合板の枚数は原則奇数枚になっています。
合板が複数枚になっている理由は第一に強度増加、第二に寸法安定のためであることはよく知られています。
しかしどうして偶数枚でなくて奇数枚になっているのでしょうか?
奇数枚でないと生産上非常に効率の悪いものになるからです。
合板は縦方向繊維と横方向繊維のベニヤ単板を互い違いに 貼り合わせています。例えば5枚プライの合板だとすると2枚目と4枚目の ベニヤ単板の両側に接着剤をつけてプレスすれば完成です。しかしこれが 6枚プライにすると、2枚目と4枚目の両側に接着剤をつけて5枚目の片側 のみに接着剤をつけねばなりません。5プライであれば2工程のものが6プ ライにすると3工程に増えます。又両面接着剤と片面接着剤と2種類の接 着剤塗布ラインが必要になります。それではすべての接着ラインを片側 のみの接着剤塗布にすれば解決しますが、それでは2工程ですむところ が倍の4工程に手間がかかります。これらが奇数枚の一番大きな理由です。
すべての合板工場、合板商品が上記に当てはまるわけではありません。
追加情報
2007年3月にある閲覧者から、「奇数である理由は寸法安定性が目的で、生産性は結果としてなっているのでは」とのご指摘をいただきました。
確認のため、複数の合板メーカーの技術者、営業の方にご意見を伺いました。
その結果
奇数枚合板と偶数枚合板では、寸法安定性において大差なく、作業性の良さ・ 生産性の良さの点から奇数枚合板が採用されている。との結論を得ました。
学術的には、「寸法安定のため」というのが答えですが、実際の製造や経済上は「コストのため」ということになろうかと思います。
上記動画はビクトリア&アルバート博物館の展示の一環として製作されました。https://www.vam.ac.uk/plywood