フェノール樹脂の含浸処理では、注入する樹脂の分子量を小さくすると、木材細胞の壁中に安定な形で樹脂を沈着させることができ、硬さだけでなく寸法安定性や耐腐朽・耐シロアリ性も向上する。重合前の遊離フェノールの毒性は高いが、木材中で硬化させた場合は安全な3次元構造体をつくる。したがって、木材の細胞壁の中にいかに効率よく含浸させるかがこの手法のポイントになる。樹脂の分子量が約500のところが細胞の壁の中に浸透するか、 それとも細胞の内腔面でトラップされるかの境界で、 それより大きな分子量の樹脂はいくら注入しても、寸法の安定性はもちろん耐腐朽性などには何ら効果は得られない。
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樹脂鋳型を残して腐朽 |
細胞壁内に樹脂が沈着して保護 |