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今村祐嗣のコラム

木材の耐朽性・耐蟻性評価

木材の腐朽や虫害など生物劣化に対する抵抗性について特筆すべき点は、樹種や部位によってばらつきがきわめて大きいということである。すなわち腐朽に対する抵抗性を意味する耐朽性について述べると、各樹種の組織構造、比重や硬さなどの物理的性質、あるいは化学的性質によって左右される。もちろん同一樹種であっても、一般的に中心部の着色した心材(赤身)が、周辺部の辺材(白太)よりも耐朽性が高く、抵抗性の乏しい辺材については樹種間にほとんど差異はない。また、同じ樹種であっても、品種、樹齢や育林方法、産地間においても違いがみられることがしばしば指摘されるところである。
 木材の耐朽性の大小は経験的に知られているが、実際に何年腐らないかという問いに答えることは難しい。これは前述したように水分、温度といった使用環境によって劣化の速度が支配されることによる。耐朽性を評価するには、経験的な知識以外に、土中に杭を埋めて経時的に観察し、使用に耐えられなくなった年数をもって耐用年数を決める方法がとられる。これは腐朽菌や水分に暴露される条件としては最もきびしい環境で評価したことになる。室内で促進的に劣化させて評価するには、培養ビンの中で所定の腐朽菌を人為的に培養し、この中に評価しようとする木材を設置して28度前後の恒温室内に一定期間置き(通常は3ヶ月)、質量の減少の程度で評価する方法がある。野外での暴露試験と、この室内での促進劣化試験の傾向はほぼ対応すると判断されている。
 一方、シロアリに対する木材の抵抗性、すなわち耐蟻性を試験によって評価する場合は、シロアリの生息する野外において杭を打ち込む方法によるほか、室内試験法としては一定頭数のシロアリに一定期間(通常は3週間)にわたり試料を強制的に食害させて質量の減少で判断する方法が採用されている。一般的には硬い木材より柔らかい木材を、広葉樹より針葉樹を、心材より辺材を好んで食害する。また、木材の腐朽によってシロアリが誘引されることも多い。樹種による木材の耐朽性と耐蟻性は一致しないこともあるが、一般的には耐朽性が小さいものは耐蟻性も小さいと考えてよい。
促進劣化試験 シロアリ強制食害試験 シロアリ野外試験
促進劣化試験 シロアリ強制食害試験 シロアリ野外試験

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