- マツ 15箇所
- ツバキ 12箇所
- ミカン 12箇所
- ボケ 11箇所
- サクラ 10箇所
- カイドウ 6箇所
- モクレン 6箇所
- ヤナギ 4箇所
- スギ 3箇所
- アカマツ 2箇所
- ヒノキ 2箇所
- モモ 2箇所
- ウメ 2箇所
- シュロ 2箇所
- ナシ 1箇所
- シタン 1箇所
- クコ 1箇所
- カシワ 1 1箇所
- イチョウ 1箇所
夏目漱石の小説 「草枕」に出てくる樹木や木製品
この小説の初出は1906年、文庫本におけるページ数は164ページ
ページ |
元樹種 |
掲載樹種 |
掲載言葉 |
7 |
ヒノキ |
檜 |
杉か檜か分からないが根元から頂まで悉く蒼黒い中に |
7 |
アカマツ |
赤松 |
一本見えるのは赤松だろう |
7 |
スギ |
杉 |
杉か檜か分からないが根元から頂まで悉く蒼黒い中に |
7 |
サクラ |
山桜 |
山桜が薄赤くだんだらな棚引いて |
10 |
サクラ |
桜 |
桜も―桜もいつか見えなくなった |
12 |
森林 |
森林 |
森林人不知 |
13 |
ヒノキ |
檜 |
百万本の檜に取り囲まれ |
15 |
マツ |
松 |
松らしいものが |
15 |
木 |
木 |
木が動くのか |
16 |
樹梢 |
樹梢 |
樹梢を揺かして |
19 |
ウメ |
梅の花 |
一筆がきの梅の花が |
20 |
板庇 |
板庇 |
板庇にからんでいる |
20 |
紅葉 |
紅葉 |
紅葉のなかか |
24 |
サクラ |
山桜 |
山桜の葉も花も |
25 |
サクラ |
桜 |
桜もはっきりと目に映じたが |
25 |
サクラ |
桜 |
桜も一瞬間に |
25 |
シュロ |
シュロ |
棕梠箒で烟を払う様に |
30 |
板庇 |
板庇 |
板庇の下に傾きかけていた |
30 |
椽板 |
椽板 |
椽板は既に朽ちかかっている |
32 |
木 |
木の枝 |
木の枝が二三本斜めに |
33 |
木 |
木 |
木の陰が揺れながら |
34 |
カイドウ |
海棠 |
海棠かと思わるる幹を脊に |
37 |
カイドウ |
海棠 |
「海棠の露をふるふや物狂ひ」 |
38 |
カイドウ |
海棠 |
海棠の精が出てくる |
42 |
イチョウ |
銀杏 |
銀杏返しに結っている |
43 |
カイドウ |
海棠 |
海棠の露を |
43 |
唐木 |
唐木 |
唐木の机の上に |
43 |
アカマツ |
赤松 |
赤松が斜めに岩の間から庭の上へさし出している。 |
44 |
カイドウ |
海棠 |
海棠の後ろには一寸した茂みがあって |
45 |
マツ |
松 |
松の多い山で |
45 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑を植えて |
45 |
クコ |
クコ |
向こうに枸杞とも見える生垣があって |
45 |
サクラ |
山桜 |
静かに山桜の影を蘸している |
49 |
銀杏返シ |
銀杏返し |
欄干に銀杏返しが頬杖を突いて |
49 |
ヤナギ |
楊柳(かわ柳) |
楊柳観音の様に下を見詰めていた |
50 |
銀杏返シ |
銀杏返し |
あの銀杏返しに懸想して |
51 |
銀杏返シ |
銀杏返し |
余と銀杏返しの間柄に |
51 |
銀杏返シ |
銀杏返し |
因果の相手のその銀杏返しが |
55 |
サクラ |
山桜 |
山桜をみている心持ち |
68 |
ヤナギ |
柳 |
柳の下へたまる |
72 |
乾屎? |
乾屎橛 |
「咄この乾屎橛」 |
73 |
ツバキ |
落椿 |
落椿の下に |
74 |
唐木 |
唐木 |
唐木の机に憑りて |
75 |
モモ |
桃源 |
桃源の日で蒸発せしめた精気が |
88 |
マツ |
松 |
松の下に黒くさびた |
88 |
マツ |
松 |
三本の松が |
88 |
マツ |
松 |
松を見ると好い心持になる |
88 |
マツ |
松 |
三本の松の下に |
88 |
マツ |
松 |
三本の松は |
88 |
樹 |
樹 |
松は周り一尺もある大きな樹で |
88 |
マツ |
松 |
松は周り一尺もある大きな樹で |
93 |
桂 |
桂 |
桂の都を逃れた月界の嫦娥が彩虹の追っ手に取り囲まれて |
99 |
シタン |
紫檀 |
紫檀の書架から |
100 |
木蘭 |
木蘭 |
木蘭を二尺の高さに |
100 |
木蘭 |
木蘭 |
木蘭がふわりと浮き出されている |
101 |
マツ |
松 |
松の皮の葢に如何なる因縁があろうと |
102 |
マツ |
松 |
松の葢は少し |
113 |
ツバキ |
椿 |
椿がふらふらと揺れる |
113 |
樹 |
樹 |
轟と音がして山の樹が悉く鳴る |
114 |
サクラ |
桜 |
桜の姿を保っている所が |
114 |
サクラ |
山桜 |
落ち付いて影を蘸していた山桜が |
118 |
枝 |
枝 |
割合に枝の繁まない所は |
118 |
芽 |
芽 |
まだ春の芽を吹いておらんのがある。 |
118 |
雑木 |
雑木 |
雑木が多い。何百本あるか勘定がしきれぬ。 |
118 |
スギ |
杉 |
杉の間から谷へ降りて |
118 |
木 |
木 |
木の間から見ると |
120 |
樹 |
樹 |
頭の上には大きな樹がかぶさって |
120 |
ツバキ |
椿 |
向こう岸の暗い所に椿が咲いている |
120 |
ツバキ |
椿 |
椿の葉は緑が深すぎて、昼見ても、日向で見ても |
120 |
ツバキ |
椿 |
椿を岩角を |
121 |
ナシ |
梨 |
萎れる雨中の梨花には、只憐れな感じがする |
121 |
ツバキ |
椿 |
例の椿が眼に入った時 |
121 |
ツバキ |
椿 |
椿の沈んでいるのは全く違う |
121 |
枝 |
枝 |
かたまったまま枝を離れる |
121 |
カイドウ |
海棠 |
月下の海棠には |
121 |
ツバキ |
山椿 |
余は深山椿を見る度に |
122 |
ポタリ落チル |
ぽたり |
又ぽたり落ちる |
122 |
ツバキ |
椿 |
年々落ち尽す幾万輪の椿は |
122 |
ツバキ |
椿 |
落ちた椿の為に |
122 |
ツバキ |
椿 |
椿を幾輪も落す |
122 |
ツバキ |
椿 |
椿が長えに落ちて |
124 |
薪 |
薪 |
薪を切っては城下へ待って出ます |
126 |
マツ |
松 |
あの向こうに見える松のところから |
127 |
薪 |
薪 |
薪を脊にして |
127 |
若蔦 |
若蔦 |
若蔦にからまれた幹を |
127 |
マツ |
松 |
上には三抱程の大きな松が |
129 |
マツ |
松 |
幽かに松の幹を染むる |
129 |
樹梢 |
樹梢 |
夕日は樹梢を掠めて |
130 |
スギ |
杉 |
遂に姿を杉の木の間に隠した |
132 |
木 |
木 |
木とも見えぬ |
132 |
撞木 |
撞木 |
鉦も撞木も |
133 |
ウメ |
梅棕(ばいそう) |
竹間の梅棕森然として |
133 |
ハオウジュ |
ハオウジュ(サボテンの別名) |
この覇王樹も時と場合によれば |
133 |
ハオウジュ |
ハオウジュ(サボテンの別名) |
近寄って見ると大きな覇王樹である |
133 |
ハオウジュ |
ハオウジュ(サボテンの別名) |
月下の覇王樹と答える |
133 |
カシワ |
柏 |
庭前の柏樹子と答えた |
133 |
樹 |
樹 |
こんな滑稽な樹は |
134 |
モクレン |
木蓮 |
木蓮は樹下に立つ人の眼を乱す程の細い枝を徒らには張らぬ |
134 |
枝 |
枝 |
枝の重なり合った上が月である |
134 |
モクレン |
木蓮 |
木蓮の花許かりになる空を瞻る |
134 |
モクレン |
木蓮 |
木蓮の色はそれではない |
134 |
モクレン |
木蓮 |
大きな木蓮がある |
134 |
枝 |
枝 |
枝の上も、亦枝である |
134 |
枝 |
枝 |
枝がああ重なると |
134 |
モクレン |
木蓮 |
木蓮の枝はいくら重なっても |
134 |
枝 |
枝 |
枝と枝の間はほがらかに隙いている |
134 |
枝 |
枝 |
頭の上は枝である |
137 |
マツ |
松 |
松一本の外には何もない |
141 |
マツ |
松 |
「あの松の影を御覧」 |
142 |
モクレン |
木蓮 |
木蓮は幾朶の雲華を空裏に擎げている |
144 |
樹 |
樹 |
蒼い樹が非常にすき通って |
145 |
ミカン |
蜜柑 |
あるのは蜜柑のみと思われる |
145 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑が一面に植えてある |
145 |
樹 |
樹 |
樹の上で妙な節の唄をうたい出した |
145 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑の山に蜜柑がべた生りに生る景色を始めて見た |
145 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑取りに一枝売ってくれと云ったら |
149 |
サクラ |
山桜 |
頭の上に山桜が落ちかかる |
149 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑のなかの住居だなと思う |
149 |
ミカン |
蜜柑 |
今過ぎた蜜柑山で |
150 |
雑木 |
雑木 |
雑木の間から |
150 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜の小株が茂っている |
150 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜は面白い花である |
150 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜は花のうちで |
150 |
ボケ |
木瓜 |
葉のついた木瓜を切って |
150 |
ボケ |
木瓜 |
寐ながら木瓜を観て |
150 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜が出なくっても |
154 |
雑木林 |
雑木林 |
雑木林の入り口で男は一度振り返った |
155 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜の中から出ていらっしゃい |
155 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜の中から出て行く |
155 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜の中に御用があるんですか |
155 |
ボケ |
木瓜 |
余は木瓜の上へ顔を出す |
156 |
ボケ |
木瓜 |
木瓜の中に退いて |
158 |
ミカン |
蜜柑 |
あの蜜柑山に |
158 |
シュロ |
シュロ |
棕梠が三四本あって |
158 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑畠である |
159 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑畠を見下ろして |
159 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑畠を見下している |
159 |
ミカン |
蜜柑 |
蜜柑の葉は、葉裏まで、蒸し返されて |
161 |
ヤナギ |
柳 |
岸には大きな柳がある |
163 |
ヤナギ |
柳 |
柳と柳の間に的皪と光るのは白桃らしい |
163 |
モモ |
桃柳 |
柳と柳の間に的皪と光るのは白桃らしい |
165 |
材木 |
材木 |
材木の置き場が見える |