ページ | 元樹種 | 掲載樹種 | 掲載言葉 |
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10 | 箸 | お箸 | おむすびをお皿に載せて、それにお箸を突込み、ぐしゃぐしゃにこわして、 |
10 | 箸 | 箸 | それから、その一かけらをお箸でつまみ上げ、 |
10 | 箸 | お箸 | お母さまがスウプを召し上る時のスプウンみたいに、お箸をお口と直角にして、 |
13 | 棒 | 棒 | やさしいものだわ。直治なんて、棒でたたいたって、死にやしない」 |
14 | 垣 | 垣 | お庭の垣の竹藪から、蛇の卵を十ばかり見つけて来たのである。 |
15 | 木の葉 | 木の葉 | 木の葉や柴を積み上げて、それを燃やし、その火の中に卵を一つずつ投げ入れた。 |
15 | 木の葉 | 木の葉や小枝 | 更に木の葉や小枝を焔(ほのお)の上にかぶせて火勢を強くしても、卵は燃えそうもなかった。 |
15 | 小枝 | 木の葉や小枝 | 更に木の葉や小枝を焔(ほのお)の上にかぶせて火勢を強くしても、卵は燃えそうもなかった。 |
15 | 垣根 | 垣根 | 下の農家の娘さんが、垣根の外から、 「何をしていらっしゃるのですか?」 |
15 | ウメ | 梅の木 | 梅の木の下に埋めさせ、私は小石を集めて墓標を作ってやった。 |
16 | 藤棚 | 藤棚 | 藤棚の蔭にお母さまが立っていらして、 「可哀そうな事をするひとね」 |
17 | 木 | 木という木に | 木という木に蛇がのぼっていた事は、私も実際に見て知っている。 |
17 | 木 | 木という木に | 木という木に蛇がのぼっていた事は、私も実際に見て知っている。 |
17 | つつじ | つつじ | 池の岸のつつじのところに立ちどまって、ふと見ると、 |
17 | つつじ | つつじ | そのつつじの枝先に、小さい蛇がまきついていた。 |
17 | 花枝 | 山吹の花枝 | つぎの山吹の花枝を折ろうとすると、その枝にも、まきついていた。 |
17 | 枝 | その枝 | つぎの山吹の花枝を折ろうとすると、その枝にも、まきついていた。 |
17 | もくせい | 木犀 | 隣りの木犀にも、若楓でにも、えにしだにも、藤にも、桜にも、どの木にも、どの木にも、蛇がまきついていたのである。 |
17 | カエデ | 若楓 | 隣りの木犀にも、若楓でにも、えにしだにも、藤にも、桜にも、どの木にも、どの木にも、蛇がまきついていたのである。 |
17 | フジ | 藤 | 隣りの木犀にも、若楓でにも、えにしだにも、藤にも、桜にも、どの木にも、どの木にも、蛇がまきついていたのである。 |
17 | サクラ | 桜 | 隣りの木犀にも、若楓でにも、えにしだにも、藤にも、桜にも、どの木にも、どの木にも、蛇がまきついていたのである。 |
17 | 木 | どの木 | 隣りの木犀にも、若楓でにも、えにしだにも、藤にも、桜にも、どの木にも、どの木にも、蛇がまきついていたのである。 |
17 | 木 | どの木 | 隣りの木犀にも、若楓でにも、えにしだにも、藤にも、桜にも、どの木にも、どの木にも、蛇がまきついていたのである。 |
18 | 縁側 | 縁側 | 籐椅子を持って引返して縁側にあがり、 |
18 | 縁側 | 縁側 | 縁側に椅子を置いてそれに腰かけて編物にとりかかった。 |
19 | ノイバラ | 野ばら | 彼女は、芝生を静かに横切って野ばらの蔭まで行くと、立ちどまって首を上げ、 |
21 | ウメ | 梅の名所 | あのあたりは梅の名所で、冬暖かく夏涼しく、住めばきっと、お気に召すところと思う、 |
28 | ウメ | 梅の木 | 芝生から石段を降りつくしたあたりに小さいお池があり、梅の木がたくさんあって、 |
28 | ミカン | 蜜柑畑 | お庭の下には蜜柑畑がひろがり、それから村道があって、 |
28 | 松林 | 松林 | その向うは水田で、それからずっと向うに松林があって、その松林の向うに、海が見える。 |
28 | 松林 | 松林 | その向うは水田で、それからずっと向うに松林があって、その松林の向うに、海が見える。 |
33 | 縁側 | お縁側 | たいていお縁側で編物したり、支那間で本を読んだり、 |
34 | ウメ | 梅が咲き | 二月には梅が咲き、この部落全体が梅の花で埋まった。 |
34 | ウメ | 梅の花 | 二月には梅が咲き、この部落全体が梅の花で埋まった。 |
34 | ウメ | 梅 | 満開の梅は少しも衰えず、三月の末まで美しく咲きつづけた。 |
34 | ウメ | 梅の花 | 夜も、梅の花は、溜息ためいきの出るほど美しかった。 |
34 | ウメ | 梅の花びら | 窓から梅の花びらが吹き込んで来て、お茶碗の中にはいって濡れた。 |
34 | 縁側 | 縁側 | 私とお母さまがお縁側で編物をしながら、二人の話題は、 |
36 | 薪 | 薪 | お風呂のかまどの傍に積み上げてあった薪の山が、すごい火勢で燃えている。 |
37 | 垣根 | 垣根 | たちまち四五人の村の人たちが、垣根をこわして、飛び込んでいらした。 |
37 | 薪 | 薪の山 | 中井さんはそれを薪の山にかけたが火勢は強く、とてもそんな事では消えそうもなかった。 |
37 | 垣根 | 垣根 | そうして、垣根の下の、用水の水を、リレー式にバケツで運んで、 |
37 | 薪 | 薪 | お風呂のかまどの燃え残りの薪を、かまどから引き出して消したつもりで、 |
37 | 薪 | 薪の山 | 薪の山の傍に置いた事から起ったのだ、という事に気づいたのだ。 |
37 | 垣根 | 垣根 | 前のお家の西山さんのお嫁さんが垣根の外で、お風呂場が丸焼けだよ、 |
38 | 薪 | 薪 | 「私が、いけなかったのです。消したつもりの薪を、……」 |
39 | 薪 | 薪 | 「なにね、薪がちょっと燃えただけなんです。ボヤ、とまでも行きません」 |
40 | 垣根 | 垣根 | と私が答えると、垣根のほうにまだ近所のお方がいらして |
40 | 薪 | 薪の山 | ぼんやり焼けた薪の山の傍に立ち、涙ぐんで空を見上げたら、 |
40 | 薪 | 燃やすための薪 | 「なんでもない事だったのね。燃やすための薪だもの」 |
41 | リンゴ | 林檎 | 機(おり)にかないて語る言は銀の彫刻物に金の林檎を嵌(は)めたるが如し、という聖書の箴言(しんげん)を思い出し、 |
41 | 薪 | 薪の山 | 私は、焼けた薪の山の整理にとりかかっていると、 |
41 | 枝折戸 | 枝折戸 | と言いながら庭の枝折戸(しおりど)から小走りに走ってやって来られて、 |
45 | 薪 | 薪 | お母さまは、燃やすための薪だもの、と冗談をおっしゃって私をなぐさめて下さったが、 |
44 | 垣根 | 垣根 | 垣根の外で、風呂場が丸焼けだよ、かまどの火の不始末だよ、と |
45 | 縁側 | お縁側 | お母さまとお縁側で編物などをしていても、へんに窮屈で息苦しく、 |
49 | 丸太 | 丸太はこび | 私は朝から男の人たちと一緒に丸太はこびをしていると、 |
49 | 松林 | 松林 | さっさと松林のほうへ歩いて行き、私が不安と恐怖で胸をどきどきさせながら、 |
49 | 林 | 林 | 林の奥に製材所から来たばかりの板が積んであって |
49 | 製材所 | 製材所 | 林の奥に製材所から来たばかりの板が積んであって |
49 | 板 | 板 | 林の奥に製材所から来たばかりの板が積んで板あって |
50 | 材木 | 材木 | 「毎日、つらいでしょう。きょうは一つ、この材木の見張番をしていて下さい」 |
50 | 板 | 板の上 | ここは、涼しくて静かだから、この板の上でお昼寝でもしていて下さい。 |
50 | 板 | 板 | 上衣のポケットから小さい文庫本を取り出し、てれたように、板の上にほうり、 |
51 | 材木 | 材木 | 私は、材木に腰かけて、文庫本を読み、 |
51 | 材木 | 材木 | こんどは、材木の上に這い上って、横になって本を読み、 |
51 | 材木 | 材木 | 材木から降りて、髪を撫でつけていたら、また、こつこつと靴の音が聞えて来て、 |
53 | 薪 | 薪 | お母さまは、燃やすための薪だもの、と御冗談を言って、 |
53 | 手桶 | 手桶 | 井戸から大きい手桶で畑に水を五、六ぱいお運びになり、 |
54 | ネム | ねむの花 | 「私は、ねむの花が好きなんだけれども、ここのお庭には、一本も無いのね」 |
54 | キヨウチクトウ | 「夾竹桃 | 「夾竹桃がたくさんあるじゃないの」 |
54 | バラ | 薔薇 | 「私なら薔薇がいいな。だけど、あれは四季咲きだから、薔薇の好きなひとは、春に死んで、 |
54 | バラ | 薔薇 | 「私なら薔薇ばらがいいな。だけど、あれは四季咲きだから、薔薇の好きなひとは、春に死んで、 |
54 | 藤棚 | 藤棚 | 私はお母さまの後について行って、藤棚の下のベンチに並んで腰をおろした |
54 | フジ | 藤の花 | 藤の花はもう終って、やわらかな午後の日ざしが、その葉をとおして私たちの膝ひざの上に落ち、 |
54 | 葉 | その葉 | 藤の花はもう終って、やわらかな午後の日ざしが、その葉をとおして私たちの膝ひざの上に落ち、 |
65 | 実 | よい実 | 「ああ、そのかず子のひめごとが、よい実を結んでくれたらいいけどねえ。 |
65 | ハギ | 萩 | 萩、なでしこ、りんどう、女郎花(おみなえし)などの秋の草花が咲いていた。 |
65 | ノブドウ | 野葡萄の実 | 野葡萄の実は、まだ青かった。 |
65 | 実 | 野葡萄の実 | 野葡萄の実は、まだ青かった。 |
66 | ボタン | 牡丹色 | 淡い牡丹色のぼやけたような毛糸で、私はそれに、コバルトブルウの糸を足して、 |
66 | ボタン | 牡丹色 | そうして、この淡い牡丹色の毛糸は、いまからもう二十年の前 |
67 | ボタン | 牡丹色 | 私は、この淡い牡丹色の毛糸と、灰色の雨空と、一つに溶け合って、 |
67 | ボタン | 牡丹色 | 灰色の雨空と、淡い牡丹色の毛糸と、その二つを組合せると両方が同時にいきいきして来るから不思議である。 |
68 | ボタン | 牡丹色 | 冬の雪空に、この淡い牡丹色が、どんなに美しく調和するかちゃんと識しっていらしてわざわざ選んで下さったのに、 |
69 | バラ | 薔薇 | 「とうとう薔薇ばらが咲きました。お母さま、ご存じだった? 私は、いま気がついた。とうとう咲いたわ」 |
69 | 縁側 | お縁側 | お座敷のお縁側のすぐ前の薔薇。 |
69 | バラ | 薔薇 | お座敷のお縁側のすぐ前の薔薇。 |
69 | バラ | 薔薇 | とにかく遠いところからお持帰りになった薔薇で |
69 | バラ | 薔薇 | 叔父さまが、この山荘の庭に移し植えて下さった薔薇である。 |
69 | バラ | 薔薇 | それに、お庭の薔薇のことだって、あなたの言うことを聞いていると、 |
70 | 木戸 | 木戸 | 何の前触れも無く、夏の夕暮、裏の木戸から庭へはいって来て、 |
72 | 下駄 | 庭下駄 | 私から宿屋の在る場所を聞いて、庭下駄をつっかけて外に飛び出し、 |
72 | 林檎 | 焼き林檎 | 私は直治の好きだった焼き林檎と、それから、卵のお料理などこしらえて、 |
75 | バラ | 薔薇 | 苦しくつらくなり、お母さまに、だしぬけに薔薇の事など報告して、 |
76 | 箪笥 | 洋服箪笥 | 直治の洋服箪笥や机や本箱、 |
76 | 本箱 | 本箱 | 直治の洋服箪笥や机や本箱、 |
76 | 木の箱 | 木の箱 | また、蔵書やノートブックなど一ぱいつまった木の箱五つ六つ、 |
76 | 箪笥本箱 | 箪笥本箱 | 直治の好きな位置に、箪笥本箱などそれぞれ据える事にして |
76 | 木の箱 | 木の箱 | 私は、何気なく足もとの木の箱から、直治のノートブックを一冊取りあげて見たら、 |
77 | フジ | 牛島の藤 | 牛島の藤は、樹齢千年、熊野(ゆや)の藤は、数百年と称となえられ、 |
77 | フジ | 熊野の藤 | 牛島の藤は、樹齢千年、熊野(ゆや)の藤は、数百年と称となえられ、 |
77 | 樹齢 | 樹齢 | 牛島の藤は、樹齢千年、熊野(ゆや)の藤は、数百年と称となえられ、 |
77 | 花穂 | 花穂 | ただその花穂にのみ、心がおどる。 |
80 | 本棚 | 本棚 | 僕の本棚の本は、ほとんど廉価の文庫本のみにして |
82 | ウメ | 梅の枝 | 春の朝、二三輪の花の咲きほころびた梅の枝に朝日が当って、その枝にハイデルベルヒの若い学生が、ほっそりと縊(くび)れて死んでいたという。 |
82 | 枝 | 梅の枝 | 春の朝、二三輪の花の咲きほころびた梅の枝に朝日が当って、その枝にハイデルベルヒの若い学生が、ほっそりと縊(くび)れて死んでいたという。 |
85 | 木の箱 | 木の箱 | そこまで読んで私は、その夕顔日誌を閉じ、木の箱にかえして、 |
101 | 紅葉 | 紅葉 | ぱっと紅葉よりも赤くなりました。 |
106 | サクラ | 桜の園 | 「ごめんなさい。桜の園を思い出したのです。あなたが、お買いになって下さるのでしょう?」 |
106 | サクラ | 桜の園 | でも、桜の園のロパーヒンみたいに私どもに思われているのではたまらないと、 |
120 | 戸棚 | 戸棚 | とおっしゃって応接間の隅の戸棚から梨を三つ取り出して私に下さった |
120 | ナシ | 梨 | とおっしゃって応接間の隅の戸棚から梨を三つ取り出して私に下さった |
123 | ハギ | 萩 | お庭の萩が咲いていますわ。それから、女郎花、われもこう、桔梗、かるかや、芒(すすき)。 |
128 | 縁側 | 縁側 | そうして、支那間の寝椅子をお座敷の縁側ちかくに移して、 |
128 | 森 | 森 | またここへ来たと思うなじみの森の中の湖のほとりに私は出た。 |
129 | アジサイ | アジサイ | 霧の庭に、アジサイに似た赤い大きい花が燃えるように咲いていた。 |
129 | アジサイ | アジサイの花 | 真赤なアジサイの花が散らされてあるのを見て、へんに悲しかったが、 |
129 | アジサイ | アジサイの花 | やっぱり赤いアジサイの花って本当にあるものなんだと思った。 |
145 | 木 | 木という木に | またあの時に、お庭の木という木に蛇がからみついていたのを、私は見た。 |
154 | 杖 | 杖 | 二枚の下衣も、鞋も、杖も持つな。 |
156 | 下駄 | 下駄の鼻緒 | 涙が出て、そのうちに砂利道の石につまずいて下駄の鼻緒がぷつんと切れて、 |
156 | 格子戸 | 玄関の格子戸 | 身を投げる気持で、玄関の格子戸に倒れかかるようにひたと寄り添い、 「ごめん下さいまし」 |
157 | 格子 | 格子 | と言い、両手の指先で格子を撫(なで)ながら、 「上原さん」 |
158 | 下駄 | 下駄 | 鼻緒の切れた時に手軽に繕うことの出来る革の仕掛紐をいただいて、下駄を直して、 |
159 | 下駄 | 下駄 | 下駄の鼻緒をすげかえ、立ってはたはたと手を打ち合せて両手のよごれを払い落しながら、 |
161 | 格子 | 格子 | チドリの青い燈籠を見つけて、ためらわず格子戸をあけた。 |
163 | 塩梅 | 塩梅 | 「ああ、あ、だ。ああ、あ、チドリの酒は、安くねえ、といったような塩梅だね」 |
174 | 樹木 | 樹木の枝 | 路傍の樹木の枝。葉の一枚も附ついていない枝、ほそく鋭く夜空を突き刺していて、 |
174 | 枝 | 樹木の枝 | 路傍の樹木の枝。葉の一枚も附ついていない枝、ほそく鋭く夜空を突き刺していて、 |
174 | 葉 | 葉 | 路傍の樹木の枝。葉の一枚も附ついていない枝、ほそく鋭く夜空を突き刺していて、 |
174 | 枝 | 枝 | 路傍の樹木の枝。葉の一枚も附ついていない枝、ほそく鋭く夜空を突き刺していて、 |
174 | 木の枝 | 木の枝 | 「木の枝って、美しいものですわねえ」 |
174 | 枝 | 真黒い枝 | 「うん、花と真黒い枝の調和が」 |
174 | 葉 | 葉 | 「いいえ、私、花も葉も芽も、何もついていない、こんな枝がすき。 |
174 | 芽 | 芽 | 「いいえ、私、花も葉も芽も、何もついていない、こんな枝がすき。 |
174 | 枝 | こんな枝 | 「いいえ、私、花も葉も芽も、何もついていない、こんな枝がすき。 |
174 | 枯枝 | 枯枝 | これでも、ちゃんと生きているのでしょう。枯枝とちがいますわ」 |
200 | 森 | 森 | もういまでは私の胸のうちは、森の中の沼のように静かでございます。 |