世界最大の飛行機として知られる「スプルースグース」(Hughes H-4 Hercules)は、第二次世界大戦中にアメリカ軍向けの巨大輸送機として設計されました。金属不足のため、主要な構造材としてスプルース(米国産の針葉樹)やバルサ材などの木材が使用されました。この飛行機の製作には1942年から1947年までの長い期間と、当時の価値で2,300万ドル以上という莫大な費用がかかりました。設計・製作を指揮したのは有名な発明家であり実業家のハワード・ヒューズで、彼はH-4に対して非常に強い情熱を注ぎました。
H-4は1947年11月2日にカリフォルニア州ロングビーチでわずか1回だけ飛行し、約1.6キロメートルを21メートルの高度で飛行しました。この短い26秒の飛行にもかかわらず、実際に飛行可能であることが証明されました。全長67メートル、翼幅98メートルのH-4は、2019年にStratolaunch(翼幅約117メートルを持ち、空中からロケットを発射するために設計された世界最大の航空機)が登場するまで、世界最大の翼幅を持つ飛行機としての記録を保持していました。
現在、この飛行機はアメリカ・オレゴン州マクミンヴィルのエバーグリーン航空博物館に展示されています。訪問者はその巨大な機体の中を見学でき、木材を使用した航空機というユニークな歴史的遺産を体感できます。15分24ドルで、1回あたり4名限定です。スプルースグースは、木材が航空機製造に使用された驚くべき証拠であり、ハワード・ヒューズの強い意志と情熱の象徴でもあります。