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小説と木
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国木田独歩の小説 「源叔父」に出てくる樹木や木製品

この小説の初出は1897年、文庫本におけるページ数は19ページ
元樹種 掲載樹種 掲載言葉
マツ 家の横なる松 渠(かれ)が家の横なる松、今は幅広き道路の傍に立ちて夏は涼しき蔭を旅人に借せど十余年の昔は沖より波寄せて節々(をりをり)その根方を洗いぬ。
人々は彼が櫓こぎつつ歌ふを聴かんとて撰びて彼が舟に乗りたり。
櫓こぐ 櫓こぐにも酒の勢いならでは歌わず、
枯枝 枯枝 炉には枯枝一掴くべあり。
細き枝 細き枝に蝋燭の焔ほどの火燃え移りて代わる代わる消えつ燃えつす。
櫓こぐ 冬の夜寒(よさ)むに櫓こぐをつらしとも思わぬ身ながら粟だつを覚えき。
蝋燭 蝋燭の焔 細き枝に蝋燭の焔ほどの火燃え移りて代わる代わる消えつ燃えつす。
マツ 松が枝に 明朝(あすあさ)あの松が枝に翁の足のさがれるを見出さんもしれずといふ、
松が枝に 明朝(あすあさ)あの松が枝に翁の足のさがれるを見出さんもしれずといふ、


戯れに棒振りあげて渠(かれ)の頭上に翳(かざ)せば、
櫓こぎ 源叔父は櫓こぎつつ眼を遠き方にのみ注そそぎて、
舷端
足を舷端(ふなばた)にかけ櫓に力加へしと見るや、
櫓に力加へ 足を舷端(ふなばた)にかけ櫓に力加へしと見るや、
櫓握る手に 胸に浮かぶ時は櫓握る手に力入れて頭振りたり。
櫓こぐ 静かに櫓こぐ翁の影黒く水に映れり。
櫓こぐ 櫓こぐ術教ふべしといひし時、うれしげに点頭(うなづ)きぬ、
陰森 陰森の気床下 陰森の気床下より起こりて翁が懐に入りぬ。
柱に掛けし 柱に掛けし舷燈に火を移していそがわしく家を出で、
櫓置く可き 「我子よ今帰りしぞ」と呼び櫓置く可きところに櫓置きて内に入りぬ。
櫓置きて 「我子よ今帰りしぞ」と呼び櫓置く可きところに櫓置きて内に入りぬ。
舟繋ぎ了れば臥席(ござ)巻まきて腋に抱き櫓を肩にして岸に上りぬ。
マツ 老松並ぶ 左は堤の上を一列に老松並ぶ真直の道をなかば来りし時、
マツ 松の梢を嘯きて 門に立てる松の梢を嘯(うそぶ)きて過ぎぬ。
松の梢を嘯きて 門に立てる松の梢を嘯(うそぶ)きて過ぎぬ。
マツ 松が枝 道に差出でし松が枝(え)より怪しき物さがれり。
松が枝 道に差出でし松が枝(え)より怪しき物さがれり。
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