ |
私は自分を、幸福な男だと思った。悲しみは、金を出しても買え、という言葉が在る。青空は牢屋の窓から見た時に最も美しい、とか。 |
174 |
バラ |
八本の薔薇 |
友人は、私の庭の八本の薔薇に眼をつけ、意外の事実を知らせてくれた。 |
174 |
バラ |
か優秀の薔薇 |
これは、なかなか優秀の薔薇だ、と言うのだ。 |
174 |
バラ |
薔薇に就いて |
友人は、薔薇に就いては苦労して来たひとである。 |
174 |
バラ |
薔薇を植えて |
大久保の自宅の、狭い庭に、四、五十本の薔薇を植えている。 |
174 |
バラ |
薔薇のむだな |
薔薇のむだな枝を、熱心にぱちんぱちんと剪み取ってくれている。 |
174 |
バラ |
薔薇の生きて在る限 |
この薔薇の生きて在る限り、私は心の王者だと、一瞬思った。 |
174 |
縁側 |
は縁側に腰かけ |
私は縁側に腰かけ、煙草を吸って、ひとかたならず満足であった。 |
174 |
枝 |
薔薇のむだな枝 |
薔薇のむだな枝を、熱心にぱちんぱちんと剪み取ってくれている。 |
1550 |
垣根の |
縁側に立って垣根の |
みれんがましく、縁側に立って垣根の向うの畑地を眺める。 |