木材は熱伝達率が低いため、自身が持っている温度から大きく変化することがありません。そして、木材自身が持っている固有の温度は、人間の持つ温度域と一致しているため、人にとってちょうどいい温度になります。これは動物と植物という違いはあるものの、鋼や石などの鋼材や礦物より近い性質を持つためと考えられます。
この特性は、例えば冬の寒い日にも、木の上に触れると温かさを感じる事で明確にわかります。反対に、夏の暑い日にも、木材は過激に暖まりすぎることがないため、温度が人にやさしいのです。
この温度を保つ力は、木材が持つ素材構造によるものです。木材の内部は細かな穴がある構造を持ち、これが空気を含んでいます。この空気が熱を保存し、外部の温度変化を内部に伝わりにくくしています。このため、木材は季節や環境に関わらず、人間にとって安定感を与える温度を保つことができるのです。
最近、ウッドデッキなどの人気が高まっていますが、これらの材料がたとえ品質の良いプラスチックや人工木材で作られていたとしても、木材にはかないません。この温度を保つ能力が、木材を他の材料と区別する重要な要素の一つなのです。
さらに、木材の温度に関する別の要素として、その規則性も挙げられます。木材は細胞増殖の過程で形成されるため、部分的な温度の違いが起こりにくく、一様の温度を保つことができます。これにより、人間の目線や触感においても、平均的な温かさを保つことができ、人間の体験を向上させる要素となります。