木材がよく港などで水(海水)にひたされているが、何のためにそんなことを行なうのか?
どんな効果があるのだろうか?
木を水に浸す一番の理由は「楽」だからです。陸の上に置いているとすると1本をとろうとするとフォークリフトやクレーンを駆使しても大変な苦労をします。これが水の中だと1人の人間がで竿1本で、あちこち移動させることができます。こんな「楽」なことはありません。ましてフォークリフトもなかった昔は大きな木材(輸入材は特に)は材料を仕分けしたりするのに水の中以外ではやりようがありません。おまけに輸入材は船で入ってきますから。船の横から片っ端から水の中へ放り込めばよいのですから。まさに「楽」なのです。又以前は日本でもアメリカでも山から切り出した木材は川や人工の水路を伝って運び出していました(今でも遊園地に行くと、水路の中を丸太の形をした船にのっていくスリル満点の水上コースターがあるのはこれのことです)当然行き着く先は河口か海の中になります。それを長さ別に仕分けしたり大きさ別に仕分けするのにあれほどの巨木でも水の中では自由自在です。以上が一番大きな理由です。しかし最近はフォークリフトの進歩で作業性がよくなったことや水につけておくと乾燥が遅いことや、水面作業員の人手不足等で日本ではだんだん水面貯木はなくなる傾向にあります。
昔、建物を何年もかかって作った頃やネルソン提督の戦艦ビクトリーを木で作っていたころは木材の乾燥のために木を水につけていたこともありました。一見水を抜くのに水の中に入れるのは矛盾しますが、水の中につけておくて木は腐りませんから安心して何年でもつけておけます。(水の中では酸素の供給が絶たれるので腐朽菌が繁殖できません。但し船食虫に孔をあけられると言うことはあります)水の中につけておくと非常に徐々ではありますが、木の組織中の水が抜けていきます。これが空気中であれば、急激に抜けてすぐに割れが入るものが、水に浸かっていると割れないので、時間を度外視すればそれなりに良い方法ではありました。しかし現在はこんな気の長い方法は使われませんので、木材を水の中につけておくのは、ただただ作業性のためだけです。