よしもと waraii myraii館の敷地奥に、木材が積み上げられているようなものが見えました。近づいてみると、私たち木材業者にはなじみ深い「桟積み(さんづみ)」がされていたのです。業界では「山」と呼んだり、「木材パイル(pile)」「乾燥架」「乾燥ラック」とも呼ばれ、地方や分野によって名称はさまざまです。
一周して観察していると、突然警備員が駆け寄ってきました。そこは関係者通路だったのです。取材IDを提示すると撮影許可が下り、ようやく撮影ができました。実際には、一般来場者と関係者通路を区別するための壁として利用されていました。
森を守る、広葉樹の間伐材を活用
木フェンスには福島県の里山の広葉樹材を使用。適切な森林管理によって広葉樹林の再生と生物多様性の維持に貢献し、林業の活性化や福島の復興支援にもつなげています。
会期後の活用
使用後はトラックの床板として再利用され、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に貢献します。
パートナー企業
資料には大阪の越井木材工業さんの名前が記されています。古くからトラックボディの荷台板材で大きなシェアを持つ企業であり、その関係で今回のプロジェクトに貢献されたのでしょう。
とても面白い試みだと思いました。通常、木材を天然乾燥させるには木場に長期間置いておきますが、今回はそれを万博会場に持ち込み、会期中に自然乾燥させ、終了後には持ち帰るという方法を採用しています。会期中は仕切り壁としての役割も果たし、施設を新たに建設するよりも低コストで設置できます。また、来場者には広葉樹の間伐材や循環型経済の意識を体感してもらえる効果もあります。
昭和の時代には市内でもこうした桟積みの山があちこちで見られましたが、今では特定の場所でしか見かけなくなりました。そのため、一般の方々にとっては新鮮で興味深い展示に映ることでしょう。