シンガポール共和国
Republic of Singapore

シンガポール館公式スタンプ

西ゲートから大屋根リング通り、ベルギー前を右に、イタリア館の隣。
個人的なシンガポールとのかかわりと体験
シンガポールには、インドネシア駐在時代のビザ更新をはじめ、東南アジアの林業視察、団体旅行、家族旅行などで、これまでに10回以上訪問してきました。
世界遺産であるシンガポール植物園については、あまりに魅力的で、3日連続で通ったこともあります。
今回の大阪・関西万博のシンガポール館を訪れた際、展示の随所に感じられる「樹木」と「都市」の関係性に、これまでの記憶が重なり、強い懐かしさがこみ上げてきました。
1階展示で、円柱とその天井に映し出される樹木の映像は、仕掛け自体は決して複雑ではありません。しかし、その映像が語るのが、シンガポールを象徴する一本の木「テンブス(Tembusu)」の物語であったことに、深く心を打たれました。
また、3階のバーでシンガポールスリングを味わい、1階のスタンドでサテーを食べたことも印象に残っています。
サテーはインドネシアでは日常的に食べていた料理で、シンガポール滞在中にもよく口にしていましたが、万博会場で再び味わうことで、都市の記憶がより立体的に蘇りました。
1970年万博のシンガポール館
1970年の万博には、シンガポール館も出展していました。
アジアで初めて開催された万博ということもあり、各国が協力体制で取り組んでいたのだと思います。br
中国は参加していませんでしたが、台湾、韓国、香港、フィリピン、ビルマ(現ミャンマー)、カンボジア、マレーシア、タイ、ラオス、ベトナム、そしてシンガポールが参加していました。br
私は1970年に林業研修ツアーでシンガポールを訪れましたが、当時は現在では想像できないほどの発展途上国でした。br
そのような国力のシンガポールが、万博では3,000平方メートル(小学校の校庭ほどの広さ)の敷地に庭園を設け、144平方メートルの木造パビリオン(小学校の教室2室分ほどの大きさ)を建てていたのです。br
当時からシンガポール植物園(現在は世界遺産)は非常に立派で、日本のものよりも規模が大きく、整備も行き届いていました。br
万博で掲げられたテーマは「庭園都市」であり、この植物園の縮小版ともいえる構成だったと感じています。
シンガポール館のコンセプトと空間構成
シンガポール館は「Dream Sphere(ドリーム・スフィア)」と名付けられ、「Where Dreams Take Shape(夢が形になる場所)」 をテーマとしています。
パビリオンは3層構成となっており、来場者は「夢」「自然」「都市」「未来」という要素を、映像・音・光・展示を通して体験的に巡る構成です。
特徴的なのは、シンガポールという国家を、単なる近代都市としてではなく、「自然とともに成長してきた都市」 として描いている点です。
都市開発の出発点に「一本の木を植える」という思想を据え、それがやがて多くの樹木と高層ビルが共存する、清潔で持続可能な都市へとつながっていく様子が、全体のストーリーとして貫かれています。
2階の円形映像の仕組みとねらい、体験について
2階では、円形空間を生かした映像展示が設けられています。
この映像は、特定の時間に限らず、多くの来場者が自分のペースで鑑賞できる構成となっており、混雑する万博会場においても非常に有効な仕掛けです。
1階で来場者が書いた「夢」や「想い」が、映像の中に自然に組み込まれて現れる仕組みとなっており、小さな子どもだけでなく、大人も思わず見入ってしまう内容でした。
映像はアニメーション表現ですが、見続けていると、一本の木を植えることから始まり、森が生まれ、都市が育ち、樹木と近代的な建築が共存する現在のシンガポールへと至る「国の成り立ち」が、直感的に理解できる構成になっています。
シンガポールの樹木と「テンブス(Tembusu)」
シンガポール館で特に象徴的に扱われている樹木が テンブス(Tembusu) です。
テンブスはシンガポールを代表する大樹で、高さ40m近くにも成長します。
この木は、シンガポールの5ドル紙幣にも描かれており、強さ、回復力、そして未来へ成長し続ける精神 の象徴とされています。
館内の展示では、テンブスの木を起点に、シンガポールが1960年代以降、国家として進めてきた都市緑化の取り組み、「City in Nature(自然の中の都市)」という考え方が紹介されています。
一本の木を大切にする姿勢が、やがて国全体の景観を形づくり、都市と自然が対立するのではなく、共存する関係へと発展していった――そのメッセージは、木材や樹木に関わる立場で万博を見てきた者にとっても、非常に示唆に富むものでした。
まとめ(万博と木材の視点から)
シンガポール館は、建築そのものに大量の木材を使っているわけではありません。
しかし、「木を植えることから国づくりが始まった」 という思想を、映像と体験によってこれほど明確に伝えているパビリオンは多くありません。
木材・樹木を「素材」としてだけでなく、都市と文化、国家の精神を支える存在として描いている点 において、シンガポール館は「万博と木材」を語る上で欠かせない展示だと感じました。
シンガポールの切手
英名:Flame tree
和名:ホウオウボク
英名:Monkey pod tree
和名:モンキーポッド
英名:Tembusu
和名:テンブス
英名:Kapok tree
和名:カポック
英名:Kayu manis
和名:カユマニス
英名:Beach Almond
和名:モモタマナ
シンガポールの紙幣 テンブスの木