この数年まで、腐ることは悪いことのように語られてきました。しかし、地球環境問題が訴えられる今、腐らないビニールや腐らないプラスチックが環境汚染に与える影響が明らかになってきました。これら腐らない材料は、残念ながら自然界に復活することなく、その結果、水賊や海洋の汚染を悪化させています。
一方、木材は全く無公害です。使用目的を終えた木材は、風化、腐れ、焼却などのいずれの方法でも、その構成物質が自然界に復活します。これは、長期的な視点でみれば最優秀なリサイクル材料です。
腐ることがすばらしい事とわかる新聞記事パロディ
木材が腐るためには、水分、空気中の酸素、適切な温度の3つの条件が必要です。しかも、これらの条件は対象的な関係ではなく、すべてがそろって初めて腐れが生じる「AND条件」です。このため、腐らないようにするには、これらの条件のいずれかを阻止すればよいのです。
例えば、古くから地中や海中に基礎杭として埋められた丸太や木材が腐らないのは、これらの環境において空気中の酸素が欠如しているからです。その他、寒冬地では温度が低いため腐れが生じないこともあります。温度は腐れの速度に大きな影響を与えます。例えば、温度25℃は腐れを最も加速させ、これより高い温度や低い温度では腐れのパターンが変化します。
このため、腐れを阻止するための素材保存の技術は、これらの条件を細かく制御することを目指しています。たとえば、薬剤の効果を保ち変質を防ぐために、木材から余分な水分を取り除いたり、空気が通らないように密閉する方法が用いられます。