「たな」が原義である。必要ならば人が乗れるほど丈夫に造るたなのことである。現在では動詞の「(たなを)架ける」の意味のほうに多く使われている。なお、旁は次節で説明する枷と同じであり、「(虜囚を)縛り付けておく杭」の意味も架にはある。
さて、「架ける」と言うのは、人の背丈より高いところに横に材を渡すことである。そのような建築工事では労働安全衛生規則により 作業足場が必要になる。十年ほど前に日本の住宅建設コストが高いというので、米国の住宅建築工事の内容との比較をしたところ、 足場経費が原因の一つであることが判った。米国では高所作業用にボックスクレーンが使われているが、日本では電線の架設作業などに 認められているだけで、建築工事には認められていない。同時に内外価格差として問題になった指定水道工事業者制度のほうは、平成十年から廃止されたが、作業員の高齢化の現状から建築の仮設工事において足場はますます重要だとされ、こちらのほうはそのままに なっている。