トイレ6は「風船のようにふくらむ膜屋根」を特徴とする建築です。 1970年大阪万博で実験的に導入された空気膜構造を現代的にアップデートし、環境に応答する建築を目指しています。屋根は透光性をもち、柔らかい日差しを内部に取り込みながら、以下のような機能を備えています。
風応答性:風速に応じて膨張や収縮を行い、強風時には強度を確保、弱風時には送風量を抑制してエネルギー消費を低減。
温度調節:気温上昇時には膜屋根上部に水をためて冷却し、内部空間の暑さを緩和する。溜めた水は後に押し流して循環。
これにより、自然エネルギーを活用しながら維持コストを抑える「レスポンシブ・ストラクチャー」となっています。
中央に吹き抜けのホールを設け、その周囲に男女トイレ、バリアフリートイレ、ジェンダーレストイレを配置。
待合スペースや手洗い場からは膜屋根越しに空や光を感じることができ、来場者がひと息つける落ち着いた場所となっています。
内部の仕上げはブルーブラック系の落ち着いた色彩で統一され、混雑した会場内で静かな時間を提供。
技術的特徴小松ウオール工業によるOSBトイレブース「mokumo」や各種建具が導入されており、持続可能な木材利用を通して快適性と環境配慮を両立。
トイレ6は、1970年大阪万博から受け継がれた空気膜構造を現代技術で再解釈し、自然の力を利用して環境に応答する新しい共用施設です。15mm厚の既成合板に塗装を施した外装によって、木造基壇との調和と実用性を両立しながら、来場者にやすらぎの空間を提供しています。