21 |
下駄 |
下駄だけは、白く新しかった。 |
濃紺の絹の襟巻を首にむすんで、下駄だけは、白く新しかった。 |
22 |
柵 |
柵が映されて |
さいしょ田舎の小学校の屋根や柵が映されて、 |
26 |
板 |
板の間 |
うす暗い玄関の階段の下の板の間に、 |
33 |
下駄 |
下駄 |
路面の雪は溶けかけたままあやうく薄く積っていて、ふたりの下駄をびしょ濡れにした。 |
35 |
林檎もあった |
林檎もあった |
さかなは、鑵詰の蟹と、干椎茸であった。林檎もあった。 |
39 |
スギ |
杉林 |
路の左側の杉林に、嘉七は、わざとゆっくりはいっていった。 |
39 |
落葉 |
落葉 |
落葉が厚く積っていて、じめじめぬかった。 |
41 |
クワ |
桑に似た幹 |
その端を桑に似た幹にしばり、 |
41 |
幹 |
桑に似た幹 |
その端を桑に似た幹にしばり、 |
41 |
幹 |
木の幹 |
木の幹に結びつけた兵古帯をほどいて首からはずし、 |
41 |
木 |
木の幹 |
木の幹に結びつけた兵古帯をほどいて首からはずし、 |
43 |
スギ |
山の杉の木 |
深夜の山の杉の木は、にょきにょき黙ってつっ立って、尖った針の梢には、冷い半月がかかっていた。 |
43 |
スギ |
杉の木 |
一本の杉の木にさえぎ止められ、かず枝は、その幹にまつわりついて、 |
43 |
スギ |
杉の朽葉 |
しかもその髪には、杉の朽葉が一ぱいついて、獅子の精の髪のように、山姥の髪のように、荒く大きく乱れていた。 |
43 |
幹 |
その幹 |
一本の杉の木にさえぎ止められ、かず枝は、その幹にまつわりついて、 |
43 |
朽葉 |
杉の朽葉 |
しかもその髪には、杉の朽葉が一ぱいついて、獅子の精の髪のように、山姥の髪のように、荒く大きく乱れていた |
43 |
梢 |
尖った針の梢 |
深夜の山の杉の木は、にょきにょき黙ってつっ立って、尖った針の梢には、冷い半月がかかっていた。 |
44 |
スギ |
杉林の奥の |
また杉林の奥のほうへ引きかえそうと努めた。 |
44 |
木の根 |
木の根にすがり |
つんのめり、這いあがり、ずり落ち、木の根にすがり、 |
44 |
木立 |
木立に充満 |
朝霧が、もやもや木立に充満している。 |
45 |
スギ |
杉の朽葉 |
杉の朽葉を、一つ一つたんねんに取ってやりながら、 |
45 |
下駄 |
下駄を捜し |
かず枝の下駄を捜しまわったり、 |
45 |
杉の朽葉 |
杉の朽葉 |
杉の朽葉を、一つ一つたんねんに取ってやりながら、 |
46 |
スギ |
杉林 |
嘉七はひとり杉林から脱けて、水上のまちに出て、 |
46 |
スギ |
杉林 |
やっとどうにか歩けるようになって、ふたりこっそり杉林を出た。 |