東ゲート南停留所は、環境配慮・快適性・デザイン性、そして「未来に向けた新たな体験価値の創出」をテーマに設けられた、会場内外周路を走るEVバス「e Mover」のための停留所です。森林の循環――“伐って、使って、植えて、育てる”――をイメージとして据え、「持続可能な未来社会」を木質の質感で可視化しています。
デザインは大阪湾に面した立地に呼応して「波」をモチーフとし、屋根のうねりで波の動きを、縦ルーバーで立ち上がる波を表現。正面に据えたボロノイ形状の格子とドーム型シェルターは、浜辺に打ち上がる波の一瞬を捉えたような有機的で彫刻的な造形です。ドーム内部には六角形のLEDモニターが組み込まれ、関西電力によるカーボンニュートラル発信「EXPO2025グリーンビジョン」の映像が流れます。サインとアート、インフラと展示が重なり合う“見せる停留所”として、夕刻には照明演出が加わり幻想的な表情を見せます。
機能面でも来場者の体験を丁寧に支えます。軒先にはドライミストを設置して暑熱時の待ち時間を和らげ、天井部のLEDライン照明で夜間の安全性と快適性を確保。情報発信機能を担う映像機器とあわせ、停留所そのものが「学び」と「休息」を同時に提供する装置になっています。
構造は鉄骨造に木質仕上げを施した構成で、全長約32m・幅3〜6m・高さ約4m、竣工は2025年2月。設計・施工は大和ハウス工業、木材の造形製作と組立は株式会社コトブキが担当しました。BIMやパラメトリックデザインを用い、初期設計段階から意匠と施工性の両立を図ることで、複雑な曲面や格子の精度と量産性を同時に実現しています。木材は停留所全体で積極的に活用されていますが、現時点で公表資料に具体的な樹種の明記は確認できていませんが、国産スギと思われます。 。木の温かい触感と視覚的な安らぎを前面に出しつつ、EVバスという次世代モビリティと響き合い、人とまち、そして万博と未来を結ぶ出発点として機能しています。