15 |
板 |
板 |
裾を冷え冷えと黒光りの板の上へ拡げて、 |
17 |
あけび |
あけび |
あけびの新芽も間もなく食膳に見られなくなる。 |
32 |
桟 |
桟 |
女は障子紙に指をつっこんで桟をつかみ、 |
44 |
杉林 |
杉林 |
村は鎮守の杉林の陰に半ば隠れているが、。 |
47 |
スギ |
杉 |
杉の枝から共同湯の屋根に落ちる雪の塊も、 |
47 |
枝 |
枝 |
杉の枝から共同湯の屋根に落ちる雪の塊も、 |
48 |
板 |
細かい板 |
たいての家の屋根は細かい板で葺いて、 |
48 |
粗朶 |
粗朶 |
傍のの粗朶の束に乗せられて、 |
49 |
カキ |
柿の木 |
道端の柿の木につかまった。 |
51 |
カキ |
柿の木 |
左には柿の木が隣家の壁沿いに立ち並んでいた。 |
51 |
カキ |
柿の木 |
柿の木の幹のように家も朽ち古びていた。雪の斑らな屋根は |
51 |
板 |
板 |
家も朽ち古びていた。雪の斑らな屋根は板が腐って軒に波を描いていた。 |
52 |
桟 |
桟 |
桟の目の細かい障子は新しく張り替えられ、 |
52 |
箪笥 |
箪笥 |
箪笥は古びているが、 |
52 |
柾目 |
柾目 |
駒箇の東京暮らしの名残か、柾目のみごとな桐だった。 |
52 |
|
桐 |
駒箇の東京暮らしの名残か、柾目のみごとな桐だった。 |
52 |
板 |
板 |
壁に板を段々に打ち付けたのは、 |
53 |
|
桐 |
桐の三味線箱だった。 |
54 |
木魂 |
木魂 |
とこからか木魂(こだま)が返って来そうであった。 |
60 |
杉木立 |
杉木立 |
ところどころら散らばる杉木立が黒々と目立ち出した。 |
77 |
マタタビ |
またたび |
またたびの実の漬物やなめこの缶詰など、 |
77 |
実 |
またたびの実 |
またたびの実の漬物やなめこの缶詰など、 |
81 |
木魂 |
木魂 |
どこか雪の山から今にも木魂して来そうに、 |
85 |
柳行李 |
柳行李 |
爺さんはあわてて荷物棚の柳行李をおろして、 |
86 |
檜皮 |
檜皮色 |
檜皮色(ひわだいろ)の小さい羽毛のような触角を突き出していた。 |
86 |
木の葉 |
木の葉 |
拳でどんと叩くと、木の葉のようにぱらりと落ちて、 |
86 |
杉林 |
杉林 |
よく見ると、その向こうの杉林の前には、 |
86 |
スギ |
杉の梢 |
山裾の川は杉の梢から流れ出るように見えた。 |
86 |
梢 |
杉の梢 |
山裾の川は杉の梢から流れ出るように見えた。 |
86 |
シラハギ |
白萩 |
白萩らしい花が小高い山腹に咲き乱れて銀色に光っているのを、 |
88 |
カキ |
柿の実 |
窓の外には、真赤に熟した柿の実に夕日があたって、 |
88 |
実 |
柿の実 |
窓の外には、真赤に熟した柿の実に夕日があたって、 |
89 |
ハギ |
萩の花 |
山に咲いているのは葦なんですね。萩の花かと思った。 |
104 |
紅葉 |
紅葉 |
窓際へ持ち出した鏡台には紅葉の山が写っていた。 |
105 |
廂 |
廂 |
古風な作りの家が多い。廂(ひさし)が深い。 |
105 |
軒端 |
軒端 |
軒端に萱の簾を垂れている。 |
105 |
垣 |
垣 |
土坡(どは)の上に糸薄を植えた垣があった。糸薄は桑染色の |
105 |
桑染 |
桑染色 |
糸薄を植えた垣があった。糸薄は桑染色の花盛りであった。 |
105 |
葉 |
細い葉 |
その細い葉が一株ずつ美しく噴水のような形に拡がっていた。 |
105 |
木魂 |
木魂 |
あの悲しいほど澄み通って木魂しそうな声で歌っていた。 |
110 |
杉林 |
杉林 |
杉林のところから掻き登ってきたのよ。 |
111 |
灌木 |
灌木 |
灌木類の茂りの裾に熊笹が猛々しく拡がっていた。 |
111 |
杉林 |
杉林 |
それは杉林に続く丘の中腹で、 |
113 |
クリ |
栗の木 |
栗の木の上から子供の声が聞こえた。足もとの草の中にも毬がいくつも落ちていた。 |
113 |
木 |
栗の木 |
栗の木の上から子供の声が聞こえた。足もとの草の中にも毬がいくつも落ちていた。 |
113 |
毬 |
毬 |
栗の木の上から子供の声が聞こえた。足もとの草の中にも毬がいくつも落ちていた。 |
113 |
下駄 |
下駄 |
駒子は下駄で踏みにじって、実を剥き出した。みんな小粒の栗だった。 |
113 |
実 |
実 |
駒子は下駄で踏みにじって、実を剥き出した。みんな小粒の栗だった。 |
113 |
クリ |
栗 |
一握りの栗をいきなり彼の顔に投げつけて、 |
113 |
クリ |
栗 |
実を剥き出した。みんな小粒の栗だった。 |
115 |
クリ |
栗 |
栗をぶつけられても、腹を立てる風がないので、 |
115 |
木 |
木 |
木の上で子供が見てるよ。 |
116 |
杉林 |
杉林 |
静けさが冷たい滴となって落ちそうな杉林を抜けて、 |
116 |
木陰 |
木陰 |
しかし、地蔵の裏の低い木陰から、 |
117 |
木魂 |
木魂 |
純潔な愛情の木魂が返って来そうだった。 |
117 |
幹 |
幹から幹へ |
樹木の幹から幹へ、竹や木の棒を物干し竿のような工合(ぐあい)に |
117 |
幹 |
幹から幹へ |
樹木の幹から幹へ、竹や木の棒を物干し竿のような工合(ぐあい)に |
117 |
木 |
木の棒 |
樹木の幹から幹へ、竹や木の棒を物干し竿のような工合(ぐあい)に |
118 |
カキ |
柿の並木 |
隣家の白壁沿いの柿の並木に、高いハッテが組んであった。 |
118 |
並木 |
柿の並木 |
隣家の白壁沿いの柿の並木に、高いハッテが組んであった。 |
118 |
カキ |
柿の木 |
つまり柿の木のハッフとは直角に、やはりハッテで、 |
118 |
薔薇 |
薔薇 |
畑は闌(すが)れたダリアと薔薇の手前に里芋が逞しい葉を拡げていた。 |
118 |
葉 |
葉 |
畑は闌(すが)れたダリアと薔薇の手前に里芋が逞しい葉を拡げていた。 |
121 |
櫛 |
櫛 |
石鹸や櫛が散らばっていた。 |
122 |
紅葉 |
紅葉 |
来週は紅葉でいそがしいわ。 |
123 |
紅葉 |
紅葉 |
紅葉を門松のように、 |
123 |
観楓 |
観楓客 |
観楓客(かんぷうきゃく)の歓迎である。 |
123 |
門松 |
門松 |
紅葉を門松のように、 |
123 |
アケビ |
あけび |
旦那、あけびの実を御存知ですか。 |
123 |
実 |
実 |
彼はその実を蔓のまま紅葉の枝に結びつけた。 |
123 |
蔓 |
蔓 |
彼はその実を蔓のまま紅葉の枝に結びつけた。 |
123 |
枝 |
枝 |
彼はその実を蔓のまま紅葉の枝に結びつけた。 |
123 |
実 |
実 |
旦那、あけびの実を御存知ですか。 |
123 |
紅葉 |
紅葉 |
紅葉は山から伐ってって来たらしく軒端につかえる高さ、 |
123 |
葉 |
葉 |
一つ一つの葉も驚くばかり大きかった。 |
124 |
アケビ |
あけび |
島村はあけびの冷たい実を握ってみながら、 |
124 |
実 |
冷たい実 |
島村はあけびの冷たい実を握ってみながら、 |
125 |
紅葉 |
紅葉 |
渓流の奥の紅葉を見に行くので、 |
126 |
ツバキ |
椿の間 |
駒ちゃん椿の間かって、笑うんですよ。 |
123 |
紅葉 |
紅葉 |
彼はその実を蔓のまま紅葉の枝に結びつけた。 |
129 |
枯れ葉 |
枯れ葉 |
枯れ葉のように散ってゆく蛾もあった。 |
129 |
紅葉 |
紅葉 |
宿は紅葉の客の盛りであった。 |
131 |
ウメ |
梅の間 |
これから梅の間帰りによりますおやすみ」 |
137 |
ナシ |
梨の樹 |
梨の樹が三本。 |
137 |
スギ |
杉の樹 |
杉の樹が三本。 |
137 |
森 |
森 |
森の中り蟋蟀(きりぎりす) |
138 |
スギ |
お杉友達 |
お杉友達墓参り |
138 |
板 |
板敷 |
黒光りに古びた玄関の板敷きに片寄せてある。桐の三味線箱 |
138 |
キリ |
桐 |
関の板敷きに片寄せてある。桐の三味線箱の秋の夜更けらしい静まりも、 |
141 |
戸 |
音のする戸 |
枯れ切った音のする戸の裾を抱き上げるように引いて、駒子は囁いた。 |
141 |
板 |
板の間 |
足音の遠慮もなく板の間を踏んで行くので、 |
142 |
障子 |
障子 |
煤けた障子のなかに |
143 |
柾目 |
柾目 |
柾目のみごとな箪笥や朱塗りの贅沢な裁縫箱は、 |
143 |
燐寸 |
燐寸 |
あら、燐寸がないわ。 |
143 |
紅葉 |
紅葉 |
ええ、紅葉のお客さんで、ちっとも捗らないの。 |
144 |
紅葉 |
紅葉 |
雪催(ゆきもよ)いね。もう紅葉もおしまいになるわ。 |
144 |
紅葉 |
紅葉 |
ここらあたりは山家(やまか)ゆえ、紅葉のあるのに雪が降る。 |
148 |
ウメ |
梅 |
梅の間のお客様 |
149 |
紅葉 |
紅葉 |
紅葉の銹色(さびいろ)が日毎に暗くなっていた遠い山は、 |
149 |
杉林 |
杉林 |
薄く雪をつけた杉林は、その杉の一つ一つがくっきりと目立って、 |
149 |
スギ |
杉 |
薄く雪をつけた杉林は、その杉の一つ一つがくっきりと目立って、 |
152 |
根 |
根 |
なにか根の涼しさがあるようだった。 |
153 |
木魂 |
木魂 |
駒子が虚しい壁に突き当たる木魂に似た音を、 |
153 |
松風 |
松風 |
京出来の古い鉄瓶で、やわらかい松風の音がしていた。 |
153 |
松風 |
松風 |
松風の音は二つ重なって、近くのと遠くのとに聞きわけられたが、 |
153 |
松風 |
松風 |
その遠くの松風のまた少し向こうに小さい鈴がかすかに鳴りつづけているようだった。 |
154 |
柱 |
柱 |
その端を支える柱が道路に立ち並んでいた。 |
154 |
雁木 |
雁木 |
この国では昔から雁木(がんぎ)というらしく、 |
154 |
雁木 |
雁木 |
島村はこの町で初めて雁木を見るわけだった。 |
154 |
廂 |
廂 |
古びた廂の陰は暗かった。 |
154 |
柱 |
柱 |
傾いた柱の根元が朽ちていたりした。 |
155 |
雁木 |
雁木 |
島村は雁木の下から道へ出た。 |
155 |
板葺 |
板葺 |
板葺きの根の算木や添石も温泉町と変わりがなかった。 |
155 |
算木 |
算木 |
板葺きの根の算木や添石も温泉町と変わりがなかった。 |
155 |
廂 |
廂 |
廂の柱が薄い影を落としていた。 |
155 |
柱 |
柱 |
廂の柱が薄い影を落としていた。 |
156 |
木の葉 |
木の葉 |
この国では木の葉が落ちて風が冷たくなるころ、 |
156 |
紅葉 |
紅葉見 |
島村が朝寝の床で紅葉見の客の謡ょ開いた日に初雪は降った。 |
157 |
杉林 |
杉林 |
車がいつもの踏切を越えて鎮守の杉林の横で来ると、 |
168 |
木 |
木 |
古い手押型の木のポンプだった。 |
169 |
柱 |
柱 |
柱や梁などの骨組みはいぶりながら立っていた。 |
169 |
梁 |
梁 |
柱や梁などの骨組みはいぶりながら立っていた。 |
169 |
板葦 |
板葦 |
板葦(いたぶき)板壁に板の床だけでがらんどうだから、 |
169 |
板壁 |
板壁 |
板葦(いたぶき)板壁に板の床だけでがらんどうだから、 |
169 |
板 |
板の床 |
板葦(いたぶき)板壁に板の床だけでがらんどうだから、 |
170 |
柱 |
柱 |
入り口の柱かなにかからまた火が起きて燃え出し、 |
170 |
棟 |
棟 |
棟や梁がじゅうじゅう湯気を立てて傾きかかった。 |
170 |
梁 |
梁 |
棟や梁がじゅうじゅう湯気を立てて傾きかかった。 |
172 |
木 |
骨組の木 |
二階桟敷から骨組の木が二三本傾いて来て、 |